株価が10倍に上昇するテンバガー株。やみくもに狙ってもなかなかつかめません。重要なのは「候補の見つけ方」と「地合い(個別銘柄や相場の状況、環境、値動き)」です。
テーマ株でのテンバガー・材料が出現しそうな銘柄の初動をつかむ
前回、テンバガー(10倍株)の基礎知識についてお話ししました(基礎知識編)。今回は、どのようにテンバガー候補を見つけるか、筆者のやり方を披露します。
まずテーマ株についてです。テーマ株でのテンバガーは、ほんの数カ月程度で達成することがあるので、もし乗ることができれば非常にラッキーです。ただし、高値掴みを防ぐため、「株価上昇の初動をつかむ」ことと、「損切りを徹底すること」が求められます。
例えばコロナ・ショックの際、「新型コロナウイルスのワクチンを開発しそうなバイオベンチャー」と当たりをつけ、株価が上昇を始めたらすぐに乗る、ということができればその後の株価急上昇の恩恵を受けることができました。
しかしながら、すでに株価が短期間で大きく上昇してから買うと、もちろんそこから株価がさらに上昇することもありますが、早晩天井をつけて急落してしまう可能性も高まります。
株価が短期間に急騰した銘柄の全てが、株価5倍、10倍に発展するわけではありません。逆に、テンバガーを達成する銘柄よりはるかに多い数の銘柄が、数日株価が急上昇した後は天井をつけ、大幅な下げに転じてしまうのです。
もし短期急騰時に飛び乗るのであれば、どうなったら損切り・撤退するかのルールを決め、それを必ず守ることができる人だけ実行するようにしましょう。
業績回復株のテンバガー・過去の株価の動きをチェック
業績回復により株価が大きく上昇する可能性が高い株を見つけるためには、過去の株価の動きをチェックしてください。
例えば2000年のITバブルから大きく下落したものの、底打ちした後は2006年くらいまで大幅に上昇、その後2008年のリーマン・ショック後に再び大幅下落となったが2013年以降は再度大きく上昇…という動きです。
つまり、バブルになれば大きく上昇する一方、バブルが崩壊すれば大きく下落する銘柄を見つけることが有効です。
言い換えれば、国内外の景気等の影響により業績の変動が激しく、株価が大きく上昇したり下落したりを繰り返している銘柄です。
典型例は不動産株です。不動産株の過去の株価チャートをみていただければ、株価が大きく波打って上下していることが分かります。
それ以外に、鉄鋼や海運、半導体などといった景気敏感株が候補になります。
あとは、業界トップの銘柄より、3番手以降の銘柄の方が、株価の変動が大きくなるためテンバガーになりやすいです。そして、大型株よりも中小型株の方が同様に、株価の変動が大きいためテンバガーの可能性が高まります。
好業績が続く株のテンバガー・低PER後が狙い目
好業績が続く株については、PER(株価収益率)が1つのポイントと見ています。例えば2013年以降のアベノミクス相場で株価が10倍以上になった好業績株は、すでに2012年以前から業績が年々伸びていて、成長株の要素を満たしていました。しかし、地合いが悪いため、株価が上昇しなかったのです。
実際、2011~2012年頃は、毎年増収増益が続いているのに、PERが5~7倍くらいにしかなっていない成長株が数多くありました。
こうした成長株が、地合いの変化とともに見直されていき、上昇相場になったときに株価が大きく上昇するのです。
例えば上昇前のPERが6倍で、5年間で業績も3倍となり、かつ上昇相場でPER20倍が許容されるとなれば、5年後の業績で考えれば今の株価でのPER2倍から、PER20倍まで買われる計算です。その結果、株価10倍となり、テンバガーを達成することになるのです。
実際、2013年以降に成長株の多くがテンバガーを達成しましたが、低PERで放置されている成長株をあらかじめ見つけておけば、株価上昇の恩恵を受けることができたのです。
どのような地合いでテンバガー株が生まれるか?
過去にテンバガー株が生まれたケースを振り返ると、「株価が大きく下落した後に上昇がスタートする」という共通の特徴があります。
例えば、2005年や2013年の日本株は、バブル相場をほうふつとさせるほど多くの銘柄の株価が何倍にも上昇しました。では、上昇する前はどうだったかといえば、2005年は2000年前後のITバブルが崩壊し、株価が大きく下落、その後も低迷が続いていた時期でした。
2013年も同様に、2008年のリーマン・ショックにより株価が暴落した後、さえない動きが続いていました。
考えてみれば当たり前かもしれませんが、株価が10倍になるには、そのスタート地点の発射台が低ければ低いほど、可能性は高まります。
株式市場全体が大きく上昇しているところから株価がテンバガーを達成するケースもありますが、頻度からすればかなり低いです。
これを今回の「コロナ・ショック」に当てはめると、2000年のITバブル崩壊や、2008年のリーマン・ショック時には日経平均株価が60%以上の下落となりました。
しかし、コロナ・ショックでの日経平均株価下落は30%ほどです。
したがって、過去の経験則からいえば、まだ下げが足りないといえますし、個別銘柄の株価をみても、まだ発射台が高いなあ、という印象です。
もちろん、これはテンバガーに発展する銘柄が多数発生するかどうかという意味での地合いですから、ここから株価が10倍は難しくとも、2倍、3倍になる銘柄が出てくる可能性は大いにあります。
前回も申し上げた通り、テンバガーは狙って買うものではありません。もし発射台が高く、株価10倍はなかなか期待できないとしても、株価が上昇トレンドを続けている間はしっかりと株を保有して、利益を伸ばしていくべきです。もしかしたら、中にはテンバガーを達成できる株も混ざっているかもしれません。
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