みんな大好き成長株。でも想定していた成長ストーリーが崩れると一転、叩き売られることもある成長株選びは難しく、緻密な分析が必要だ。そこで金融アナリストの森永康平氏に有望成長株を厳選してもらった。
成長力が魅力!注目分野のイチ押し企業を厳選
ギフティ (東証マザーズ・4449)
「『eギフト』というネット上でやり取りできる電子チケットの発券・流通という独自のプラットフォームを国内やマレーシアなどでも展開しています。スターバックスやサーティワンの店舗でバーコードを見せると商品がもらえる手軽なギフトサービスが人気です。2017年12月期に2,700万円(単体)だった営業利益が2019年2月には5億3,800万円(連結)まで急成長。その間の利益率もずっと上がり続けており、際立った競合がまだいない点が強みです」(森永氏)
レーザーテック (東証1部・6920)
「高精密な半導体露光技術の中核素材となるガラス製のマスクブランクスの欠陥検査装置のパイオニア企業。次世代通信5G向けのロジックデバイスやスマホや車載向けイメージセンサー向けの欠陥検査装置が稼ぎ頭で、成長市場をしっかり取り込めています。今期2020年6月期は4期連続の増収増益で、営業利益が倍増の勢い。昨年までも3年連続で売上・利益ともに過去最高額を更新しています。高い技術力でさらなる急成長モードに入った伸び盛り企業です」(森永氏)
次の成長期待株は?
ワークマン (JASDAQ・7564)
「ファッション性の高い激安の建設作業服が一般消費者にもウケ、「第2のユニクロか」という期待感で株価も急上昇しています。その上昇は単なる一時的な人気ではなく、着実な売り上げや利益の成長によるもの。売上高に対する利益率の割合も少しずつですが上昇。一時はPER(株価収益率)70倍まで急騰しましたが、さすがに買われ過ぎということで半値水準まで暴落。そこから反転上昇している今は押し目買いの好機といえます」(森永氏)
スマレジ (東証マザーズ・4431)
「スマホを使った高機能のクラウド型POSレジサービスを展開するIT企業。POSレジは、流通・小売り業者が販売データを分析したり商品補充を行うために欠かせないインフラですが、そのPOSレジを手軽なスマホアプリで行える利便性の高いサービスは今後も成長期待大です。消費税の軽減税率特需などもあり5期連続増収、3期連続増益を達成し、今期も増収増益予想。自己資本比率も85%と高く、新規分野を開拓するための資金余力も十分です」(森永氏)
ロゼッタ (東証マザーズ・6182)
「AI(人工知能)を活用した自動翻訳サービスを手掛ける会社です。前期(2020年2月期)の営業利益は4.5億円程度と30%以上の利益成長となっています。金融や法務系企業に向けた受注残高が着実に伸びていて、今後、急成長モードに入る可能性に期待できます。多くの企業が海外進出する流れは今後もさらに加速しそうで、言葉の壁克服に対するニーズは高まっています。翻訳能力も日に日に向上している点も評価でき、今期も来期も高い利益成長が見込まれています」(森永氏)
次の成長期待株は?
M&Aキャピタルパートナーズ (東証1部・6080)
「中小企業向けの事業承継の仲介やコンサルタントを手掛ける会社。平均給与が3,109万円と上場会社で一番、社員の年収が高水準の会社としても有名ですが、それぐらい専門性が高く、効率よくビジネスをしているといえます。2018年9月期は営業減益となりましたが、その後は着実に利益が伸びています。少子高齢化で事業の清算や承継を考えているオーナーも多く、今後も同社に対するニーズは高止まりするでしょう」(森永氏)
MonotaRO (東証1部・3064)
「工事現場や工場の資材や消耗品のネット販売で急成長している会社です。コロナ・ショックによるネット通販需要拡大の思惑から株価が上場来高値を更新するほどの勢いがあり、それを裏付けるように年率20%近い増益が続いています。PER70倍前後、PBR(株価純資産倍率)20倍以上まで買われており、バリュー投資家なら高過ぎて絶対に手が出せない価格水準ですが、割高感をモノともせず上昇している教科書通りの成長株です」(森永氏)
オービック (東証1部・4684)
「老舗のシステム会社で、かつては会計ソフトの『勘定奉行』が有名でしたが、近年は企業の人事、給与、会計から販売、生産情報まですべてを管理できる基幹情報システム構築が主力です。地味ですが、無借金経営で25期営業増益を続けるなど、非常に優秀な業績を長期間にわたって続け、2016年から持っていれば3倍高、2012年からだと10倍以上も値上がりしています。典型的な『いい会社』と言えるでしょう」(森永氏)
次の成長期待株は?
朝日インテック (東証1部・7747)
「カテーテルに使われる医療用ステンレスワイヤーロープのメーカーです。日本だけでなく、米国、欧州など世界中にバランスよく販売網を広げており、海外売上比率は7割弱です。そのため為替変動の影響も考慮しなくてはいけないのが注意点ですが、着実な利益成長が続いており、ここ2年ほどは積極的な海外展開が貢献して、営業増益率が拡大。世界の医療を相手にニッチな分野で高い技術力と競争力を持った高成長企業です。今期はやはり為替動向や、医療償還価格の下落などの外部要因があり、数字上の成長は停滞しますが、成長ストーリーに陰りは見られません」(森永氏)
ブレインパッド (東証1部・3655)
「AIを使った企業のビッグデータ分析やネット広告などのデジタルマーケティングを行っている会社です。2019年6月期に営業利益がほぼ倍増するなど、直近2期、そして売上高の急増が見込まれる来期(2021年6月期)に向かって、今後もさらなる成長加速に期待できそうです。何かと注目度の高いビッグデータやAIというテーマに乗った有望成長株として注目しています。今期の利益の伸びは停滞しますが、今後の成長のために意図的に投資を増やすことによる停滞なので、成長シナリオに変更はないと見ています」(森永氏)
※本記事はすべて2020年5月15日時点の株価情報などによるものです。
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