業績の実体反映へ評価方法見直し、調整後の19年純利益は大きく下押し

現地コード 銘柄名
00257

中国光大国際

(チャイナ・エバーブライト・インターナショナル)

株価 情報種類

4.33HKD
(4/17現在)

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 BOCIは中国光大国際の収益状況をより正確に把握するため、バリュエーション算出方法を見直したと明らかにした。サービス譲与契約に関する会計処理規定「IFRIC 12号」の適用で損益計算書(PL)の数字と実体との間にずれが生じているとみて、これをできる限り排除。調整後には19年通期純利益は前年比11%増と、決算報告書に示された20%増を下回るとした(IFRIC 12号は公共機関から公共インフラなどの建設・運営サービスを委譲された場合の会計処理を規定する国際会計基準の一項目)。BOCIはまた、サービス料金に関する政策的な不透明感がプロジェクト入札や工事の遅れにつながる可能性に触れ、当局の補助金支給の遅延もバランスシートの膨張につながりかねないと指摘。新規のDCF(ディスカウントキャッシュフロー)モデルに基づいて目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げた。

 19年12月本決算を見ると、建設収入が前年比44%の伸びを示し、同社全体の20%の利益成長をけん引した。ただ、BOCIによれば、「IFRIC 12号」は建設コストを設備投資でも仕掛品でもなく、「建設収入」科目に算入するよう規定しており、結果的にPLのインフレ効果やキャッシュフロー(CS)のぶれにつながる。こうした影響を排除するため、中国会計基準(CAS)に即して計算し直した結果、19年の純利益は前年比11%増の16億2,600万HKドル。人民元換算では同7%増になったという。この調整後の純利益とPLに示された19年純利益(52億300万HKドル)とのかい離は69%と、過去最大。BOCIはその理由として、【1】19年には建設収入の比重が大きかった【2】3つの事業部門全体の営業利益率が過去最低だったの2点を挙げた。

 このうち営業利益率が悪化した理由についてBOCIはBOT(建設・運営・移譲)プロジェクト関連の前受金の縮小を挙げた。これは新型コロナウイルスの影響で、20年年初に予定されたプロジェクトの完工時期が遅れたのが原因。一方、BOCIは19年上期に比べた下期の急激な営業利益率の悪化に目を向け、数百万HKドル規模の建設前受金の計上が先送りされたと推定。この分が20年上期にも計上される可能性に言及している。ただ、こうした状況から、BOCIは廃棄物発電(WTE)施設の建設が全て終わった後の長期的なWTE事業のマージンがどの程度になるか疑念が生じると指摘。19年下期決算を見る限り、同事業の採算性が予想を下回る可能性があるとしている。

 経営陣は20年にプロジェクトの買収ペースを減速させる意向。BOCIによれば、ごみ処理料金の値上げに応じられる地方政府は限られ、新型コロナによる景気悪化で地元住民に転嫁することも難しいのが現状。すでに常態化している補助金支給の遅れと大規模な設備投資で、バランスシートが膨張する可能性も指摘。ライツイシューを行った後の18年末に56%だった純負債比率が、22年には141%まで上昇する可能性に言及した。