今週の予想

目先のリバウンドはあっても、その後は先週に引き続き荒い動きを想定

 先週の下げ過ぎで戻りはあっても、米株式の状況や国内での緊急事態宣言を受けて、今週の日経平均株価は下振れしやすい地合いでしょう。

 米国経済が景気後退しているのは確実とみられており、外出自粛による経済活動の停止から、一部の雇用、経済指標の悪化が警戒され、不透明感の高まりで株価は再度、下値を試す可能性があります。

 米国の状況を注視しながら、国内も緊急事態宣言などのリスクを抱え、リスク回避の様子見から買いは手控えられ、新型コロナウイルスの悪材料のニュースを受けて、下に振れやすくなります。国内の緊急事態宣言の発表で、目先の悪材料出尽くしとなるのか、それとも二番底を探りにいくのか、どちらかの動きになる可能性があります。緊急事態宣言を4月7日に出すことが報道されましたが、市場の見方では、国内外ともに新型コロナウイルスの影響が反映された経済指標と企業決算の発表が、5月半ばまでは続く予想で、かなり厳しい結果に直面することになると思われます。

 6日の日経平均は、予想外の+756円の1万8,576円と大幅上昇。為替が円安方向に振れている中、トランプ米大統領が「ニューヨーク州の感染者がピークを迎えた可能性がある」と発表したことで、時間外の米株先物が上昇。これにつれて日経平均も9時41分ごろには+599円の1万8,419円まで上昇しました。しかし、その近辺には5日移動平均線(1万8,341円[4月3日時点])があります。この水準は戻り待ちの売りが多く、上げ幅を縮小し前引けは+429円の1万8,249円でした。後場になると先物に断続的な買いが入ったのをきっかけに上げ幅を拡大。+852円の1万8,672円の高値をつけ、終値は+756円の1万8,576円となりました。予想外の上昇となったのは、米国の新型コロナウイルス拡大や原油安の懸念後退もありますが、前場から緊急事態宣言の発令が6~7日にでも行われるとの見方からアク抜け感が出て、後場一段高となった形といえます。ただし、戻りを試し終われば下落の可能性が高いでしょう。

(今週の指標)日経平均株価

 先週の下げ過ぎのリバウンドがあったとしても、日経平均は今週も引き続き不安定な相場となって下振れしやすい動きとなりそうです。ただし、東京都の感染者が1日で100人を突破し、7日の緊急事態宣言の発令によって、これまでの不透明感がとれて反発するか、もしくは悪材料となって二番底を探る動きとなるのか、見極めるところです。ただし、反発しても戻りの後は下値を探る動きとなりそうです。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 先週は、株価は下に向かう大きな上下動となりましたが、今週のNYダウは米国の経済活動停止によって景気悪化が長期化する見通しが広がっており、当面は経済指標の悪化や企業収益の悪化懸念から株価は二番底を試す可能性もあります。特に外出規制が5月以降にまで長期化することになれば、今後の経済の不透明感がますます高まり、売り材料となります。目先、反発があっても戻り売りが予想されます。

(今週の指標)ドル/円

 米国での感染被害拡大の状況を見ながら、ドル/円はもみ合いとなりそうです。米国内では新型コロナウイルス感染拡大のピークを迎えつつあるとみられており、この状況次第の為替取引となります。米国経済の縮小懸念が高まれば、日米の株安につながり、日本円に対するドル買いがやや強まる可能性があります。ただ、米国内の新型コロナウイルス感染者はいまだ増加するとみられており、ドル買いは長続きすることはないと思われます。

先週の結果

先週は、1万9,336円の戻りが精一杯。週始めから4日続落後、週末小反発

 先週の予測では、前週の米国の新型コロナウイルス対策としての大規模投資や景気対策としての2兆ドルの巨額投資発表で、日米ともに大きく上昇したものの、これはまだ底打ちを示すものではなく、再び方向性のない大きなもみ合い相場になるとしました。特に先週から3月に入ってからの新型コロナウイルスの悪影響を織り込んでくる経済発表になるため、大きくもみ合いながら下向きの上下動になるとしました。

 この想定通り、31日(火)に1万9,336円まで上昇後、上下動をしながら下向きの動きとなりました。終値では、30日(月)の1万9,084円から、4月2日(木)の1万7,818円まで4日続落。週末の3日(金)に+1円の1万7,820円と5日ぶりの小反発でした。

3月30日(月):前週末のNYダウが▲915ドルの2万1,636ドルと大幅反落となったことで、日経平均は▲505円の1万8,884円で寄り付き、一時▲811円の1万8,578円まで下落。しかし、配当落ち分を含めて1万8,500円以上をキープしていました。後場になると日本銀行のETF(上場投資信託)買いや時間外の米株先物が高かったことで下げ幅縮小の流れとなり、▲304円の1万9,084円の反落となりました。 

31日(火):米国株式で急落後の反発が続いており、前日のNYダウは+690ドルの反発となったことで、前場の日経平均は+251円の1万9,336円まで上昇。前引けは+148円の1万9,233円でした。しかし、後場になると上値が重くなり、再びマイナス入りとなり▲250円の1万8,834円まで下押しし、終値は▲167円の1万8,917円の続落となりました。 

4月1日(水):米国の感染者の増加が続いていることで、前日のNYダウは▲410ドルの2万1,917ドルと反落。これを受けて日経平均の前場は▲230円の1万8,686円で寄り付き、一時▲399円の1万8,517円まで下落。しかし、中国の財新製造業PMI(購買担当者景気指数)が市場予想を上回ったことで、前引けは▲177円の1万8,739円。後場に入ると為替が1ドル=107円台前半の円高、時間外取引で米株価先物が下げ幅を拡大したことで、一時▲1,045円の1万7,871円まで再び下落。大引けではやや下げ幅を縮小し▲851円の1万8,065円と3日続落でした。 

2日(木):米国で新型コロナウイルスによる経済活動停止の長期化見通しが強まり、前日のNYダウが▲973ドルの2万943ドルと反落したことで、日経平均は市場参加者が少ない中、▲246円の1万7,818円と4日続落となりました。

3日(金):トランプ米大統領がサウジアラビアとロシアが減産で合意するだろうと発言したことで、前日の米国市場で原油が急騰し、NYダウが+469ドルと反発。これを受けて、日経平均は前場+132円の1万7,951円と買い先行のスタート。+240円の1万8,059円まで上昇後は、戻り待ちの売りに押され1万7,646円まで下げたものの、大引けにかけて上昇し、+1円の1万7,820円と5日ぶりの小反発となりました。

 東京市場引け後の米国市場は、3月の米雇用統計を受けてNYダウの▲360ドルをはじめ、主要株価3指標そろって反落となりました。3月米雇用統計で非農業部門雇用者数は、前月の改定値+27.5万人から▲70.1万人と大きくマイナスに転じ、失業率も前月の3.5%から4.4%と急激な悪化となりました。為替はドルが買われたことで、1ドル=108.45円の円安となり、シカゴの日経先物は▲5円の1万7,675円とほとんど下がりませんでした。