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『全人代』とは、“全国人民代表大会”の略称で、中国における国会に相当します。例年、3月5日に開幕されますが、今年は新型コロナの影響で延期され、5月22日からの開催となりました。『全人代』では通常、初日に政府活動報告が行われ、経済に関する年間目標が示され、その後、大型法案や予算、人事の審議、承認が行われます。今年は、「新型コロナ下でのGDP成長率」や「新型コロナ経済対策」などが注目ポイントでした。
【ポイント1】2020年の成長率目標は公表されず
政府は従来よりは低いものの、市場予想よりは高い成長率を想定
初日の政府活動報告では、新型コロナからの経済回復は不確実性があるとし、2020年の経済成長率の目標は発表されませんでした。ただし、財政赤字のGDP比を3.6%以上と設定したことから逆算すると、名目GDP成長率の伸びは+5.4%程度、GDPデフレーターを+1.5%と想定すると、実質GDP成長率は+3.9%程度に設定されたと推測されます。IMF(国際通貨基金)は20年通年の実質成長率を1.2%と予測していますが、それを上回る意気込みが示されたこととなります。
主な政府目標は、都市部新規就業者数900万人(19年実績1,352万人)、都市部調査失業率6%前後(同5.2%)、消費者物価上昇率3.5%前後(同約2.9%)と、厳しい雇用状況が反映されています。
【ポイント2】新型コロナ経済対策は、想定の範囲内
「雇用の安定」と「貧困脱却」が優先課題
今回、『全人代』では、新型コロナ経済対策として、特別国債1兆元、地方専項債3.75兆元(19年実績2.15兆元)の発行が決定されました。特別国債は感染症対策が、地方専項債は古い住宅地の改築や鉄道建設などインフラ投資に加え、5G等次世代情報ネットワーク整備や新エネルギー車の普及などが用途とされています。
政府は「新型コロナ対策」、「雇用の安定」、「貧困からの脱却」のため財政を大幅に拡大する方針ですが、事前の予想の範囲内となりました。
【今後の展開】大規模なコロナ経済対策で景気は年後半持ち直しへ
中国では世界に先駆け新型コロナの感染拡大が終息に向かっており、2月に大幅な悪化を見せた経済活動も3月以降は回復に向かっています。『全人代』で決定された経済対策を着実に実行すれば、3~4%程度の経済成長は可能かもしれません。しかし、新型コロナの世界的な影響拡大や、再燃している米中貿易摩擦に「香港統制の強化に向けた法整備」が新たな火種として加わるなど、不透明要因も多そうです。
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