本日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは108.05

下値メドは107.34

今朝の天気マークは「くもり」

※天気の判定基準は記事末尾にあります

108円のカベ

 新型コロナウイルスは世界経済を停止状態に追い込みました。新型コロナのインパクトは前回の金融危機を遥かに凌ぎ、今年の初めまで半世紀ぶりの低失業率を謳歌していた米労働市場は、瞬く間に月間の上昇率としては過去最悪の14.7%まで上昇。しかも失業率はこれからもさらに上がり20%以上になるといわれています。

 リスクオフの時には「ドル売り」というのがこれまでのパターン。ところがコロナ相場でこの相関関係が崩れてしまいました。投資家が、株など金融資産を処分して(株でパンは買えない)、世界で最も安全で流動性の高いドルを確保する、いわゆる「有事のドル買い」に動いたからです。「リスクオフでドル高/円安」というのがニューノーマルになるかもしれません。

 安倍総理大臣は25日、緊急事態宣言を全国で解除することを正式に表明しました。大阪府の吉村洋文知事は、政府の専門家会議などが示した自粛要請がどこまで正しかったのかどうかの検証を求めています。政治の判断が必要以上に経済を破壊してしまった可能性もあるからです。

 有事のドル買いで売られたのは新興国通貨でした。リスクオフで投資マネーが一斉に引き上げたからです。ところが今、新型コロナウイルスに対する楽観論が広がったことで、これらの通貨が反発しています。ドル/円の最新位置情報、5月の「勝ち組」「負け組」通貨ペア、円とユーロIMMポジション推移のグラフは「今日の注目通貨」をご覧ください。

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25日のドル/円のNY市場終値は107.71円

 前営業日の終値に比べ0.10円のドル高/円安だったので、今朝の天気マークは「くもり」です。

今日の格言:

「勉強」とは与えられた知識を吸収すること。「研究」とは立てた仮説を検証すること

各国・各通貨トピックス

新型コロナウイルス:
    米、感染拡大中のブラジルからの入国に制限
    新型コロナウイルスワクチン開発、オックスフォード大学が先行

ドル:
    米大統領補佐官、中国に制裁を示唆「中国は香港乗っ取ろうとしている」
    中国外務省「香港のトラブルメーカーが外国勢力と結託することは許されない」
    米政府、中国の33企業・機関を禁輸対象に指定
    トランプ政権の新型コロナウイルス対応は「大惨事」、オバマ氏が批判

原油先物:
    インドの4月石油消費量は70%減。ロックダウン解除後も戻り鈍い

ユーロ:
    EU(欧州連合)復興基金、実現には加盟国すべての同意必要。資金供与に反対の国も 
    レーン理事「ECB(欧州中央銀行)の信頼を回復させるには、インフレを上げるしかない」

ポンド:
    量的緩和さらに。6月会合でBOE(イングランド銀行)が債券買い入れ枠を増額する可能性

中国人民元:
    中国経済はV字回復へ

NZD:
    オアRBNZ(豪準備銀行)総裁「現時点ではマイナス金利を望んでいない」

カナダドル:
    カナダ銀行副総裁「マイナス金利は賢明な手段とはいえない」

その他:
    新型ウイルスのワクチン情報、中国がハッキングか FBIが警告
    共産党政権に批判的な学者や言論人の拘束が中国国内で相次ぐ
    コオロギせんべい」無印良品がネットストアで発売

本日の注目通貨

ドル/円:今週のレンジ予想:106.57円から108.61円

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は107.59円。107.59円より上ならばドル買い優勢、107.59円より下ならばドル売り優勢。先週のNY終値は107.61円。

 ドル高方向は108円台が強い抵抗ゾーン。最新位置情報で確認するとピボットの第1、第2レジスタンスがあり、また2019年の中心値で中期的なブルベアの分岐点と考える108.20円も位置している。まずは19日の高値108.09円を超えられるかどうか。109円台は輸出の売りが多い模様

