新型コロナウイルスの懸念が一層高まり、大きく下落した2月の米株式市場!個人投資家の取引が多かった銘柄は?

注:期間2020年3月6日まで
出所:楽天証券ウェブサイト

 2月の米株式市場は、月半ばまで堅調に推移し、S&P500種株価指数は過去最高値を更新する展開となっていました。しかしその後は、中国や日本だけではなく、米国などでも感染者が見つかったことから、新型コロナウイルスの世界的拡大に対する警戒が高まり、株式相場は大きく下落しました。

 3月に入り、3月3日のスーパーチューズデーで中道派のジョー・バイデン前米副大統領が優勢となったことや、83億ドル規模の緊急予算措置にトランプ米大統領が署名するなど好材料もありましたが、米国株式市場は半値戻しを達成できず、低迷しました。

 不透明感が強まる中、個人投資家はどのような銘柄を買っているのでしょうか。

 今回は買付者数が多かった銘柄ランキングです。加えて、直近3月第1週目の動向も紹介します。

2020年2月 米国株式買付者数ランキング

順位 ティッカー 前月
順位
銘柄名 関連するテーマ
1 SPYD 1 SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF ETF、高配当株式
2 MSFT 2 マイクロソフト クラウド、PC
3 VOO 8 バンガード・S&P 500 ETF ETF、S&P500
4 HDV 5 iシェアーズ コア米国高配当株 ETF ETF、高配当株式
5 VYM 6 バンガード・米国高配当株式ETF ETF、高配当株式
6 AAPL 3 アップル スマホ、PC
7 XOM 7 エクソンモービル 石油、高配当
8 V 12 ビザ クレジットカード、キャッシュレス
9 VTI 10 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF ETF、米国株式
10 T 4 AT&T 通信、高配当、配当貴族
注:楽天証券内買付者数ベース。2020年2月1日~2月29日、国内約定日ベース

 2月の楽天証券の米国株式の取引において、最も買付者数の多かった銘柄は、おなじみのSPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF(SPYD)です。高配当系のETF(上場投資信託)は株価下落時も物色されており、ランキングでも他にiシェアーズ コア米国高配当株(HDV)などが上位と順位を上げました。

2020年3月第1週目 米国株式買付者数ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 関連するテーマ
1 SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF ETF、高配当株式
2 VOO バンガード・S&P 500 ETF ETF、S&P500
3 VYM バンガード・米国高配当株式ETF ETF、高配当株式
4 HDV iシェアーズ コア米国高配当株 ETF ETF、高配当株式
5 SPXL Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF ETF、S&P500、レバレッジ
6 MSFT マイクロソフト クラウド、PC
7 AAPL アップル スマホ、PC
8 VTI バンガード・トータル・ストック・マーケットETF ETF、米国株式
9 KO コカ・コーラ 飲料、長期連続増配、ディフェンシブ
10 XOM エクソンモービル 石油、高配当
注:楽天証券内買付者数ベース。2020年3月1日~3月7日、国内約定日ベース

 3月第1週目も、引き続き高配当系のETFが買われています。

 そして、5位に、Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF(SPXL)、9位にコカ・コーラ(KO)がランクイン。前者は、強気派、後者はやや保守的な方の買いとみられ、個人投資家の相場の見方は分かれているようです。

ランキング上位銘柄のうち、直近動きのあった銘柄は?

Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF(SPXL)

出所:楽天証券ウェブサイト(3月6日まで)

 3月第1週目にランキングインしたDirexion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF(SPXL)は、S&P500インデックスの300%のパフォーマンスに連動した成果を目指すETFです。ターゲットがS&P500であり、3倍までレバレッジをかけるという分かりやすさが、相場に強気の投資家から支持されているようです。

コカ・コーラ(KO)

出所:楽天証券ウェブサイト(3月6日まで)

 同様に3月第1週目にランキングインしたコカ・コーラ(KO)。ディフェンシブ銘柄の中でも人気の理由は、57年間連続増配という株主還元の実績でしょう(2019年2月時点)。現時点の配当利回りも2.89%と悪くありません(実績配当金ベース、株価は3月6日の終値)。主力の飲料については、景気が後退しても一定の需要があると考えられますし、昨年12月には発売前の新商品をいち早く登録者の家まで届けるサブスクリプションサービス「Insider's Club」を発表するなど、ユニークな試みを進めています。株価チャートも、直近の底値から回復傾向です。

ビヨンド・ミート(BYND)

出所:楽天証券ウェブサイト(3月6日まで)

  小型株では、植物由来の人工肉の製造・販売を手掛けるビヨンド・ミートがランキング20位内(3月第1週目)に入っており、引き続き人気のようです。小型株の中でもこの銘柄が人気の理由は、新型コロナウイルスや景気後退懸念とは別枠で、長期的な需要拡大が描けるからでしょう。2月27日に公表した2019年4Qの決算では、売上高は市場予想を大きく上回り、EPS(1株当たり利益)も市場予想ほどの赤字にはなりませんでした。決算発表後、相場の影響を受けて株価は下落していますが、ここに投資妙味を感じる投資家がいるとみられます。

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)

出所:楽天証券ウェブサイト(3月9日まで)

 ビデオ会議システムを展開するズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)は、ランキング30位内に入りました(3月第1週目)。

 新型コロナウイルス感染防止のため、いま日本に急速に広がるテレワーク。米国企業でもテレワークを推奨する報道が散見されます。これを受けて、ビデオ会議システムを展開するズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の株価は急騰しています。ビデオ会議の需要は世界的に急速に拡大する可能性が高く、ここで同市場のシェアを一気に拡大させることができれば、大きな参入障壁を作れるかもしれません。これまで導入していなかった企業や団体がビデオ会議を導入した場合、その後に他のビデオサービスに乗り換える確率は低いとみられます。

ネットフリックス(NFLX)

出所:楽天証券ウェブサイト(3月6日まで)

「巣ごもり需要」という点では、ネットフリックス(NFLX)にも注目です。ランキングの順位は、2月と、3月第1週目を比べた場合に上昇中。競合のウォルト・ディズニー(DIS)の「ディズニー・プラス」がアナリストから厳しい視線を向けられている点も、相対的に株価が堅調に推移している要因の一つとみられます。