希少な軍需銘柄、「C919」向け部品供給や軍用ヘリビジネスに潜在力

現地コード 銘柄名
02357

中国航空科技工業

(アビチャイナ)

株価 情報種類

3.57HKD
(5/28現在)

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 BOCIは成長期待とバリュエーション面の魅力を兼ね備えた香港株式市場では希少な軍事銘柄として、アビチャイナを前向きに評価している。同社は19年に中航直昇機(AVICヘリコプター)の権益100%と、昌河飛機工業集団の権益47.96%、哈爾濱飛機工業集団の権益10.21%を買収する計画を発表し、本格的な軍用ヘリコプタービジネスへの参入を決めた。この買収手続きは20年末までに完了する予定となっている。一方、5月下旬の「両会」(中国の国会に当たる全国人民代表大会と、全国政治協商会議)の会期中には、中国が独自開発した初の商用ジェット機「C919」の主任設計者が、これまでに815機の注文を獲得したことを明らかにした。アビチャイナは「C919」の主要部品サプライヤーの1社であり、BOCIはこうした情報更新による恩恵を見込む。同社の株価パフォーマンスは最近かなり回復しているが、それでもバリュエーションは依然、魅力的な水準にあると指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

「両会」会期中に受注機体数が明らかになった「C919」は、中国商用飛機有限責任公司(COMAC)が開発した低燃費型のナローボディ機(客席の通路が1本の機種)であり、21年に第1号機の引き渡しが行われる予定。アビチャイナは主要部品サプライヤーの1社で、部品全体の約10-15%の供給を担当する。テスト飛行や引き渡しが順調に進めば、株価の短期的な支援材料となる見込み。長期的に見ても同社にとってのプラス要因となる。

 20年末までには中航直昇機の全面買収と、昌河飛機工業集団、哈爾濱飛機工業集団の一部権益の取得を完了する見込み。アビチャイナのヘリコプタービジネスはこれまで、主に政府機関向けだったが、この買収に伴い、Z10、Z11、Z19といった本格的な軍用ヘリビジネスを傘下に置くことになり、BOCIは同社株の再評価につながるとみる。

 同社は最大6億2,500万株(発行済み株式総数の約10%)の自社株買いを実施する計画。5月26日と27日にまずは各308万株、1万株の買い入れを行った。

 同社株価はここに来てかなり戻したが、BOCIはそれでも依然、バリュエーションは魅力的な水準にあると指摘。香港株式市場では希少な軍需銘柄である上に、業界大手でもあり、プレミアム水準に値するとしている。また、ヘリビジネスの再編後には、買収した軍需資産が純利益とバリュエーションの押し上げに寄与すると予想。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、新型コロナウイルスの影響で製品引き渡し時期が後ずれする可能性を挙げている。