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本レポートに掲載した銘柄:東宝(9602)阪急阪神ホールディングス(9042)ソニー(6758)ヒビノ(2469)NTTドコモ(9437)日本電気(6701)村田製作所(6981)TDK(6762)東京エレクトロン(8035)アドバンテスト(6857)レーザーテック(6920)

1.新型コロナウイルス感染症による感染の現状

1)なぜか日本の新型コロナウイルス感染者数と死亡者数が少ない

 今回は、新型コロナウイルス感染症が日本の産業に与える影響を考えてみたいと思います。

 まず、日本と世界の感染者数と死亡者数の現状を見たいと思います。表1がそれであり、Yahoo!Japan掲載のものをまとめました。

 2020年3月26日19時現在の日本の感染者数は1,292人、海外は41万2,274人、日本の死亡者数は45人、海外は1万8,390人です。

 一目でわかるのは、日本の感染者数と死亡者数の少なさです。

 日本の都道府県別の感染者数は、3月26日19時現在で東京都201人、北海道166人、愛知県144人、大阪府129人となっています。これも一目でわかりますが、人口527万人で人口密度の低い北海道と、人口1,395万人で人口密集エリアが多い東京を比較すると、東京が若干多い程度というのは不自然です。3月24日18時現在では、北海道161人、東京都146人、愛知県136人、大阪府116人となっています。表2を見てもわかりますが、東京都の感染者数の増え方が急です。

 以前のデータを見ると、3月1日12時時点での全国の感染者数は206人、多い順に北海道69人、東京35人、愛知県29人、神奈川県20人、千葉県12人、和歌山県11人、熊本県5人、大阪府4人です。最近のデータよりももっと不自然です。

 何故このような不自然な数字になるのかというと、一つの解釈ですが、2月に入って医師からPCR検査の要請が各都道府県の保健所に対して急増したとき、よく言えば各保健所の体制不備を理由にして断られ、悪く言えば検査拒否があったためと思われます。医師の間では東京都の検査拒否あるいは患者の選別が最も厳しかったと言われているようです。要するに、2月の検査が少なすぎるため、また、各都道府県の検査に対する積極性に差があったため、あまりにも不自然な数字になったと思われます。これについては、日本医師会が2月26日に検査拒否の問題を問題提議しました。

 この状況は3月に入って随分と改善されているようであり、東京都でも検査件数が増えているもようです。

表1 新型コロナウイルス感染症の発生状況

注:2020年3月26日19時現在
単位:人
出所:ヤフーより楽天証券作成。元出所は厚生労働省、WHO等。

表2 新型コロナウイルス感染症の都道府県別発生状況

単位:人
出所:厚生労働省より楽天証券作成。

2)2月に何があったのか、検査が少なくて何が起きたのかわからなくなったのではないか

 新型コロナウイルス感染症の日本における最初の感染者は、2020年1月15日に神奈川県で確認されました(武漢に渡航歴のある人ですが、回復したのでその日のうちに退院)。その後感染者数は2月中旬から増え始め、3月初旬から更に増加しました。

 日本と中国のビジネス、観光両方の関係の強さ、日本ではライブハウス、劇場だけでなく、地下鉄等人が密集する場所が多いことを考えると、1月からウイルス保有者が国内に入り、2月にかけて感染が広まったと考えるのが妥当と思われます。

 これに対して検査は十分ではなかったと思われます。厚生労働省の資料(新型コロナウイルス陽性者数[チャーター便帰国者を除く]とPCR検査実施人数[都道府県別][1/15~3/24]、2020年3月25日掲載分)によると、1月15日から3月24日の間に、北海道(人口527万人[2019年12月末])では1,794人のPCR検査が行われ、そのうち163人が陽性でした。同じ時期の東京都(人口1,395万人(2020年1月、以下同様))は2,013人の検査に対して陽性は172人でした。継続性のある自治体の数字を挙げると、愛知県(人口755万人)が検査人数1,895人に対して陽性148人、兵庫県(人口546万人)は検査人数1,607人に対して陽性115人となっています。

