現地コード 銘柄名
00763

中興通訊

(ZTEコーポレーション)

株価 情報種類

24.00HKD
(4/6現在)

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チャイナ・モバイルの5G無線設備約3割を受注、懸念材料は米訴訟リスク

 中興通訊は堅調な内容の19年本決算を発表したのに続き、有力通信キャリアであるチャイナ・モバイル(00941)の5G無線ネットワーク設備の調達入札で、全体の28.7%を獲得したことを明らかにした。BOCIは訴訟リスクや規制面の不確実性を反映させる形で、目標株価を引き下げながらも(目標算出ベースを1年フォワードPER[株価収益率]19.26倍に下方修正)、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 19年12月期本決算の純利益は51億4,800万元(前年は69億8,400万元の赤字)。BOCIの予想(50億8,800万元)を1%、市場コンセンサス予想(49億1,200万元)を5%の幅で上振れた。

 同社はチャイナ・モバイルが行った5G無線ネットワーク設備の入札で、基地局6万6,653局を受注した。受注総額は107億元で、全体に占める割合は28.7%。設備ベンダー別では、華為技術(ファーウェイ)に次ぐ2位だった。5G基地局の平均販売価格は1局当たり16万1,000元と、4G基地局の平均価格を60%上回る水準。ただ、BOCIは中国以外での類似ハードウェアの平均価格に比べれば、この金額はかなり低いと指摘。20-21年の利益見通しを見直す中で、ワイヤレスネットワーキング製品の平均販売価格に関する想定値を下方修正した。

 今後のレーティングの見直しにつながるリスク要因として、BOCIは米国での訴訟問題を指摘。同社が現在直面している規制面でのリスクが改めて浮き彫りになったとしている。また、世界を取り巻く政治・経済面の不透明感がネガティブ材料になり得るとの見方。同社株の一段の再評価が難しくなる可能性に言及している。

 BOCIは中国国内の通信キャリアからの受注見通しが明確さを増したことや、利益見通しの上方修正の可能性が出てきたことを前向きに評価しながらも、米国での訴訟、規制リスクを憂慮。この要因を反映させる形で、目標株価の算出ベースとする1年フォワードPERを、「+1標準偏差」から、「ヒストリカル平均値と-1標準偏差の中間点」に修正。これに伴い目標株価を引き下げた。今後の潜在的な支援材料としては、チャイナ・テレコム(00728)グループ、チャイナ・ユニコム(00762)グループからの5G契約の獲得を挙げている。

 一方、5G基地局の契約価格が国際ベンチマークを下回ったことは、逆に通信キャリア側に有利。BOCIは5Gネットワークの構築を進めるキャリア各社に、短期的に恩恵が及ぶとみる。また、キャリア各社による大型の発注契約は、ファーウェイ、中興通訊、エリクソンといった有力設備ベンダー間のシステムの相互運用性を改善させるとともに、拡張可能性の高いサプライチェーンの構築を後押しするとの見方。結果的に、グローバル市場における製品競争力が高まるとみている。