 ドル安方向は、106円台が強い支持ゾーン。最新位置情報で確認するとピボットの第2、第3サポートがあり、また2020年の中心値106.70円も位置している。5月のこれまでの安値は105.98円。105円台を抜けると次の大きなサポートは101円台までなし。

114.55円 : 2018年 高値
113.82円 : 2018年 12月 高値

112.40円 : 2019年 高値
112.22円 : 2020年 高値 (02月20日)

111.71円 : 03月 高値 (03月20日)

109.38円 : 04月 高値 (04月06日)
109.12円 : 第3レジスタンス(HBO)

108.61円 : 第2レジスタンス
108.20円 : 2019年 中心値
108.11円 : 第1レジスタンス
108.09円 : 05月 高値 (05月19日)

107.59円 : ピボット

107.09円 : 第1サポート
107.03円 : 05月 中心値  

106.70円 : 2020年 中心値
106.57円 : 第2サポート
106.08円 : 第3サポート(LBO)

105.98円 : 05月 安値 (05月06日)

101.17円 : 2020年安値(03月06日)
100.07円 : 2016年 09月 安値
99.53円 : 2016年 08月 安値

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

「勝ち組」「負け組」通貨ペア(5月1日 ~ 5月22日)

 5月、最もパフォーマンスが良い(上昇した)「勝ち組通貨ペア」はメキシコペソ/円の8.94%。原油価格の反発上昇が追い風になりました。メキシコ中銀は今月50bp利下げしましたが、インフレを暴走させずに景気を刺激する妥当な利下げ幅だったとマーケットは一定の評価。

 上昇しているのはメキシコペソだけではなく、南アランドやトルコリラなど新興国通貨も今月の勝ち組グループ入り。過去最安値を更新して瀬戸際に追い詰められましたが、新型コロナの過度の警戒感が解けたことが幸いして買い戻しにつながりました。南アランドとトルコリラは先週利下げしたが、売り材料にはならず。とはいえ危機が去ったわけではない。急落するリスクは常にあります。

 一方、最もパフォーマンスが悪い「負け組通貨ペア」はポンド。新型コロナに対する英政府の対応の慎重さに加え、年末のノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)のリスクが高まっていることが理由。

 先週負け組だったNZドルは少し順位を上げました。ユーロは良いニュースが出たわりにはさえない。

IMMポジション推移(円、ユーロ)(2018年5月 ~ 2020年5月)

 

 CFTC(全米先物取引委員会)公表によるシカゴIMMの通貨先物ポジション状況は、円が2万7,470枚の「ロング(約32億ドル相当のドルショート/円ロング)」。ユーロは7万2,562枚の「ショート(約91億ユーロの、ユーロロング/ドルショート)」。したがって全体としてIMMは巨大な「ドルショート」ポジションを持っていることになる。ただ、ポンドと豪ドルに対しては、枚数は小さいもののドルロング(豪ドルショート、ポンドショート)。

トレード前に必ずチェック!今週発表の重要指標!

経済指標過去データは楽天証券サイトにてご確認ください。 出所:楽天証券作成

◎天気の判定基準とは?

天気マークを見るだけで、ドル高で引けたのか、それともドル安で引けたか、ひと目で確認することができます。

・「晴れ」
当日の終値が、前日の終値に比べて0.20円を超えるドル高/円安だった場合は、「晴れ」の天気マークを表示します。

・「雨」
反対に、終値が0.20円を超えるドル安/円高だった場合は、「雨」の天気マークを表示します。

・「くもり」
終値が上下0.20円の範囲にあった場合は「曇り」のマークを表示します。

※天気マークは、前日の終値との比較を示したもので、今日のマーケットの方向を予想するものではありませんので、ご注意ください。

※ちなみに2018年は、「晴れ」80日、「雨」82日、「くもり」98日 でした。
また、2018年は延べで43.33円上昇、延べで46.41円下落。差引3.08円の円高(2017年末に比べて)でした。