19年本決算は8%増益、ROA/ROEの改善と自己資本比率の上昇を評価

現地コード 銘柄名
01359

中国信達資産管理

(チャイナ・シンダ・アセット・マネジメント)

株価 情報種類

1.47HKD
(4/2現在)

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 中国信達資産管理の19年12月通期の最終利益は前年比8.4%増の130億5,000万元に達した。非支配株主持分を差し引く前の当期純利益は同26.4%増の150億2,000万元と、BOCIの予想を4.5%下回ったが、これは主に、その他金融商品の評価益が予想から下振れたため。BOCIは債務構造の最適化や内部的に資本を補充する能力という点での同社手腕を前向きに評価。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 19年本決算では年率換算の平均ROE(株主資本利益率)、平均ROA(総資産利益率)が8.56%、1.00%と、前年比で0.24ポイント、0.18ポイント上向いた。財務費用の抑制に向け、同社は期中に、負債構造の最適化を実現させている。19年12月末の総資産は6月末比1.7%増、前年比で1.2%増の1兆5,100億元。評価損益の計上対象となるその他金融商品の増加が寄与したものの、貸付額の縮小が一部足を引っ張る形となった。

 事業の不良資産(A&D)買収額の正味残高は12月末に、6月末比6.8%増となる1,981億元で、不良資産全体の42.8%を占めた。この比率は6月末を2.7ポイント上回る。A&Dの取得コストは前年比31.3%減の521億6,000万元。主に国有銀行からの不良資産の供給が減少したことが影響した。同社は不良資産の取得規模を抑制し、潜在リターンの引き上げに照準を合わせる方針。19年のA&DのIRR(内部収益率)は前年比0.1ポイント高の15.6%。18年以降、取得価格が正常化に向かったことで、IRRは安定化の兆しを見せている。

 一方、再編済み(RTD)不良資産の正味残高は期末に1,873億元と、一部の非金融資産の圧縮を受け、6月末比で7.7%減少した。RTD債権資産の月平均グロス額の年率リターンは19年に9.1%と、前年を0.7ポイント上回る数字。減損率は2.87%と、前年比0.3ポイント低下し、前期比では0.69ポイント上昇した。不良債権引当カバー率は200.0%と、前年比19.7ポイント上昇する半面、前期比では9.1ポイント低下している。

 期末の自己資本比率は16.76%と、6月末比で0.8ポイント上昇。コアティア1(狭義の中核的自己資本)比率は11.20%と、同0.77ポイント上向いた。BOCIは相対的に小さな事業規模の拡大により、安定的な利益成長を達成したことを前向きに評価。内部的に資本を補充する能力において、経営手腕を示したと前向きに受け止めている。

 BOCIは20年、21年のEPSについて前年比4.7%減、11.2%増を予想している。現在株価が20年予想PBR(株価純資産倍率)で0.34倍と、ヒストリカルな低水準にある点を指摘した上で、業界大手の座や堅調なファンダメンタルズ、魅力的な配当利回りなどを評価。目標株価を引き下げながらも(目標算出ベースを20年予想PBR0.44倍から同0.40倍に下方修正)、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。