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 3月13日に株価指数先物等の“Special Quotation”(『SQ』)を迎えます。前回、前々回の『SQ』時には、ショートポジションが極めて高水準で、『SQ』に向けて買戻しが加速しました。今回、日本株は新型肺炎の世界的な拡大などを背景に大幅な下落局面にあります。『SQ』に向けては、損益の悪化したロングポジションの手じまい売り等から波乱含みですが、一気にポジション整理が進み、下落局面の転換点となる可能性があります。

【ポイント1】『SQ』とは先物・オプション取引を決済するための特別清算指数

『SQ』前は変動性が高まる傾向

 3月13日に株価指数先物とオプション取引の『SQ』を迎えます。『SQ』とは株価指数の先物取引やオプション取引などを、決済期日で決済するための「特別清算指数」のことを指します。
投資家は『SQ』に向けて多様なポジションの決済等の対応を迫られます。『SQ』前に何らかの要因で株価が変動した場合にポジションを一気に解消する動きが出て、株価の変動率が大きくなる傾向があります。

【ポイント2】依然ショートポジションは高水準

テクニカル指標も下落局面の転換を示唆

『SQ』を迎えるに当たり、ショートポジションは依然高水準が続いています。ネット裁定残高は3月3日時点で▲2.55億株で、異例な低水準です。また40%を超えると高水準とされる空売り比率は、3月5日に49.9%となるなど高水準の空売りが続いています。

 テクニカル面をみると、日経平均ボラティリティー・インデックス(日経平均VI)は40%を上回ると底入れサインといわれますが、2月28日には、42.8%となりました。また値上がり・値下がり銘柄の割合を示す騰落レシオ(25日移動平均)は70%を下回ると売られすぎのサインとされますが、2月28日に53.3%まで低下しています。

【今後の展開】『SQ』前後が日本株の下落局面の転換点か?

 ショートポジションは高水準、テクニカル指標からは底打ち感が出ているなかで『SQ』を迎えます。ただし前回『SQ』のあった12月13日の日経平均株価の終値は24,023.1円で、その後ほぼ同水準以下で推移しており、2020年3月限ではロングポジションの投資家は大部分が評価損状態とみられます。新型肺炎の感染拡大により不安定な相場状況のなか、損切りのロングポジションの手じまいが一気に進み、日経平均株価が一時的に急落する可能性があります。その場合、下落局面の転換点となる可能性があり注目されます。