上昇率、2週連続で原油がダントツ1位。貴金属の上昇も目立つ

 先週も、原油の上昇が目立ちました。上昇率は20.4%(24.63ドル→29.65ドル 1バレルあたり)で、2週連続で、本コンテンツで注目しているジャンルを横断した23銘柄の中で、1位でした。

 原油に次いで、上昇したのが貴金属です。上昇率2位となった、それにプラチナ(3位)、(4位)、パラジウム(5位)、が続きました。

 一方、日経225上海総合指数ナスダックS&P500NYダウなどの、主要な株価指数は下落しました。また、天然ガスは、週次の統計で、米国内で生産量が増加したことが明らかになったことをきっかけに、下落しました。

 全体的には、上昇銘柄数が9、下落銘柄数が14、最大と最小を除く変動率の平均は-0.2%でした。5月8日(金)から15日(金)については“原油と貴金属を除き、おおむね弱い週だった”と言えます。

※金とプラチナの足元の価格動向と変動要因の詳細は、今週の週刊コモディティマーケット『昭和57年来、初の6,000円台!東京金の現状と今後を分析』で詳細を述べます。

5月8日(金)から5月15日(金)までの週のジャンル別騰落率

注:楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
注:ビットコインは楽天ウォレットのビットコイン価格を参照。日本時間の前々週土曜日午前6時と前週土曜日午前6時を比較
注:プラチナ、パラジウムは楽天証券のマーケットスピードCX内「海外市場」のデータを参照
注:騰落率は週足の終値をもとに算出(前週終値-前々週終値)

今週の見通し

 原油は、4月20日(月)にマイナス価格をつけた後、反発傾向が続いています。引き続き、今月からOPECプラス(OPEC加盟国13カ国に、ロシアを含んだ10の非加盟国を加えた合計23の産油国の集団)の減産が始まったこと、米国などで新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした経済活動の制限が一部解除されたこと、などが反発要因として作用しているとみられます。

 また、5月13日(水)に公表された米国の週次ベースの原油在庫が、16週ぶりに減少に転じたことも、原油相場を下支えする要因になっていると考えられます。

 4月20日(月)に、米国の原油在庫の過剰感が強まったことが一因となり、原油価格は一時、マイナスになりました。一方、13日に公表された原油在庫は16週ぶりの減少だったため、在庫の問題が一時的に鎮静化しました。このため、6月限の納会日である5月19日(火)の直前に、同限月がマイナス価格に再び陥る懸念が遠のき、市場に安心感が生じているとみられます。

 今週、引き続き原油在庫が減少し、同時に、主要株価指数の反発が目立てば、原油相場はさらに上値を伸ばす可能性があると、筆者は考えています。また、主要株価指数の動向に関わる、各種経済指標の動向にも注目です。

 今週は引き続き、欧米、日本などで4月前後の、各国・地域の景況感に関わる経済指標が公表されます。

 5月19日(火)に日本の3月の鉱工業生産、英国の4月の失業率、ドイツとユーロ圏の5月ZEW景況感調査、21日(木)に英国の5月の製造業およびサービス部門の購買担当者景気指数(PMI 速報値)、ロシアの4月の実質鉱工業生産、米国の5月の製造業およびサービス部門の購買担当者景気指数(PMI 速報値)、22日(金)に英国の4月の小売売上高、フランス、ドイツ、ユーロ圏の5月の製造業およびサービス部門の購買担当者景気指数(PMI 速報値)などが公表されます。

 また、19日(火)と21日(木)に、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言が予定されており、足元の米国経済の動向と今後の見通し、今後の米国の金融政策の方向性などが示されます。現在進行中の、米国を含んだ先進国の緩和的な大規模な金融政策は、このような政策を行う先進国の通貨の、価値の希薄化につながる可能性があり、こうした懸念が、相対的に、国籍を持たない通貨である金(ゴールド)の物色をさらに進める、動機になると考えられます。

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