4月販売台数がプラス成長回復、5月以降の復調持続に期待

現地コード 銘柄名
00175

吉利汽車

(ジーリー・オートモービル)

株価 情報種類

12.58HKD
(5/7現在)

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 吉利汽車の4月の自動車卸売販売台数は前年同月比1.5%増の10万5,468台と、小幅ながらもプラス成長を回復し、BOCIの予想を上回った。BOCIが行った販路リサーチによれば、エンドユーザー需要は4月後半以降、「Lynk & Co」(買収したボルボとプラットフォームを共有した新ブランド)を中心に回復傾向が鮮明。ディーラー在庫も1.5カ月以下と、健全なレベルにあるという。新型コロナウイルスの感染拡大は自動車メーカーの20年1-3月期決算に多大な影響を及ぼしたものの、BOCIはその影響は一時的とみて、同社の目標株価の算出基準を「20年予想」から「21年予想」ベースに変更。これに伴い目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。新たな目標株価は21年予想PER(株価収益率)で13倍に当たる。

 BOCIは短期的に、新車需要の回復と在庫の縮小が卸売台数を押し上げると予想し、5月には2桁増も期待できるとしている。中期的には、中国経済の減速が懸念されるものの、感染防止意識から公共交通機関を避ける傾向が続くとし、新規の自家用車需要の押し上げ効果を予想。吉利汽車をはじめとする中低価格帯主体のメーカーに有利とみる。BOCIは今のところ、20年の予想販売台数を140万台に維持しているが、この数字を達成するためには、残る8カ月間、月平均の販売伸び率が20%を超える必要がある。

 同社の4月の卸売台数は前年同月比1.5%増の10万5,468台と、1-3月の前年同期比43.8%減からプラス成長に転じた。車両タイプ別では、MPV「嘉際」が69.7%減少したものの、セダン、SUVはそれぞれ3.6%増、5.0%増。一方、新エネルギー車市場全体の不振を背景に、同社のNEEV(新エネルギー車および電気自動車)販売台数は4月に33.0%減の5,439台にとどまった。また、4月には新型コロナウイルスの影響で、輸出台数が38.3%減少する半面、国内向けは4.4%増の10万1,102台。ブランド別に見ると、Lynk & Coが11.6%増。吉利ブランドはほぼ前年同月並みだった。

 BOCIの販路リサーチによれば、エンドユーザー需要は4月後半から明らかに回復傾向に転じており、4月月間の小売販売台数の減少率は1桁台前半まで縮小した可能性がある(3月は約20%減)。ブランド別では、Lynk & Coの需要回復ペースが吉利ブランドを上回るという。

 BOCIは同社の20年、21年の予想純利益を73億元、96億元に据え置き(19年実績は82億元)、この水準は達成可能とみている。現在株価の20年、21年予想PERは14.4倍、11.0倍。20年1-3月期の決算発表が4月末までに終わったことで、5-6月には市場の焦点が決算内容から販売統計に移ると予想。最近の需要回復トレンドが自動車セクターに対するセンチメントの改善につながる見通しを示した。香港上場の完成車メーカーの中では、吉利汽車と広州汽車集団(02238)をトップピック銘柄としている。