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 今月15日、コロナショック以降で最初の決算期の発表ピークを迎え、国内企業の決算動向に注目が集まりました。TOPIX採用銘柄のおよそ8割が『1-3月期決算』を発表しましたが、2020年1-3月期四半期では、前年同期比で売上高が▲3.5%、経常利益▲48.6%となり、東日本大震災の影響を受けた2012年3月期以来の悪化となりました。多くの企業が回復には時間がかかり、当面利益の低迷が続くとみています。

【ポイント1】『1-3月期決算』は新型コロナの影響で大幅な減収減益

 2020年5月18日時点でTOPIX採用銘柄(金融を除く)を対象に2020年1-3月期四半期決算を集計しました(集計対象は5月15日発表分まで、以下同)。決算進捗率は銘柄数ベースで70.5%、時価総額ベースで79.8%です。その結果、四半期実績の前年同期比は売上高▲3.5%、営業利益▲29.7%、経常利益▲48.6%、当期利益▲73.9%となりました。一方、四半期累計実績の前年同期比は売上高▲0.5%、営業利益▲10.7%、経常利益▲13.3%、当期利益▲18.0%となりました。

【ポイント2】幅広い業種で業績が悪化

 今回の決算では、東日本大震災で物理的に設備や供給網が影響を受けて製造業の業績が悪化した際とは異なり、製造業、非製造業ともに幅広い業種が新型コロナ感染拡大の影響を受けました。

 四半期実績でみると、東証の金融を除く29業種のうち20業種で経常利益が前年同期比マイナスとなり、そのうち石油・石炭製品、鉄鋼、陸運業、空運業の4業種が赤字に転落しました。食料品、パルプ・紙、非鉄金属、その他製品などはプラスを維持しました。

 

 

【今後の展開】21年3月期業績予想は6割が未定、市場は今秋以降の回復を期待

 このように『1-3月期決算』は厳しい内容となっていますが、株式市場の想定の範囲内と見られ、日経平均株価は比較的落ち着いた動きとなっています。一方で新型コロナの収束と経済の再開がどのように展開していくか見通せない中、通常、発表される2021年3月期の業績予想を未発表とした企業は約6割にのぼりました。

 新型コロナの感染拡大がピークを越えたとみられる国々も多く、経済再開に向けた動きが広がっています。市場では今後、徐々に経済が回復に向かうことが期待されています。ただし、企業業績は4-6月期も厳しい決算が見込まれることに加え、感染第2波も懸念されるため、業績の下方修正に注意が必要です。