本日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは108.16

下値メドは107.15

今朝の天気マークは「くもり」

※天気の判定基準は記事末尾にあります

日本政府の景気対策、
マーケットの評価は「-」

 日本政府は今週27日、新型コロナウイルス対策として2020年度第2次補正予算案を閣議決定しました。一般会計からの歳出額は31.9兆円で、財源はすべて国債の追加発行で賄われます。

 1次補正予算の25.7兆円を合わせて60兆円にのぼる過去最大の景気対策予算です。しかし問題はその規模よりも、迅速に実施できるのかどうかということ。今はまだアベノマスクがようやく配り終わるかどうかという段階で、1次補正で計上した1人10万円の給付金も大半の家庭に届いていません。雇用調整助成金も煩雑な手続きが批判の的になっています。

 米国ではすでに4月の段階で、日本円で総額230兆円に上る、史上例を見ない経済対策が成立しています。それだけはなく、米政府は、休業などに追い込まれた中小の飲食店や工場などが従業員の雇用を維持して給与を支払い続けるために、追加的に日本円で27兆円に上る対策もまとめています。日本とはスピード感が違います。

 金融政策からは、FRB(米連邦準備制度理事会)が、政策金利を実質ゼロに引き下げたうえ、新型コロナ経済対策として、日本円で約250兆円にのぼる大規模な資金供給を発表して経済を支援。

 日銀は、先週になってようやく「臨時」会合を開き、中小企業の支援策として、融資を実行する民間金融機関に日銀が金利0%で資金を出す新制度導入を決めました。

 麻生財務相は27日の閣議後記者会見で、追加景気対策について「やらなければ結果としてもっと経済が落ち込みかねず、覚悟を決めて財政出動にかじを切った」と述べています。仕方なくやるという気持ちがにじみ出るような発言でした。

 もしかすると、日本政府は、「新型コロナなんて放っておいても大丈夫、騒ぐ必要ない」と信じているか、あるいは「日本経済は再生しない」と考えているのではないでしょうか。だとすれば、景気対策のためにお金を使うことに後ろ向きである理由が分かります。

 市場の焦点は、コロナ後の世界に移り、各国の金融、財政対策がFXを動かしています。日本政府の対策は、残念ながら円を動かすインパクトを持っていませんでした。聞こえてくるのは、そんなに国債発行して日本の財政は大丈夫かという心配ばかりです。

 ユーロは対ドル、対円ともに上昇しています。欧州復興基金がマーケットに強い印象を与えました。景気指数を見ると、欧州では先行きに期待を感じる人が増えているようです。一方、米指標はまだ低迷しています。「今日の注目通貨」をご覧ください。

毎ヨミ!FXトップニュース

28日のドル/円のNY市場終値は107.62円

 前営業日の終値から▲0.09円だったので、今朝の天気マークは「くもり」です。

今日の格言:

同じタイミングで相場に挑んでも、結果を出せる人と出せない人がいる。それは、相場環境を認識する力が違うからである。​

各国・各通貨トピックス

新型コロナウイルス:
    米国の飲食店、4分の1が廃業の恐れ
    マスク着用の影響で化粧品需要が低下 資生堂の業績が急降下

ドル:
    ホワイトハウス「トランプ大統領がSNSに関連した大統領令に署名」
    トランプ米大統領、29日に中国について記者会の予定
    パウエルFRB議長「米経済はこれまでにない大規模なショックに直面」
    経済再開で第2波か。早期再開のネバダ州やテキサス州で感染者増加

ユーロ:
    ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁「欧州経済はECBが考える最悪と中程度シナリオの中間」
    バイトマンECB理事「新型肺炎後のV字回復を期待」

ポンド:
    BOE(イングランド銀行)「英失業率がコロナ前に戻るのは3年先」
    EU(欧州連合)とのFTA(自由貿易協定)交渉、7/1まで延長決定なければ:合意なき離脱の可能性高まる

豪ドル:
    中国の米国品輸入拡大で、豪の中国向け輸出が大幅減になる懸念

南アランド: 
    SARB(南ア準備銀行)は「利下げ終了」との見方

原油先物:
    原油安でエネルギー関連投資が大幅縮小。マイナス20%

その他:
    ハワイ州副知事が7月までに観光業再開を期待
    金正恩印のお菓子セットが「コロナ感染元」の疑いで北朝鮮が大騒動

主要指標終値

出所:楽天証券が作成

本日の注目通貨

ドル/円:週末のレンジ予想:106.55円から108.60円

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は107.59円。107.59円より上ならばドル買い優勢、107.59円より下ならばドル売り優勢。28日のNY終値は107.61円。今週のこれまでのレンジは107.36円から107.94円。

 ドル高方向は108円台が強い抵抗ゾーン。最新位置情報で確認するとピボットの第1、第2レジスタンスがあり、また2019年の中心値で中期的なブルベアの分岐点と考える108.20円も位置している。まずは19日の高値108.09円を超えられるかどうか。109円台は輸出の売りが多い模様。

 ドル安方向は106円台が強い支持ゾーン。最新位置情報で確認するとピボットの第2、第3サポートがあり、また2020年の中心値106.70円も位置している。5月のこれまでの安値は105.98円。105円台を抜けると次の大きなサポートは101円台までなし。


114.55円 : 2018年 高値
113.82円 : 2018年 12月 高値

112.40円 : 2019年 高値
112.22円 : 2020年 高値 (02月20日)

111.71円 : 03月 高値 (03月20日)

109.38円 : 04月 高値 (04月06日)
109.12円 : 第3レジスタンス(HBO)

108.61円 : 第2レジスタンス
108.20円 : 2019年 中心値
108.11円 : 第1レジスタンス
108.09円 : 05月 高値 (05月19日)


107.59円 : ピボット


107.09円 : 第1サポート
107.03円 : 05月 中心値  

106.70円 : 2020年 中心値
106.57円 : 第2サポート
106.08円 : 第3サポート(LBO)

105.98円 : 05月 安値 (05月06日)

101.17円 : 2020年安値(03月06日)
100.07円 : 2016年 09月 安値
99.53円 : 2016年 08月 安値

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

注目チャート:欧米の経済指標

米小売売上高の推移

米鉱工業生産の推移

マーケットは経済再掲で明るいムードになっていますが、上のグラフが示すように米経済の状況は深刻。

ドイツ、欧州の製造業・サービス業PMI

欧州経済の代表的景気指数であるPMIは上向きが見られました。コロナ後の欧州経済に希望が見え始めたのは良い兆し。とはいえ、業況判断の50よりはまだまだマイナスの水準。

トレード前に必ずチェック!今日発表の重要指標!

経済指標過去データは楽天証券サイトにてご確認ください。 出所:楽天証券作成
 

◎天気の判定基準とは?

天気マークを見るだけで、ドル高で引けたのか、それともドル安で引けたか、ひと目で確認することができます。

・「晴れ」
当日の終値が、前日の終値に比べて0.20円を超えるドル高/円安だった場合は、「晴れ」の天気マークを表示します。

・「雨」
反対に、終値が0.20円を超えるドル安/円高だった場合は、「雨」の天気マークを表示します。

・「くもり」
終値が上下0.20円の範囲にあった場合は「曇り」のマークを表示します。

※天気マークは、前日の終値との比較を示したもので、今日のマーケットの方向を予想するものではありませんので、ご注意ください。

※ちなみに2018年は、「晴れ」80日、「雨」82日、「くもり」98日 でした。
また、2018年は延べで43.33円上昇、延べで46.41円下落。差引3.08円の円高(2017年末に比べて)でした。