19年通期は12%のコア増益、保有用地の多様性が強み

現地コード 銘柄名
01109

華潤置地

(チャイナ・リソーシズ・ランド)

株価 情報種類

 30.35HKD
(3/27現在)

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    華潤置地の19年12月本決算は、売上高が前年比21.9%増の1,477億元と、BOCIの予想を1.1%下回った。粗利益率は前年を5.5ポイント下回る37.9%で、予想通りの水準。一般管理費や非支配株主持分が予想を上回ったことで、コア純利益は前年比12.2%増の217億元と、予想を5.3%下回った。ただ、決算内容全般は引き続き良好であり、純負債比率は前年比1.5ポイントの低下となる36.2%。不動産賃料収入とショッピングモールの小売売上高はそれぞれ26%、37%の伸びを確保した。BOCIは市場を取り巻く不透明感を反映させる形で、20-21年の予想EPSをそれぞれ10.4%、8.2%減額修正しながらも、同社の相対的な低リスクや高質の事業多様化モデルを前向きに評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣は国内不動産デベロッパーの「成約額トップ10」維持を目標に掲げる。20年の成約目標は前年実績比8%増の2,620億元。分譲可能資源は20年に5,122億元に上る。同社は新型コロナウイルスの影響に早期に備え、販売センターの96%がすでに営業を再開。開発案件も同じく96%が再開にこぎつけた。販売センターの客足と成約状況は3月後半時点で通常レベルの7割まで戻したという。経営陣は4月の正常化を見込む。

 19年には総床面積1,784万平米規模の開発用地を取得した。これは期中の販売面積1,325万平米をかなり上回る数字。手元用地を拡大させながらも、純負債比率の低減を実現させたことになる。また、同社の強みは保有用地の多様性。新規の都市開発・運営型プロジェクト5件、交通志向型(TOD)都市開発4件など、多目的プロジェクトを取得済み。ほかに都市再開発プロジェクト19件(総床面積3,055万平米)を保有し、うち98%が「グレーターベイエリア(粤港澳大湾区)」に位置する。

 ショッピングモールから得られる賃料収入は、19年に前年比36%増の93億元。同部門は新型肺炎の影響が大きく、20年2月にはモールの小売売上高が60%急減したが、3月には持ち直し、現時点で通常レベルの62%まで回復したという。シネコンなどを除けば、テナントの多くが営業を再開済み。同社は新型肺炎の感染拡大に伴いテナント向けに賃料値下げを実施したが、それでも20年に前年並みの賃料収入を見込む。

 BOCIは1株当たりの予想NAV(純資産価値)を3.9%引き下げ、46.55HKドルに設定した。新型肺炎による成約状況への影響を反映したため。同社株価は現在、20年の予想PBR(株価純資産倍率)で1.0倍、20年の予想PERで7.8倍の水準で取引されているが、BOCIは良好なバランスシートや複数の成長エンジンを持つビジネスモデルを前向きに評価。現在株価の値ごろ感を指摘している。一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、新型コロナによる商用不動産事業へのマイナス影響が予想以上に長期化する可能性を挙げている。