日経平均は米国株の上昇に伴い2万円台回復
4月末となる30日(木)の日経平均株価終値は2万193円となり、3月6日以来の2万円台を回復しました。経済活動の再開に向けた動きや新型コロナウイルスの治療薬などに対する期待によって、上昇した米国株の流れを引き継いだ格好です。
また、延期されていた中国の全人代(全国人民代表大会)が5月22日に開幕すると発表されまた。全人代については前回のレポートで指摘していましたが、個人的には思ったよりも発表が早かった印象です。いずれにせよ、全人代で中国の予算が成立し、財政出動への期待も追い風になります。
国内株市場は5月6日(水)まで休場となりますが、連休明け後の市場の視界は晴れ模様が続くのでしょうか? もちろん、連休期間中の新型コロナウイルスや海外株式市場の動向次第なのですが、相場環境を整理し、今後の株価推移のシナリオについて考えてみたいと思います。
まずは足元の状況です。
■(図1)日経平均(日足)の動きとMACD(2020年4月30日取引終了時点)
冒頭でも触れた通り、30日(木)の取引で日経平均は2万円台に乗せました。この日は「窓」空けによる上昇でした。
また、株価が「上昇ウェッジ」の下限の線から上抜ける「上放れ」になりつつある他、下段のMACDについても「0円」ラインを超えてきていますので、日足チャートの形は良い方向へ向かっていると言えます。
この状況を維持できれば、さらに上値を伸ばして75日移動平均線をトライするシナリオも見えてきます。30日(木)時点の75日移動平均線は2万994円ですので、2万1,000円台を目指すことになりますが、連休明け後の株式市場のムードに左右されます。
ネガティブ・ポジティブ両方の捉え方ができる
■(図2)日経平均(日足)とギャン・アングル(2020年4月30日取引終了時点)
次に、30日(木)の日経平均のローソク足の位置を上の図2で確認すると、ちょうどギャン・アングルの「4×1ライン」、そして、2月6日から3月19日の下げ幅の「半値戻し」のところです。2万円台に乗せながらも、ひとまず様子をうかがっている面もあるわけです。
また、30日(木)の日経平均の前日比の上昇率は2.14%ですが、同じ主要株価指数のTOPIX(東証株価指数)の上昇率は1.03%にとどまっており、日経平均先行型で上昇していました。そのため、連休を前にした売り方の買い戻しなど先物主導で動いていたと思われ、「足元の買いは長くは続かない」というネガティブな捉え方と同時に、「連休中の海外株市場が上昇する見込みが強いからこそ、買い戻しが入った」とポジティブに見ることもできるわけです。
チャイナ・ショック、リーマン・ショック後の戻りパターンを比較
ポジティブにしてもネガティブにしても、時間の経過とともに相場は戻りを試していくことになります。いずれは「8×1ライン」を超えて、下落前の株価水準を目指していくわけですが、そこまでの道のりについて過去の状況から考えていきます。
■(図3)「チャイナ・ショック」時の日経平均(週足)とギャン・アングル
まずは「チャイナ・ショック」の時です。
2015年8月に発生した急落がいったん底打ちした後の日経平均は、8×1ラインまであっさりと戻していきましたが、その後に3×1ラインまで大きく反落し、再び8×1ラインを超えていくまでに、半年以上かかり、そのあいだに「ダブル・ボトム(二番底)」をつけています。
続いて「リーマン・ショック」です。
■(図4)「リーマン・ショック」時の日経平均(週足)とギャン・アングル
リーマン・ショックの時は、急落が一服した後に、底値圏でもみ合いながら3カ月を経て4×1ラインに到達しましたが、8×1ラインまで戻すのにさらに5カ月間もかかっています。やはり、そのあいだにダブル・ボトムを形成しています。
両者に共通して言えるのは、「8×1ラインを抜けきるのにかなりの時間を要している」こと、そして「ダブル・ボトムを形成している」ことです。
ただ、異なるのはダブル・ボトムを形成する株価水準とタイミングです。チャイナ・ショックの時は最初の急落から勢いよく反発したものの、ダブル・ボトム自体はさらに一段切り下げたところで形成され、リーマン・ショックの時は最初の急落が止まり、戻りの勢いは出ないものの、ダブル・ボトム自体は急落が止まった株価水準で形成されていきました。
株価の戻りに勢いがある足元の相場は、どちらかというとチャイナ・ショックの時に似ている印象です。必ずしも歴史が繰り返されるわけではありませんが、気に掛けた方が良いのかもしれません。
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