今週の予想

 米国では、先週末の4月雇用統計が戦後最悪だったことを筆頭に、あらゆる経済指標が悪化しているものの、株式相場はそれらを織り込み、堅調な動きとなっています。

 日経平均株価も、欧米での外出禁止の一部緩和が進み、経済活動再開への期待が高まったことや、日本政府が緊急事態宣言を1カ月延長したものの、新規感染者数が減少傾向にあることから、新型コロナウイルス終息への期待が高まり、先週末は1週間ぶりに2万円台を回復しました。

 今週の日経平均は、2万円台に乗せたものの戻り売り圧力は強く、先週と同じように時間外での米株先物の動き、為替相場の動き、原油市況などの海外要因に左右されやすい状況は変わりません。目先の上値は4月30日の2万365円をうかがう展開も想定され、ここを抜けると2万500円水準までは上昇しそうです。

 また、今週は全体相場の動きというより、主要企業の2020年3月期決算の発表が5月15日にピークを迎えるため、トヨタやソニーなどの国際優良株が新型コロナの影響についてどのように言及するのかに注目が集まります。

 そして、今週の日経平均の動きは経済活動再開の期待を織り込みつつあり、14日にも判断されるという緊急事態宣言の34県解除への実現に期待をさらに織り込む可能性があります。

 海外では12日に米国と中国の4月のCPI(消費者物価指数)、15日に小売売上高などが発表されることも注目材料です。

 相場の今後の大きな流れを考えると、ナスダック株価指数が8日にかけて5連騰となり、昨年来水準を上回っており、ハイテク株や半導体関連が相場をリードする業種になることが想定されます。

 一方、相場の上昇に水をさすものとしては、トランプ米大統領が、新型コロナウイルスの発生源を中国に求めており、膨大な損害賠償を請求すると言及していますので、米中関係が悪化すれば世界経済の回復に悪影響を与えることになります。その場合、下値ポイントは1万9,500円水準となります。

(今週の指標)日経平均株価

 先週に引き続き、今週も国内外での経済活動再開の動きが注目され、米株式の堅調な動きが継続すれば、日経平均も連動することになります。ただし、日経平均は時間外でのNYダウ先物、為替相場、原油市況など海外要因に左右されやすいので、2万円のフシ目を中心に展開しそうです。上値は4月30日の2万365円が1つ目の上値ポイントとなります。米中関係が緊迫化すれば、下値ポイントは1万9,500円水準となります。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 足元では過去最悪の経済指標が続出しているものの、チャートは底打ちしており、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)など世界の中央銀行は金融緩和のスタンスを取り続けていますので、先週に引き続き株式相場の下値は限定的で堅調に推移すると思われます。

 アップルは米国内での店舗を今週から再開するなど経済活動再開が一段と進む見通しです。

(今週の指標)ドル/円

 今週のドル/円は、最悪の結果の米雇用統計が通過したことで底入れ期待も出て、底堅い動きとなりそうです。

 トランプ米大統領が新型コロナウイルスの発生源である中国へ報復する発言をし、緊張状態が高まったことで、米通商代表と中国の副首相が8日、電話協議を行って米中対立も弱まりましたが、警戒感は消えていません。また、感染拡大は頭打ちとなったものの死者は増加しており、経済活動の再開に慎重な州も多い状態です。しかし、前例のない悪化となった4月の米雇用統計を織り込みつつあり、景気底入れへの期待が広がりつつあるので、ドル買いが有利となる可能性があります。

先週の結果

米株式上昇のサポートで、GW明けの日経平均は約500円底上げ

 2週間前(4月27日)の予測では、ゴールデンウイーク入りで5月8日までの2週間は1万9,000~2万円の間での神経質な展開を想定しました。

 結果的には、米株式が反発したことで、約500円底上げし1万9,400~2万400円の間の大きな上下動となり、週末の8日は、2万円台を回復して引けました。

4月27日(月):24日の米国市場で原油相場の3日続伸や、トランプ米大統領が中小企業への支援の法案に署名したことで主要株価3指標そろって大幅高。これを受けて日経平均は+148円の1万9,410円で寄り付き、時間外の米株先物の上昇に連動し、上げ幅を拡大して+521円の1万9,783円と大幅反発となりました。 

28日(火):27日の米株式は3指標そろって大幅続伸しましたが、日経平均は前日にすでに織り込んでいたことで、▲12円の1万9,771円と小反落でした。

29日(水):昭和の日で休場。

30日(木):29日の米国市場で新型コロナウイルス治療薬への期待やFRBの支援策表明を好感し、3指標そろって大幅高(NYダウは+532ドルの2万4,633ドル)となったことで、寄り付きから+334円の2万105円と2万円台を回復して始まりました。その後もしっかりした動きとなって、一時+594円の2万365円まで上昇して、終値は+422円の2万193円と2カ月ぶりに2万円台を回復して引けました。 

5月1日(金):30日の米国市場で経済指標が軒並み悪化したことや、月末の取引で持ち高調整の動きもあり、3指標そろって反落。これを受けて日経平均は売り先行で▲201円の1万9,991円で寄り付きました。その後、時間外での米株先物が一段安となったことで、日経平均も連動し、一時▲641円の1万9,551円まで急落。週の終値は▲574円の1万9,619円と大幅反落となりました。その後の日本の連休中のNYダウとCME(シカゴ日経先物)の動きは、5月1日(金)▲622ドルの2万3,723ドル、▲115円の1万9,515円、5月4日(月)は▲26ドルの2万3,749ドル、▲240円の1万9,390円、5日(火)は、+113ドルの2万3,883ドル、▲85円の1万9,545円、6日(水)は▲218ドルの2万3,664ドル、▲270円の1万9,360円でした。

7日(木):前日のNYダウの下落を受けて、前場は▲150円の1万9,468円で寄り付き、▲170円の1万9,448円まで下げるものの、後場には時間外の米株先物の上昇を支えに切り返し、+55円の1万9,674円と反発して引けました。

8日(金):7日の米国市場で経済活動再開期待を背景に3指標そろって反発。特にナスダックが4日続伸で昨年来水準を回復したこともあり、日経平均は+297円の1万9,972円で寄り付くと、上げ幅を拡大し後場には中国株や時間外の米株先物の上昇にサポートされ、+504円の2万179円と高値引けとなりました。5月のSQ(特別清算指数)値は2万73円でした。

 日本市場引け後の米国市場は、4月の米雇用統計は失業率14.7%(前月4.4%)と戦後最悪となりました。しかし、予想より悪くなかったことや、米中電話会議で貿易協議第1段階の合意の実現に向けた協力で一致したという報道で、米中緊張緩和期待が高まったこと、さらに欧米で外出制限を緩和する動きが広がってきたという見方から、NYダウは+455ドルの2万4,331ドルとなり3指標大幅高となりました。この上昇は後付けのような気がしますが、要するに金余りということにつきます。シカゴの日経先物は+70円の2万210円でした。