今週の予想

今週は、緊急事態宣言の全面解除で2万500~2万1,000円の中でのもみ合い

 今週の日経平均株価はNYダウがさらに戻せば、3月6日以来となる2万1,000円への回復も期待できるところですが、そのためにはNYダウが終値で4月29日の2万4,764ドルを超える必要があります。目先のNYダウのチャートは、4月29日の2万4,764ドル、5月21日の2万4,718ドルとザラ場でダブル天井に近い形となっているので、下を試したあと短期的な調整の可能性もあります。

 米財務長官は「4~6月に底入れし、10~12月に大きな成長へ」と予測しています。だとすると、さらなる上昇が期待できます。また、日米ともに経済活動の再開のピッチが早まりそうなので米国次第で日経平均の2万1,000円も期待できます。

 しかし、一方で混乱要因も依然として、新型コロナウイルス問題、香港問題、米中対立問題があります。27日にはカナダの最高裁がファーウェイ副会長の引き渡しを巡る重大決定を行う見通しもあり、米中の緊張が増せば株価は下押し懸念が増すことになります。そう考えると2万500円をはさんだもみ合いとなる可能性が高いかもしれません。

 5月25日(月)は、緊急事態宣言の全面解除を決定する方針から買い先行で始まり、さらに2020年度第2次補正予算案が事業規模100兆円超で調整と報じられたことで、朝方は+265円の2万653円で寄り付き、一時+2万713円まで上昇。その後は上値が重くなり前引けは+294円の2万682円でした。

 しかし、後場になっても買い気は根強く、引けにかけて上昇基調は強く+353円の2万741円と高値引けとなりました。経済活動再開への期待が続いていますが、商いは少なく目先のカラ売りが出尽くしとなっています。米株式が上昇して海外勢が日本株の出遅れに目をつけると2万1,000円の期待もできるところです。

(今週の指標)日経平均株価

 今週は、基本的には2万500円をはさんだもみ合いが想定され、もし米国株がさらに上昇すれば、日経平均は2万1,000円を試す可能性もあります。緊急事態宣言の解除が下値サポート要因となります。一方で米中対立悪化懸念があり、中国で22日に開幕された全国人民代表大会は会期が28日まであり注目を集めます。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週のNYダウは、引き続き金融追加刺激策や経済活動の再開による各種経済指標の改善への期待が下支えとなり、高値を探る展開が想定されます。米中対立懸念が高まっており注意が必要です。

 米国では納税期限の関係で「4月に買って5月に売る」という諺(ことわざ)がありますが、チャートをみると4月29日の2万4,764ドル、5月21日の2万4,718ドルとダブル天井に近い形となっていますので、NYダウが2万4,000ドルを大きく下に切ってくるとチャートでは、短期の売り転換となり、5月14日の2万2,789ドルを切ると売り転換が強まります。

 一方、4月29日の2万4,764ドルを終値で上回ってくれば2万6,000ドルが次の上値ポイントとなります。

(今週の指標)ドル/円

 先週は、1ドル=107~108円のレンジの動きとなり、この中で米中対立を警戒して安全資産としてもドル買い優勢となり、108円に接近する動きとなりました。22日(金)は、中国政府が人民大会で香港に国家安全法を適用することを協議し、介入も辞さない姿勢に転じたことで、一時107.46円まで下落し、107.60円で引けました。

 今週もWHOの新型コロナウイルス対応を巡って米国と中国は対立し、リスク回避の円買いも考えられます。しかし、日銀による追加金融緩和策は逆に円買い圧力となるため、リスク回避の円買いは抑制され、ドル/円は底堅い動きで1ドル=107~108円の中での値動きが続きそうです。

先週の結果

先週は、米国株式の堅調な戻りにつれ高し、日経平均は2万500円水準の動き

 米株式が戻りを試す動きが続いたことで、日経平均もサポートされ戻り高値を更新し、21日(木)には2万734円まで上昇しました、週後半は米株式が一服となったことで、2日続落し、週末は▲164円の2万388円で引けました。先週は1万9,999円から2万734円の中で2万500円を中心のもみ合いとなりました。

18日(月):前週末の米株高が支えとなり、堅調な動きとなりましたが、方向性の定まらない値動きに。後場には+160円の2万197円まで上昇し、終値は+96円の2万133円と続伸しました。

19日(火):前日の米国市場でワクチンの開発期待が高まったことで、NYダウが+911ドルとなり、これを受けて日経平均は+335円の2万469円で寄り付き、一時+525円の2万659円まで上昇。2万500円をはさんだもみ合いとなったあと終値では+299円の2万433円となりました。この日の売買代金が10日ぶりに2兆5,000億円を超えました。

20日(水):前日の米国市場は、利益確定売りで4日ぶりの反落となったものの、日経平均は寄り前発表の3月機械受注が予想よりマイナス幅が小さかったことで、+21円の2万454円と買い先行で始まり、後場には+251円の2万684円まで上昇しました。その後は上げ幅を縮小し、+161円の2万595円と4日続伸となりました。

21日(木):前日の米国市場ではNYダウが+369ドルとなったことで、日経平均は+97円の2万692円で始まりましたが、時間外の米株先物が下落に転じたことで、日経平均もマイナスに転じ、▲42円の2万552円と5日ぶりの反落で引けました。売買代金は4月23日以来、約1カ月ぶりに2兆円を割りました。

22日(金):前日の米国市場で主要3指標そろって下落したものの、日経平均は+31円の2万583円と買い先行となりました。しかし、先物に継続して売りが出たのをきっかけにマイナスに転じ、後場になると下げ幅をやや拡大。▲164円の2万388円と続落し、4カ月ぶりに連日で売買代金が2兆円割れとなりました。

 今週は市場ボリュームがない中で、日経平均の指数は戻りを試しましたが、これは一部の値ガサ株が買われた結果であり、売買代金の減少を見る限り上値を追っていく状況ではないと言えます。

 22日(金)の米国市場は、3連休や米中関係懸念で安く始まりましたが、ワクチンの開発期待や経済活動の再開期待から主要3指標とも前日とほぼ変わらずで引けました。NYダウは一時▲180ドルまで下げましたが、終値では▲8ドルの2万4,465ドルで引けました。シカゴの日経先物は+190円の2万550円でした。