 もともと熱心にPCR検査を進めてきた北海道(東京の人口は北海道の2.6倍)を基準に考えると、東京ではPCR検査をもっと多く行うべきだったということになります。人口比で考えると、東京では400~500人の感染者がいてもおかしくないということにもなります。東京の感染者数が最近になって増えているのは(3月26日に過去最大の増加数47人を記録)、実際に感染者数が増えているのではなく、もともと北海道の2~3倍いた感染者(2月時点の感染者から2次感染、3次感染した人もいると思われます)が検査によって表に出てきただけかもしれないのです。

 ちなみに、全くの私見ですが、現在増加中の東京都の感染者数が200~300人台で止まれば(検査をちゃんと行っているという前提でです)、北海道との比較から言って実際の感染者数が減り始めていると言えるかもしれません。

 今更どうにもなりませんが、国も東京都も感染初期に検査を増やそうとしなかったため、新型コロナウイルス感染症の感染実態がよく分からなくなっている可能性があります。もしそうであれば、効果的な政策は期待できません。
(もっとも、新型コロナウイルス感染症の感染者は、無症状者と軽症者[病院に行くほどではない程度の症状と言われています]が多く、もともと実態解明が難しいと思われます。)

 ただし、不幸中の幸いですが、死亡者数は海外と比べてかなり少ないと言えます。もちろん、国が発表している数字は、検査を受けることができず、病院をたらいまわしにされ、新型コロナウイルス感染症であるにもかかわらず通常の肺炎として診断され死亡した人は含まれていないため、実態はこれよりも多い可能性はあります。しかし、例えば1,000人を超えるような多さではないと思われます(年間死亡者が9万人強の肺炎の死亡者が1月以降急増すれば目立つはずです)。

 新型コロナウイルス感染症の死亡者数が海外に比べて少ないのは、環境、公衆衛生、医療に加えて、多くの日本人の病歴や医療の在り方など様々な要因が複合的に絡み合っていると思われます。残念ながら感染初期の検査等の対応がうまくいかなかったため、実態解明は難しく、時間がかかる可能性があります。

 3月20日に劇場が再開されました。私の意見ですが、ここから2~3週間、死亡者が急増するなどがなければ、事態は終息に向かう可能性があると思われます。理由は、2月27日から約3週間の自粛で感染の連鎖が断たれた可能性があるからです。ただし、帰国者と訪日外国人の発症が増えているのは要注意です。

グラフ1 国内における新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施状況

単位:件
出所:厚生労働省より楽天証券作成、2020年2月18日以降、結果判明日ベース

2.スマートフォンと半導体、電子部品の生産動向、需要動向

 中国では、多くの工場が2020年1月24~30日の春節明けの工場再開を約1週間延期しました(2月上旬まで延期)。ただし、それでも労働者が集まらず、工場再開後も稼働率が低く、物流も混乱していたもようです。

 しかし、3月に入って各分野の生産が回復中です。中国政府が(様々な異論はあるにせよ)武漢を封鎖し、新型コロナウイルスを封じ込めたことが奏功していると思われます。

 また、半導体関連の生産、物流は最優先されています。例えば、シリコンウェハ、フッ化水素のような重要材料の物流は優先的に人手が割り当てられており、支障なく半導体工場に納入されています。その結果、半導体工場の稼働も基本的には問題がないもようです。

 ただし、半導体製造装置の据付は、人員不足で遅れている工場があるもようです。そのため、2020年1-3月期の業績が会社予想に対してやや未達になったり、上乗せ要因がなくなったりする半導体製造装置メーカーが出てきそうです。

 中国で各分野の生産が回復中であるならば、工場労働者が受け取る賃金も増え、新型コロナウイルス封じ込めの成果もあって社会にある程度の安心感が出てきて、消費が増え、景気が回復する道筋に入ると思われます。例えば、中国の大手通信会社は5G投資に意欲的ですが、新型コロナウイルスの騒ぎの中でも投資意欲は健全であるもようです。中国の2020年4-6月期は生産、消費、投資が回復する過程に入ると思われます。5Gスマホ需要について見ると、1-3月はこの騒ぎで人々は外出もままならず、大きく落ち込んだと思われますが、4-6月からは回復すると思われます。

