19年下期は予想を上回る6%増益、20年半ばにマカオ5G商用化へ

現地コード 銘柄名
01883

中信国際電訊集団

(シティック・テレコム・インターナショナル・ホールディングス)

株価 情報種類

 2.93HKD
(3/4現在)

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 中信国際電訊の19年下期(7-12月)決算では、純利益が前年同期比6.2%増の4億9,100万HKドルに達した。マカオで通信サービス収入が減少し、香港でインバウンドが落ち込むという逆風の下、BOCIの予想を1.7%上回った。BOCIはアジア太平洋地域の通信サービス、付加価値サービス、データサービスを含む同社の多角的なビジネス構成や、株主利益の強化において実績を上げてきた経営手腕が、逆風下でのシェア拡大に寄与したとの見方。20-21年の利益見通しの減額修正に伴い、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 19年下期の前年同期比6.2%の増益を支えたのは、主に事業構成の優良化に伴う粗利益率の改善。事業別に売り上げを見ると、サービス収入は4.5%増の38億HKドルと、BOCIの予想を7.7%下回った。マカオの通信キャリアサービス(移動通信・インターネット・固定通信)が2.5%減収となったためで、抗議デモの激化を受けた香港のインバウンド不振も響いた。一方、SMSサービスの好調を追い風に、国際通信サービス収入は、前年同期比13.9%増の9億3,600万HKドル。企業ソリューション収入も、カジノ・リゾートプロジェクト向けの増収を受け、5.4%増の16億HKドルに達した。

 期末配当は1株当たり0.15HKドルを予定しており、年間配当は0.20HKドルとなる見込み(前年実績は0.18HKドル)。配当性向は73%と、前年実績を5ポイント上回る。

 経営陣は現在の逆風に対処するため、新規ビジネスの発展を目指す戦略を改めて強調している。マカオが新型肺炎の水際対策として入境制限を実施した1月後半以降の影響に関しては、今のところ対処可能としているが、BOCIは4月以降も正常化しない場合、その影響を改めて分析する必要があるとしている。

 新規事業の一つであるマカオでの5Gサービスは20年半ばに商用化の予定であり、年末までには全域をカバーする計画。BOCIはネットワーク敷設費用がかさむとみて、20年の設備投資に関する想定値を5億HKドルから6億HKドルに増額修正した。

 BOCIは設備投資の増加見通しなどを反映させる形で、20年、21年の予想純利益を5.0%、5.3%減額修正し、10億300万HKドル、11億1,000万HKドルに設定した。また、これに伴い、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げた。新たな目標値は20年予想PERで12.4倍に相当する。

 一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、新型コロナウイルスの流行状況を挙げている。同社の移動通信およびデータサービス収入はマカオの景気動向に大きく左右されるが、そのマカオ経済はインバウンドへの依存度が高く、仮に旅行制限が長期化した場合には、同社収益に深刻な打撃が及ぶと指摘している。