今週の予想

今週は下向きの大きな上下動の可能性

 先週末の米国株や為替を見る限り、日米の株式は底入れしたという見方はまだ早いようです。そのため、再び方向感のない大きなもみ合い相場となる可能性があります。特に今週から発表される経済指標は、3月から新型肺炎コロナウイルスによって悪化した経済の実体を含んだ内容となってくるため、そこまでまだ織り込んでいない可能性が高い株価の動きには注意が必要です。

 その経済指標の発表ですが今週は、日銀短観、米ADP発表の全米雇用レポート、米ISM(サプライマネジメント協会)製造業景況指数、週末には米雇用統計があります。これらの指標が予想を大きく下回るようであれば、市場はいずれ二番底を探る展開も考えられます。

 弱気相場の場合は、大きく下げた後に大きく反発。底を打ったように見えても、もう一度安値をつけて二番底(ダブル底)をつけるパターンが多くあります。2008年のリーマン・ショック後にも二番底がありました。今回は新型コロナウイルス感染拡大の終息が不透明で、実体経済への影響を確認するまでは相場の方向性を確認ができません、そのため、相場の中途半端な位置や高い位置での押し目買いはしないほうがよいでしょう。前の安値水準(二番底)近辺を待ち伏せることが、リスクを少なくする方法です。

(今週の指標)日経平均株価

 今週から発表される経済指標は、3月の新型コロナウイルス拡大によって実体経済に悪影響を与えたことが反映されてきます。株価はこれをまだ織り込んでいない可能性があるため注意が必要です。先週末の米国株式や為替の動きを見る限り、今週の日経平均株価は荒い値動きが続く可能性があります。今週の日銀短観や米国の3月製造業景況指数が予想を大きく下回れば株価は、いったん下落が続きそうです。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週は、月末で第4四半期末のためポジション調整の動きから大きな上下動となる可能性があります。

 米政府やFRB(米連邦準備制度理事会)の大型経済対策も時間稼ぎに過ぎず、まだ大きな対策が必要となりそうです。弱気相場の場合は、もう一度安値をつけて二番底(ダブル底)を試す可能性もあるので注意が必要です。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、ドル、円ともにもみ合いとなりそうです。

 先週1ドル=111円台まで買われたドルですが、ドルの資金不足は解消されつつあり、インフレ進行の可能性も低いことから、リスク選考的なドル買いは抑制されそうです。

 米国経済の景気後退はある程度、織り込んでおり、米長期金利の低下はドル売り材料となるものの、今後発表される日本の経済指標も3月以降はかなり悪化しており、また、国内の新型コロナウイルス感染も拡大しているため、リスク回避的なドル売り、円買いは限定的と考えられます。1ドル=106~109円のレンジを想定しています。

先週の結果

先週は、週前半は1万6,480円→1万9,564円まで大幅上昇し、いったん大幅下落。週末再び1万9,300円台へ

 先週の予測では、今週は1万6,000円台を中心に大幅な上下動の後上昇で終わるとしました。 結果的には、週前半の24日(火)、25日(水)は4ケタの上げ幅が続き、1万9,546円まで上昇。26日(木)は▲1,033円の1万8,512円まで下げて、終値は▲882円の1万8,664円と急反落し、週末は+724円の1万9,389円と大幅反発で高値引けとなりました。

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、米議会上院は2兆ドル、日本円で220兆円という巨額の経済対策案を可決、NYダウ平均株価は3日間で+21.3%の上昇。1931年以来の上昇幅となりました。

3月23日(月):前週末のNYダウは▲913ドルの1万9,173ドルと大幅下落だったものの、為替が1ドル=111円台で、シカゴの日経先物が+480円の1万7,030円となっていたことで、+17円の1万6,570円で始まり、一時1万6,833円まで上昇しました。ところが、米株先物が急落し、サーキットブレーカーが発動(日本でいうストップ安)で、シカゴ日経先物は一時1万5,060円まで下げましたが、すぐに買い戻しが入り、前場は+80円の1万6,633円となり、後場になるとETF(上場投資信託)の買い思惑もあり、一時+496円の1万7,049円まで上昇。終値は+334円の1万6,887円でした。 

24日(火):前日の米国市場で経済対策の協議難航を嫌気し、NYダウは▲582ドルの1万8,591ドル。しかし日経平均は、前場で時間外での米株先物が上昇したことで、+319円の1万7,206円で寄り付き、一時+1,193円の1万8,081円まで上昇。後場になると戻り売りに伸び悩む場面もありましたが、その後は盛り返して、大引け近くには1万8,100円まで上昇。終値は+1,204円の1万8,092円と大幅続伸しました。 

25日(水):新型コロナウイルス対策への巨額経済対策が米議会で成立したことで、NYダウは+2,112ドルの2万704ドルと1933年以来の+11.3%高。これにより日経平均は一時+1,095円の1万9,187円まで上昇。前引けは+1,036円の1万9,129円となり、後場になると「米景気対策合意」報道で一段高となり、大引けは+1,472円の1万9,564円まで上昇。大引けは+1,454円の1万9,546円でした。 

26日(木):日経平均は3日間で3,000円近い上昇のため利益確定売りに押され、前場は▲311円の1万9,234円で寄り付くと、▲903円の1万8,643円まで下落。後場になると一段安となり、▲1,033円の1万8,512円まで下げて、終値は▲882円の1万8,644円と、4日ぶりの大幅反落となりました。 

27日(金):前日の米国市場で、週間新規失業保険申請件数が28.1万件→328.33万件と記録的高水準になったものの、NYダウは+1,351ドルの2万2,552ドルまで上昇。このことで、日経平均は+357円の1万9,021円で寄り付き、+702円の1万9,366円まで上昇しました。しかし、上げ幅を縮小し▲167円の1万8,832円まで下げました。その後、後場になると機関投資家による配当再投資の買い観測で大引けにかけて一段高となり、+724円の1万9,389円の大引けとなりました。

 巨額の新型コロナウイルス対策費や2兆ドルの巨額の景気対策で、26日までの3日間でNYダウは+21.3%の大幅上昇に。しかし、日本市場の引け後の27日のNYダウは朝方に▲1,082ドルの下落、午後に▲224ドルまで反発するものの、終値は▲915ドルの2万1,636ドルで引けました。この理由は、米国の新型コロナウイルスの感染者数が中国やイタリアを上回ったことで、感染拡大終息までの見通しが長期になるとの見方から、米経済に与える影響が懸念されたことによるものです。