 ただし、ヨーロッパとアメリカは事情が異なります。ヨーロッパは各国が大混乱しているため、経済の回復、スマートフォン需要の回復は当面期待できません。

 ただし、アメリカは大陸国家です。人口も多く国土も広く、金があります。この騒ぎが収まれば、巨額の財政予算によって景気回復が期待できると思われます。

 日本は、前述したように全くの私見ですが、この2~3週間なにもなければ(死亡者が増加しなければ)、新型コロナウイルス騒動は終息に向かうと思われます。諸外国に比べ死亡者数が少ないため、経済の回復は比較的早いと思われます。

 このように、半導体、電子部品、スマホ産業は、生産から需要に問題が移ってきました。当面は、中国と日本が景気回復の中心となり、半年ぐらい遅れてアメリカの景気回復が期待できると思われます。

グラフ2 5Gスマートフォンの世界出荷台数予想

単位:100万台
出所:2018年はiDCプレスリリースによる。2019年以降は楽天証券予想

3.新型コロナウイルスで変わること-在宅勤務は定着するか-

1)日本でも在宅勤務が普及する?

 新型コロナウイルスは私たちの生活を大きく変えました。今後どの程度の年数かわかりませんが、一定の感染症リスクを前提とした生活、経済活動を余儀なくされる可能性があります。

 まず、私たちの働き方が、ある程度は在宅勤務へシフトすると思われます。現在、日本でも海外でも在宅勤務をする人が多くなっています。このうち、オフィスに出社したほうが良い人たちはいずれオフィスに戻り、自宅でも十分仕事が可能な人たちは自宅で働き続けると思われます。毎日会社に通勤することが普通だった日本人にとって大きな変化と言えます。

 仕事だけでなく、感染症リスクがある社会では、外出を控える動きも時としてでてきます。そのため、仕事、日常生活、遊びなど様々な分野で、IT化、ネット化が更に進むと思われます。

2)会社と個人の両方で高性能パソコンへの買い替えが進む?

 仕事での大きな変化は、ありきたりではありますが、パソコンと通信回線に起こると思われます。5Gスマホだけ持っていても仕事は出来ないので、パソコンが必要になります。在宅勤務では多くの場合、会社の情報システムに自分のパソコンを接続して仕事をするため、会社のパソコンと同じスペックがあったほうが良いことになります。

 一方、普通の企業の情報システムはセキュリティ、各種システム、コミュニケーションツールなど、パソコンにインストールされるソフトの容量が大きくなっており、普及タイプ以下のスペックのパソコンでは動きが鈍くなる傾向があります。このため、企業が使う業務用パソコンでは、より高性能でスペックの高いものに買い替える動きがすでに出ています。

 例えば、これから買い替える場合は、

普及型パソコンのスペック:CORE i5+メインメモリ4GB+HDD

より高いスペック:CORE i7+メインメモリ8~16GB+SSD

 に業務用パソコンがグレードアップすることが考えられます。価格は、上記のCOREi5搭載パソコンで安いもので6.0万~6.5万円/台、COREi7搭載パソコンで同じく8万円前後(いずれも画面は15.6インチ、光学ドライブ有りで比較、価格.comを参考にした)なので、最低でも約30%価格が上昇することになります。このようなハイスペックパソコンを個人も購入するようになると考えられます。

 パソコンは成熟商品あるいは衰退商品と考えられてきました。事実、グラフ3のように世界のパソコン出荷台数は2011年をピークとして減少トレンドに入っています。ただし、2019年はWindows7のサポート期間終了に伴う更新需要が発生したため横ばいになりました。

 また中身に変化が起きており、この2~3年の間に、ゲーミングPC、画像処理用PC、ディープラーニング用PCなど特殊用途用PCの販売が伸びています。ゲーミングPCの場合、台数では年率5%程度の伸びですが、価格が安いもので1台10万~15万円、高いもので30万円前後なのでパソコン市場に与えるインパクトは大きなものがあります。なお、2019年で世界パソコン出荷台数の約14%がゲーミングPCになっています。

グラフ3 世界のパソコン出荷台数

単位:100万台
出所:ガートナーより楽天証券作成

3)有線(光ファイバー)から無線(5G)へ

 通信回線は、5Gが普及した後は有線よりも5Gが便利になると思われます。企業や家庭で個人単位で使うものとしては、通信の歴史の中で初めて有線(光ファイバー)よりも無線(5G)のほうが回線スピードが早くなります。どこでも最低で2~3Gbps以上の高速大容量回線を使えるため、仕事上の利便性は増すと思われます。

4)感染症時代は日本企業の行動も変化する?

