コロナ・ショックの影響もあって、割安株の中には配当利回りが一時的に7%を超えるようなお買い得な株が増えている。今期、来期は我慢のしどころといえるかもしれないが、業績が底堅く、親会社の支援に期待できる、無借金経営で財務力のある割安株なら株価のV字回復が見込めるかもしれない。そんな期待の割安株を株式アナリストの佐藤勝己氏が厳選! 

業績や財務力のわりに安過ぎるバーゲンセール割安株はこれだ! 

JACリクルートメント (東証1部・2124)

「外資系金融機関など、ミドルクラスからハイクラスの転職に強い人材派遣会社。海外での人材紹介が不振で今2020年12月期はもともと営業減益予想でしたが、そこにコロナ・ショックが痛撃。株価が急落したため、配当利回りは一時7%台まで上昇しました。ただ、人材派遣の停滞・落ち込みは一過性で、コロナが終息すれば業績も持ち直すはず。前期まで増配が続いてきたこともあり、業績回復なら増配にも期待できます」(佐藤氏)

日鉄物産 (東証1部・9810)

「日本製鉄系の商社で、自動車向けや建設向け鋼材の販売が主力です。コロナ・ショックによる鋼材需要の低迷懸念から、株価は、PBR(株価純資産倍率)0.4倍の割安水準まで下落しています。しかし、親会社が鉄鋼最大手の日本製鉄である以上、業績不振でも破たんリスクは皆無。株式市場では政府や証券取引所の方針で親子上場の解消が進んでおり、日本製鉄による完全子会社化→株価急騰にも期待したいところです」(佐藤氏)

バーゲンセール割安株は? 

SUBARU (東証1部・7270)

「北米でブランド力のある自動車メーカー。コロナ・ショックによる製造ライン停止や外出自粛による自動車販売の不振で、自動車株の下げが非常にきつくなっていますが、この株もその一つ。しかし、欧米では経済活動再開の動きも出てきており、PBR1倍割れまで売り込まれた分、株価のV字回復に期待できそうです。今期は厳しいですが、2022年3月期には業績も戻り、株主配当も増配に転じる可能性大です」(佐藤氏)

八千代工業 (JASDAQ・7298)

「ホンダが50%超の株式を保有する子会社で、四輪だけでなく二輪の燃料タンクなどの自動車部品を製造。前期に軽自動車組み立て事業から撤退して大幅赤字を計上したこともあり、PBRが0.2倍台という信じられない水準まで株価が売られています。ホンダが子会社の部品メーカーを相次いで完全子会社化していることもあり、この株安を機に、親子上場解消の流れに期待したいところ。リストラによる業態転換で、業績も好転しそうです」(佐藤氏)

MUTOH HD (東証1部・7999)

「業務用大型プリンターの大手で、3Dプリンターなども手掛けています。中国事業の不振にコロナ・ショックの打撃が加わり、前2020年3月期は大幅な営業赤字予想。株価もPBR0.2倍の水準まで急落しています。無借金経営で自己資本比率は70%を超えています。3Dプリンター事業という成長分野もあるので、売られ過ぎた株価の底入れ反転に期待したいところです」(佐藤氏)

バーゲンセール割安株は? 

横浜ゴム (東証1部・5101)

「国内3位のタイヤメーカーでコロナ・ショックによる自動車販売の世界的な不振にツレ安して、株価が昨年高値から半値水準まで急落しています。しかし、タイヤの原材料は原油由来なので、現在の原油安は収益にとって大きなメリット。ガソリン価格下落で自動車の走行距離が長くなってタイヤ交換が進むと考えれば、そろそろ反転上昇してもおかしくありません。配当利回りも4.5%と魅力的な水準です」(佐藤氏)

三井倉庫ホールディングス (東証1部・9302)

「倉庫業界大手で、海外向けなど総合物流事業への業態転換を図っています。不動産賃貸という高収益事業があるのも魅力です。コロナ・ショックで物流が停滞するという懸念から株価がPBR0.7倍、PER(株価収益率)5倍の水準まで下落していますが、2019年3月期には営業益がほぼ倍増しており、業績自体は堅調そのもの。業績がここからさらに悪化リスクが少なく、物量混乱が沈静化すれば株価のV字回復に期待できそうです」(佐藤氏)

ウィルソン・ラーニング・ワールドワイド (JASDAQ・9610)

「社員教育を世界中で展開する人材サービス会社で、コロナ・ショックで研修業務が停滞している影響から急落。時価総額8億円前後に対して、現預金から有利子負債を引いたネットキャッシュが17億円超もあり、株価の割安さが際立っています。コロナが終息し生産活動が急速に再開すると人手不足が深刻化、人材サービスの需要も急速に回復するはず。いずれは株価も反転上昇するでしょう」(佐藤氏)

バーゲンセール割安株は? 

オーエムツーネットワーク (JASDAQ・7614)

「食肉小売りが主力で焼肉店や惣菜店なども展開する食品会社です。業績はきわめて安定的に推移していて、コロナの影響がさほどあるとは思えませんが、PBR0.6倍の水準で株価は低迷しています。しかし、無借金経営で、時価総額をはるかに上回る68億円もの現預金があり、財務面はピカイチ。営業利益も安定しており、積極的な株主還元や投資ファンドによる買収攻勢などにも期待できそうです」(佐藤氏)

ミクニ (東証1部・7247)

「二輪、四輪の燃料噴射装置が主力の自動車部品メーカーで、軽自動車のスズキとともにインドに進出。インドでの売上が収益に大きく貢献しているインド関連銘柄として知られています。コロナによるインド全土のロックダウンが嫌気されて株価はPBR0.2倍の安値水準まで急落。コロナ・ショックが終息してインドでの自動車生産が再開すれば、売られ過ぎた株価も持ち直すはずです」(佐藤氏)

※本記事は2020年5月15日現在の株価情報などによるものです。

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