待望の赤ちゃんを授かったとき、ちょっと気になるのが妊娠出産にかかるお金のこと。

 6人目を出産したばかりの筆者の体験談をもとに、知らないと差がつく妊娠出産にまつわるお金について、今回はお話しします。

待望の赤ちゃんを授かった!産婦人科に飛び込む前に事前のリサーチを忘れずに

 妊娠したかも! と思ったら、産婦人科に駆け込む前に妊娠出産にかかる費用について、少しリサーチしておくことが大切です。なぜなら、妊娠は病気ではないため、基本的には保険適用外の自由診療で、病院によって金額に差があるからです。地方に里帰り出産をした場合と、2人目で里帰りをせず都内で出産をした場合とでは、10万円近く差があったという話もあります。地方の場合は安いことが多いようですが、同じ地域でも病院によって金額が変わります。

 妊娠が確定し、母子手帳をもらうと妊婦健診の助成券も併せて交付されます。その後は妊婦健診費用の助成を受けることができますが、妊娠が確定するまでの間は公的な補助金制度がないため、全て自己負担です。

 うれしさのあまり病院に早く行って、胎嚢(たいのう:胎児が入っている袋)が確認できずに再度診察、心拍が確認できずに再度診察…と受診回数がどんどん増え、費用がかさんでしまいます。早期妊娠検査薬の使用やフライング検査などで早くに妊娠が分かっても腹痛や出血などトラブルがない場合には、生理予定日1週間後以降、普通の妊娠検査薬で妊娠が分かって受診のスケジュールでよいかもしれません。

 ただし、人気の病院だと、妊娠が分かるか分からないかくらいの5~6週の時点で、分娩予約がいっぱいになっているということもあります。出産スタイルや立ち合いの可否、個室の有無などサービス面も病院によって異なります。こだわりのある場合は、どれくらいの時期に予約が必要かなども事前にリサーチしておきましょう。

妊婦健診は助成券でタダになる…!?

 心拍が確認でき、妊娠が確定すると医師から母子手帳をもらってくるように言われます。各自治体が母子手帳と一緒に妊婦健診の助成券を交付してくれます。これで妊婦健診費用の助成を受けることができるようになりますが、残念ながら妊婦健診の全てが無料で済むわけではありません。妊婦健診では、時期によってさまざまな検査をします。検査にかかる費用は、妊婦健診費に含まれるものも一部ありますが、含まれないものは自己負担になります。毎回のエコーが楽しみというママやパパも多いと思いますが、エコーの助成も回数が決まっており、助成回数を超える場合は毎回の自己負担となります。

分娩費用は出産育児一時金で足りるのか…!?

 妊婦健診同様、出産費用についても、どの産院で出産するかによって金額が大きく変わります。自然分娩であっても病院によって差がありますし、無痛分娩などを選択した場合には自然分娩より高くなります。

 入院日数は通常、出産日プラス5日で、午前退院、午後退院で料金が変わる病院もあります。経産婦で産後の経過が良ければ1日早く退院することもできます(医師の判断による)。その場合は1日分入院費が安くなります。

 分娩費用は高額で驚くかもしれませんが、自然分娩、無痛分娩、帝王切開などの分娩方法にかかわらず、健康保険から出産一時金として子ども一人当たり42万円が支給されます。直接支払制度を利用すると、会計時に42万円を差し引いた金額を支払えば済みます。直接支払制度を利用できない場合は、出産後に健康保険組合に申請すると出産一時金をもらえます。

 一般的に地方の方が出産費用は安い傾向があります。お住まいの地域の産院について知りたければ、パパママ学級などで保健師さんや先輩ママに質問してみるとよい情報が得られるかもしれません。病院に直接問い合わせてもよいでしょう。

妊娠出産でも対象になる!申請すればもらえるお金

 妊娠出産で結構お金がかかるなぁ…と思うかもしれませんが、他にも申請するともらえるお金があるのをご存じですか?

医療費控除は妊娠出産費用も対象!

 妊娠出産で費用がかさんだ年は確定申告をすると税金が戻ってくる場合があります。1年間の医療費の自己負担が10万円(所得金額200万円以下の場合は、所得金額の5%)よりも多かった場合、確定申告をすると医療費控除によって支払った税金の一部を還付してもらえます。

 これは妊娠出産だけでなく、家族全員分の医療費を合算して申告することできます。パパでもママでも申告できますが、課税所得が多い方が申告した方が多く還付を受けることができます。

 さらに、医療費控除を申告すると住民税の課税所得額が低くなるため、翌年度の保育料が安くなる可能性もあります。面倒くさがらず、忘れずに申告しましょう。

妊娠出産でも治療や手術を受けたら高額療養費制度の対象に!

 基本的には妊娠出産は健康保険の適用外ですが、妊娠出産時のトラブルで治療を受けた場合や帝王切開の場合など、健康保険が適用される治療や手術を受けた場合には高額療養費制度の対象となります。高額療養費の申請を行うと数カ月後に支払った金額から自己負担限度額を差し引いた分が返金されます。事前に限度額適用認定証の申請をしておくと支払時に自己負担限度額のみの支払いで済みます。

働くママは傷病手当金がもらえることも

 ケガや病気により働けなくなった場合に、収入の67%程度が最長で1年6カ月、健康保険から傷病手当金が支払われます。働いているママの場合、重度のつわりや切迫早産などで休職した場合には傷病手当金の対象となります。

生命保険の保障内容を確認してみて!

 生命保険に加入している場合は、契約内容を確認しましょう。つわりや切迫早産などで入院した場合や帝王切開で出産した場合に入院給付金の対象となったり、契約内容によっては通常の出産による入院でも保険金の給付を受けられる場合があります。

 妊娠出産はお金がかかりますが、知っていれば費用を抑えることもできますし、申請すればもらえるお金もいろいろあります。賢く節約し、子どもの将来のために使えるお金を確保できるといいですね!