 感染症リスクのある時代には、ネガティブなものもあります。人の交流、特に海外との交流はある程度制限されるか、交流するときにリスクが生じます。例えば、海外旅行に行ってなんらかの感染症に感染した場合、日本に帰って来られなくなるリスクは考慮する必要があると思われます。

 日本の企業経営の在り方も変わる可能性があります。海外現地法人に日本の本社から社長と主だったスタッフを派遣するのではなく、現地で社長をリクルートし、主なスタッフも現地人から採用し、日本人はほんの少数という、これまで欧米の多国籍企業が採用してきた企業経営のやり方が日本でも定着するかもしれません。

4.新型コロナウイルスで変わらないもの-モノからコトへの流れは不変-

1)「コト」消費への流れは変わらない

 新型コロナウイルス感染症でも変わらないものがあると思われます。日本でこの5~10年間に起こっている、「モノ」から「コト」への消費の大転換です。

 モノが売れない、あるいは安いモノしか売れない時代が続いています。自動車では登録車から軽自動車への需要シフトが続いています。登録車(排気量1,000cc以上)の価格はおおむね120万~300万円以上、軽自動車(排気量660cc以下)は80万~200万円です。平均すると価格は50%から2倍以上違います。

 アパレルでも低価格化が進んでいます。一揃えすると2万円以上するユニクロから、1万円以下で買えるワークマンへの流れです。

 ところが、モノの世界でこれだけの低価格が起これば、モノだけでは日本経済は持ちません。そこで何が日本経済を補っているのか、あるいは引っ張っているのか、これが大きな問題です。

 それが、「コト」消費です。モノが売れない一方で、コト消費は大活況です。

 グラフ4、5を見ると、この9年間、音楽ライブ、舞台、ミュージカルの大ブームが継続しています。この3分野は、コト消費の代表格と言ってよいものです。2018年のコンサート・ライブ年間売上高(音楽ライブ、演劇、ミュージカル、ファンミーティングなど)は、3,448億円(前年比3.7%増)、年間公演本数3万1,482本(同0.6%減)、動員数(延べ人数)4,862万人(同1.7%増)、一人当たり売上高は7,092円(同2.0%増)となっており、安定成長していることがわかります。ちなみに、10年前の2008年の数字を見ると、年間売上高1,075億円、年間公演本数1万5,522本、動員数2,253万人、一人当たり売上高4,771円となっています。公演本数、動員数、一人当たり売上高のいずれもが伸びたことによって年間売上高が10年間で3倍以上になりました。

 最近の特徴は、日本では珍しくこの業界でインフレが起きていることです。チケット代が上昇しており、トップクラスの人気がある演劇、ミュージカル、音楽ライブでは、チケット代が年率で5~10%程度上昇していると思われます。劇場、会場の運営、設営のための人件費上昇、演出費用の増加、興行主の利益拡大などの理由があると思われますが、この結果、演劇、ミュージカルの分野で新規参入が起きています。アミューズ、エイベックス、東映が、演劇、ミュージカルの分野に進出しており、一定の成果を挙げています。

 新規参入が増えていることは、俳優、脚本家、演出家や各種スタッフにとってチャンスが増えることでもあり、歓迎されています。

グラフ4 日本のライブ・エンタテインメント産業

単位:百万円、暦年
出所:音楽ソフト生産高、音楽配信売上高は日本レコード協会、コンサート・ライブ売上高はコンサートプロモーターズ協会、演劇等のパフォーミングアーツを含む

