今週の予想

7日の緊急事態宣言の効果がどう出るか注目

 欧米で新型コロナウイルス感染拡大がピークアウトとの見方から、先週の株式市場は大幅上昇となり、国内株式も先物主導で大幅高となりました。しかし、国内の現時点での感染者数は増加を続けているため、緊急事態宣言の効果がどう出るかが、今週の注目点となります。

 先週の日経平均株価は1万9,500円まで上昇(終値1万9,498円)、このまま1万9,500円台での値固めができるかは、新型コロナウイルス感染動向によります。はっきりと感染拡大が抑制されている見通し出れば1万9,000円台での値固めとなりますが、はっきりしないようなら1万9,000円を挟んだもみ合いになる可能性があります。その場合は、先週末の終値1万9,498円が4月SQ値(特別清算指数)1万9,577円を下回っており、SQを突破できなければ、この1万9,577円水準が目先の上値のフシとなってきます。さらにこの場合は、3月25日に1万9,564円の高値をつけており、当面の二番天井形成ということになって調整が長引くことになります。

 需給から見ると、4月の第1週(3月30日~4月3日)まで現物と先物が8週連続の売り越しとなっていますが、この週は現物ベースの売り越しが大幅縮小。この流れが続くと海外投資家の売り圧力が弱まり1万9,000円台での値固めの可能性もあります。後は米国株が新型コロナウイルス感染拡大のピークアウト後の動きと、経済対策で株価が上昇を続けることができるかどうかによります。

 13日は、先週末の米国市場が休場だったことで、▲186円の1万9,312円とマイナスで寄り付き、その後もマイナス圏で推移。後場もジリ安となって大引けは▲455円の1万9,043円と大幅下落となりました。4月のSQ値1万9,577円が幻のSQ値となっており、上値の重い展開となりました。

(今週の指標)日経平均株価

 今週は、7日に発令された緊急事態宣言が感染拡大抑制に効果が出るかどうかが焦点。欧米では感染拡大はピークアウトしたとの見方が出ていますが、日本の状況は現時点では毎日感染者が増加。国内の感染状況が「オーバーシュート(爆発的感染拡大)」に向かわないことが確認されれば、相場は戻りを続ける可能性がありますが、拡大が続くようだと失望売りが出てくることになります。

 先週末は4月SQ値1万9,577円を切って終値1万9,498円と下回って幻のSQとなっていますので、早い段階で1万9,577円を突破できなければ、この水準が上値のフシとなってしまいます。 

(今週の指標)NYダウ平均株価

 感染症対策本部の感染症の専門家が現時点での死亡者予想数をこれまでの10万~20万人を6万人に下方修正し、トランプ米大統領は「トンネルの出口が見えてきた」と言及したことで、先週のNYダウは一時2万4,008ドルまで戻しました。早ければ5月頃には経済活動の再開への期待も出ており、相場をサポートする要因となりますが、政府のリップサービスの側面もあり、また、4-6月期の雇用や経済指標は過去最悪となることが確実なので楽観しすぎは危険です。チャートからは目先は2万4,000ドル台からは上値は重くなりそうです。

(今週の指標)ドル/円

 今週のドル/円は、底堅い動きの見方が多いようです。欧米諸国では、新型コロナウイルスの感染拡大はピークアウトの兆しが出ているとの発表が見られる一方で、日本では感染拡大が現時点では止まらない状況で、ドル買い・円売りにつながる可能性があります。また、FRB(米連邦準備制度理事会)の新たな緩和策もあり、3月に大きく下げた米国株が反転していることから、ドル買いが観測されています。ただし、米国経済は悪化していることから、すぐに景気回復に向かう可能性は少なく、ドル買いが大きく広がることはないと思われます。

先週の結果

日経平均は、戻りの後、下へ向かうとしたが、NYダウにつられ戻りを試し続ける

 先週の予測では、目先リバウンドはあっても荒い動きで下へ向かうとしましたが、NYダウの大幅上昇が続き、日経平均もツレ高して4日続伸の後、一服して週末もプラスで引けました。週始めの1万7,802円を安値に週末は、1万9,500円の高値をつけましたので、1週間で約1,700円の上昇となります。

4月6日(月):前週末の米国市場で3月米雇用統計が2009年以来の大幅な悪化となったことで、NYダウは▲360ドルの2万1,052ドルと反落。しかし、日経平均は円安方向に振れていたことで、+37円の1万7,857円で寄り付きました。トランプ大統領がNY州の感染者がピークを迎える可能性があると述べたことで、前引けは+429円の1万8,249円と大幅続伸。さらに後場にはこう着状態の後、先物に断続的に買いが入って+852円の1万8,672円まで上昇して+756円の1万8,576円で引けました。 

7日(火):新型コロナウイルス感染者数の伸びが鈍化したことを好感し、前日のNYダウは+1,627ドルの2万2,679ドルと大幅高となったことで、日経平均も前日の大幅高にかかわらず、+373円の1万8,950円と3日続伸となりました。 

8日(水):前日の米国市場の主要株価3指標小幅反落を受け、日経平均は前場は+97円の1万9,047円まで上昇。その後、手掛かり材料に乏しく一時▲210円まで下げて、もみあい商状が続くも、先物に断続的な買いが入ったことで、前引けは+89円の1万9,039円でした。しかし、後場になると時間外の米株価先物が上昇したことを受け、買い優勢の展開に。+504円の1万9,454円まで上昇して、終値は+403円の1万9,353円と4日続伸となりました。 

9日(木):前日の米国市場は民主党のサンダース候補が大統領選からの撤退を正式表明し、また感染者の増加ペースが鈍化したことでNYダウは+779ドルの2万3,433ドルと2万3,000ドルを回復。しかし、日経平均は10日がSQ清算日ということもあり、様子見となって▲7円の1万9,345円と5日ぶりの小反落となりました。 

10日(金):前日の米国市場は、FRBが積極的な流動性計画を示したことを好感し、+285ドルの2万3,719ドルと続伸。これを受けて日経平均は+154円の1万9,500円で寄り付きました。ここをピークに▲109円の1万9,235円まで下落するものの、後場になると日銀のETF(上場投資信託)買い観測から上げ幅を拡大し、+152円の1万9,498円と反発して引けました。 この日の4月SQ値は1万9,577円で、現物の終値である1万9,498円を上回り、幻のSQとなっています。1万9,577円を一気に超えることができなければ、下方に向かう可能性があります。

 10日(金)の米国市場はグッドフライデーで休場でした。