20年1-3月期は実質29%増益、“巣ごもり”で主力のゲームが好調

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

429.60HKD
(5/14現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 テンセントの20年1-3月期決算は、非IFRSベースの純利益が前年同期比29.4%増の271億元に達し、市場コンセンサス予想を9%、BOCIの予想を15%上回った。主にモバイルゲームとソーシャル広告収入の好調によるもの。BOCIは5月以降のゲームDAU(1日に1回以上ログインするユーザー数)の減速を見込みながらも、新たなゲーム作品の投入や海外市場での浸透を理由に、続く4-6月期も成長が続くと予想。20-22年の利益見通しをそれぞれ2%、6%、9%増額修正した。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期のモバイルゲーム収入は前期比で33.7%増、前年同期比では64%増の286億元。感染対策としての外出制限を背景に、ゲームプレー時間が伸びたことや、ソーシャルネットワークの利用ニーズが高まったことが寄与した。また、ゲームエンジンのアップグレードやロケーションベースのチームプレーシステムの導入も、ゲーム内アイテムの購入やプレーヤー同士の交流を促す効果があったという。海外市場に目を向けると、新作RPG「Code:D Blood」(コード:ドラゴンブラッド)は、上陸したばかりの日本で人気を博している。

 広告部門を見ると、多国籍企業を筆頭とする各企業の広告支出の縮小を受け、メディア広告収入は前年同期比10%減の31億2,000万元にとどまったが、これをソーシャル広告(146億元)の47.4%増が十二分にカバーした。トラフィックの増加とeCPM(effective Cost Per Mille:特定期間に生じた広告課金額を1,000回表示当たり単価に換算)の上昇に伴う広告インプレッションの増加がソーシャル広告の好調の背景。業種別では新型コロナの流行で、FMCG(日用消費財)や自動車、旅行などの広告出稿が低調だった。

 一方、フィンテック部門では、1-3月のサービス収入は前年同期比で22%増、前期比では11.5%減。社会活動の停滞で、オフライン決済が減速したことが前期比の縮小を招いた。ただ、ウェルスマネジメントや貸し付けといった高利幅のサービスが拡大する中、フィンテックサービス全体の利益率は安定的に推移した。また、1日当たりの平均商取引高も、4月の最終週には19年後半並みの水準を回復した。

 BOCIはコア事業と投資(保有価値に対して30%のディスカウントを適用)を含むSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づき、同社の目標株価を上方修正した。4月のオプションの行使で、米NY上場企業、虎牙(HUYA)に対する議決権を50.1%に引き上げたことから、今回の目標算出においては虎牙を子会社として組み入れた。この先のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは5月に入ってからの社会経済活動の正常化に伴い、ゲームDAUが減少し、ゲーム収入の縮小につながる可能性を挙げている。