グラフ5 ライブの年間公演数と動員数

出所:コンサートプロモーターズ協会より楽天証券作成

2)「コト」消費はインターネットと相性が良い

「コト」消費の中でもライブ・エンタテインメントについて見ると、リアルの世界にとどまらず、ネット配信やテレビ放送で重要なものになっています。また、ネットとリアルは相性がよく、相乗効果が期待できます。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐために、2月26日(水)から3月19日(木)まで日本列島は総自粛となりました。劇場とライブハウスは営業を止め、音楽ライブ、演劇、ミュージカル、数々のイベントが中止、または延期となりました。

 そのような中で、いくつかのアーティスト、ミュージシャンが、ライブ、舞台の無料ネット配信を行いました。音楽会社でもエイベックスがYouTube公式チャンネル「エイベックス・チャンネル」で、所属アーティストのライブ映像コンテンツを無料公開しました(3月5~31日)。これらはいずれも好評でした。

 その中の一つ、「乃木坂46 幻の2期生ライブ」が3月7日(土)18時からSHOWROOM(アイドル、声優などの生配信サイト)において生配信されました(「乃木坂46」は秋元康氏とソニー・ミュージックの共同事業です)。「乃木坂46 2期生ライブ」は、もともと3月7日に代々木第一体育館において約1万人規模で開催される予定だったのですが、新型コロナウイルス感染拡大の中で中止となりました。その代わりに、SHOWROOMで特別番組を無料配信することになったのです。

 当日は、乃木坂46 2期生メンバーの歌とトークショーが約2時間20分にわたって披露されましたが、集まった視聴者(入室者)は約42万人でした。SHOWROOMは1人30分からグループ2時間の番組でトークを行うのですが、普通のアイドル、声優で視聴者(入室者)は数千人から1万人前後、乃木坂46のメンバーで2万~3万人から5万人以上です。2018年12月に卒業した西野七瀬さん(白石麻衣さんと並ぶトップ人気だった)の最後の単独SHOWROOM(2018年10月)は10万人超えでした。42万人は飛び抜けた数字なのです。

 これだけの人数を集めるとマネタイズ(収益化)が十分可能になることも実証されました。配信開始前にメンバーが紹介する2期生グッズ(Tシャツ、タオルなど)をネット通販で販売しましたが、10分で完売しました。2期生ライブが再度開催される場合には、私見ですが10万~20万人規模のファンがチケットの抽選に応募すると思われます。

3)ライブ・エンタテインメントはハイテクとも相性が良い

 ライブ・エンタテインメントはハイテクとも相性が良いと思われます。5Gが普及すると、5Gを使って4K、8K動画を大画面で楽しむことができるようになります。そしてそれが今よりも一層、音楽ライブ、演劇、ミュージカルなどのリアルエンタテインメントへの関心を喚起すると思われます。

 また、ステージ演出が年々大型化し凝ったものになっています。大型LEDパネルによる演出やレーザー光線を使ったテクスチャ・マッピングなどが盛んになっています。

 コト消費関連は雇用面でも重要です。アーティストを支援する仕事が多く、大型ライブの開催や劇場公演には多くの多種多様な人材が必要になります。

 このようにライブ・エンタテインメントなどの「コト」消費関連産業は、日本の基幹産業になりうる産業であると思われます。

 2月26日からの自粛期間が3月20日に明けた後すぐに、東京都と神奈川県で、3月28日(土)、29日(日)が再び自粛となってしまいました。2月25日まではライブ・エンタテインメントはどの分野も活況でしたが、3月20日に再開された劇場では観客はある程度戻っているものの、空席も目立ったもようです。特に高齢者の観客が観劇をあきらめるケースがあるようです。

 また音楽ライブは、中小規模から大規模ライブまで再開に時間がかかりそうです。

 一刻も早く劇場とライブハウスの賑わいが元に戻り、更に発展することを願ってやみません。

エンタテインメントの重要分野

ゲーム(家庭用ゲーム、スマホゲーム、パソコンオンラインゲーム)
音楽・動画配信
自己表現(YouTube、各種のSNS)
ライブビューイング
音楽ライブ、演劇、映画

