連休明けで4営業日だった先週の国内株市場ですが、週末9月22日(金)の日経平均終値は20万296円となり、終値ベースでは8月7日以来の2万円台を回復しました。前週末(9月15日の終値は1万9,909円)からの上昇幅は387円で、さらにその前の週の上昇幅(635円)と合わせると、2週間で1,000円以上も水準を切り上げたことになります。

図1 日経平均(日足)の動き:2017年9月22日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 まずは上の図1で現在の状況を確認してみます。

 先週の日経平均は、週初の9月19日(火)からいきなり2万円台に乗せてのスタートとなりました。チャートのローソク足では大きな「窓」を空け、75日移動平均線からも上放れた格好で、相場のムードがより強気に傾いた印象です。

 株価上昇の背景にあるのは、北朝鮮情勢がこう着しながらも目先の軍事行動への警戒が後退したことや、注目イベントだったFOMC(米連邦公開市場委員会)では市場の事前予想通りの結果(バランスシート縮小と利上げペース見込みの維持)となり、為替市場円安が進んだこと、さらに、国内では連休中の先週末に浮上した衆議院の解散選挙への観測という政治的要素が上昇に弾みをつけたことなどが挙げられます。

「選挙期間中は株高が多い」というアノマリーがあることや、選挙の争点で新たな経済政策が出てくることへの期待、現政権に不満がありながらも、コレといった野党の受け皿がなく、北朝鮮をめぐる緊張が続いている中での政治的空白や混乱は避けたいという状況の中では、今後の選挙で与党が勝利する見込みが強く、安定的な政権基盤が継続するのではという思惑が働きやすかったと思われます。

 ただ、週末にかけての日経平均は伸び悩みました。先週、トランプ米大統領が行なった国連総会での演説をきっかけにして北朝鮮情勢への警戒が意識されたことが影響し、9月21日(木)と22日(金)のローソク足は2本続けて大きめの陰線が出現しています。

 それでも、週末終値(2万296円)は、週初19日の終値(2万299円)とほぼ同じ株価水準であるほか、先週の日足のローソク足を一本にまとめて週足のローソク足にすると、やや上ヒゲの長い陽線になっていますが、比較的「値を保った」と言えます。また、先週の上値は2万500円の節目が意識されているようにも見えます。

 そのため、今週は先週までの急ピッチな株価上昇による上昇の一服感と、9月の権利付き最終日と権利落ち日の「権利またぎ」の週でもあるため、日経平均2万円台の値固めができるかが注目されそうというのがメインシナリオとなりそうです。
ちなみに、配当の権利落ちによる下落は90円〜120円ぐらいが目安になります。また、今週で9月が終わり、企業業績が注目されやすい時期に差し掛かるタイミングでもあり、安くなったところでは買いが入りやすくなるかもしれません。

 では、日経平均の上値余地はどのくらいあるのでしょうか?下の図2は週足チャートです。

図2 日経平均(週足)の動き:2017年9月22日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成


  図2に描かれているトレンドラインは、これまでにも何度か紹介した「トリプルボトム崩れ」の下値を結んだ線です。いわゆる「アベノミクス相場」は2015年の夏場に高値をつけて以降、下落トレンド入りすることになったのですが、その底打ちの際に形成したチャートの形状がトリプルボトムです。

 ただし、トリプルボトム形成後の株価回復が順調でなく、崩れてしまったことがその後の相場展開に影響を与えていると考えることができます。実際に、このトレンドラインを挟んで、強気相場と弱気相場が繰り返されていることがわかります。

 足元の日経平均はこのトレンドラインより下に位置し、このまま相場のムードが改善するのであれば、トレンドラインまでの上値余地はありそうです。先週末時点では約2万1,000円となりますが、この水準は奇しくも、アベノミクス相場での最高値(2015年6月24日の取引時間中につけた2万952円)でもあります。

 とはいえ、何だかんだ言っても外部要因を中心に足元の不透明要素は強く、このまま上値トライとは行かず、しばらくは「ガマン」の時期を迎えるかもしれません。下の図3は少し期間を長くした日経平均の日足チャートです。


図3 日経平均(日足)の動き その2:2017年9月22日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成


 図3を見ると、足元の株価上昇は「窓」空けで25日移動平均線や75日移動平均線の上値抵抗を突破してきたことなど、4月半ばから5月にかけての動きと似ています。

 当時と同じようなリズムを今回も繰り返すのであれば、乖離が進んでいるローソク足と25日移動平均線を修正する日柄調整が訪れることが考えられます。そして、その日柄調整の過程で25日移動平均線が75日移動平均線を上抜ける「ゴールデンクロス」を達成し、25日移動平均線をサポートにできるかが、今後の上値トライの注目ポイントになりそうです。