5.関連銘柄

1)パソコン関連

 パソコン関連の注目銘柄としては、日本企業の場合、半導体製造装置メーカー(東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテック、SCREENホールディングス、ディスコ)を挙げたいと思います。パソコン用CPU最大手のインテルが最先端CPUの増産のための設備投資を継続しています。2番手のAMDはTSMCに最先端の7ナノCPUを生産委託していますが、TSMCにとっては5Gスマホ用チップセットに続き、パソコン用CPUが新たな有望分野となっています。

表3 大手半導体メーカーの設備投資

出所:各社会社資料、報道より楽天証券作成
注1:2020年12月期はTSMC、インテルは会社計画、サムスンは楽天証券予想。
注2:1ウォン=0.9円、1ウォン=0.0008ドル。

2)5G関連

 5G関連銘柄は表4の通りです。まず、半導体製造装置メーカー、電子部品メーカー(村田製作所、TDK、太陽誘電)に注目したいと思います。新型コロナウイルスという阻害要因はありますが、5Gは投資する価値の大きい分野です。5G用計測器のアンリツにも注目したいと思います。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクがいよいよ5Gサービスをスタートさせるため(NTTドコモは3月25日から、KDDIは3月26日から、ソフトバンクは3月27日から)、これらの通信会社、特にNTTドコモに注目したいと思います。

 5Gのサービスエリア拡大のために、基地局建設も急ピッチで進むと思われます。富士通、日本電気に注目したいと思います。また、5Gネットワークと並行して日本の光ファイバーネットワークを強化する必要があります。ネットワークインテグレーターの伊藤忠テクノサイエンスにも注目したいと思います。

表4 5G関連銘柄

出所:楽天証券作成

3)「コト」消費関連銘柄

「コト」消費に関連する主な銘柄を下に示します。

東宝:劇団四季、宝塚歌劇団と並んで日本を代表する演劇事業が東宝演劇。演劇部門は営業利益率20%以上。

阪急阪神ホールディングス:子会社阪急電鉄が宝塚歌劇団を運営。

松竹:演劇部門を持つ。

東映、アミューズ、エイベックス:いずれも、演劇、ミュージカルの新規参入組。アミューズ、エイベックスは、年間で数多くの音楽ライブに関わっている。

ヒビノ:放送局、劇場向けの映像、音響、通信設備の販売と、ライブ、舞台関連の演出関連機材の貸し出し、運営を行っている。

ソニー:世界展開する映画、音楽、ゲームの3大エンタテインメントを世界で唯一持ち、一方でテレビ、カメラ、スマートフォン、半導体のハードウェア事業を持っている。世界的に見てもユニークなビジネスモデルである。「コト」消費と「モノ」消費を巧みに結びつけている会社でもある。例えば、音楽ライブに行く人が家でライブのBDや配信を大型4Kテレビで見ると、再びライブに行きたくなると思われる。また、ライブに行ったことがない人が大型4Kテレビでそれを見ると、ライブに行きたくなるかもしれない。

任天堂、カプコン、バンダイナムコホールディングスなど:自粛時代の引きこもり消費としてはゲームが代表例。任天堂は、「あつまれ どうぶつの森」(3月20日発売)の評判が良好。カプコンは、「モンスターハンターワールド」が累計販売本数1,500万本以上となっており、優良ソフトの開発能力が高い。バンダイナムコホールディングスは、家庭用ゲームソフト、スマホゲーム、玩具、音楽ライブ、アニメ制作と、遊びの間口が広い会社である。

 当面は、自粛要請が続いていることを考慮するとともに、コンテンツの優良さを評価して、東宝、ソニーに注目したいと思います。

 また、ゲーム関連のカプコン、バンダイナムコホールディングスは、一定の株価上昇が期待できると思われます。

本レポートに掲載した銘柄:東宝(9602)阪急阪神ホールディングス(9042)ソニー(6758)ヒビノ(2469)NTTドコモ(9437)日本電気(6701)村田製作所(6981)TDK(6762)東京エレクトロン(8035)アドバンテスト(6857)レーザーテック(6920)