スーパーチューズデーでバイデン候補が勝利。2候補に絞られる

 3月3日、アラバマ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、メーン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、ユタ、バーモント、バージニア、アメリカン・サモアで、米国大統領予備選挙・党員集会が行われました。

 この日は1,358の代表(delegates)が決定するということで、米大統領選挙の序盤戦のひとつのヤマ場でした。

 これを書いている日本時間3月5日早朝の段階でジョー・バイデン候補は今日だけで413の代表を獲得し、総代表数を467に、バーニー・サンダース候補は今日だけで332の代表を獲得し、総代表数を392としました。

 マイケル・ブルームバーグ候補は44代表しか獲得できず、立候補を取り止め。そうなると主要な候補者で残っているのは、エリザベス・ウォーレン候補(総代表数51)だけになりました。

 つまり、民主党公認候補指名レースはバイデン氏とサンダース氏の2人にほぼ決まったということです。

 バイデン氏はテキサス、オクラホマ、アーカンソー、テネシー、ノースカロライナ、アラバマなど米国南部の州で強さを見せました。

 サンダース氏はカリフォルニア、ユタ、コロラドなど米国西部の州で勝ちました。

 スーパーチューズデーをへて、これまでに全米の州の37%の投票が終わりました。しかしながら、まだ重要な州が残っているので、今の時点でどちらが民主党の公認候補となるかを判定するのは時期尚早だと思います。

今後の米大統領予備選の重要な日程は?

 今後の米大統領予備選の重要な日程は次の通りです。

 3月10日にアイダホ、ミシガン、ミシシッピ、ミズーリ、ノースダコタ、ワシントンで予備選挙があり352代表が争われます。

 3月17日にはアリゾナ、フロリダ、イリノイ、オハイオの予備選挙が予定されており577代表が決定されます。

 4月28日はコネチカット、デラウェア、メリーランド、ニューヨーク、ペンシルベニア、ロードアイランドが予備選挙に行く日であり、そこで663代表が決定します。

 そしていよいよ7月13~16日にかけて、ミルウォーキーで民主党大会が開かれ、民主党の公認候補が決まるというわけです。

 一方、共和党は8月24~27日にノースカロライナ州シャーロットで共和党大会を開催します。公認候補はトランプ米大統領になる見込みです。

 その後、9月29日から大統領候補のテレビ討論会が始まります。

 第1回はインディアナ州サウスベンドで開催されます。10月7日には副大統領同士のテレビ討論会がユタ州のソルトレイクシティで開催されます。さらに10月15日と22日に第2、3回の大統領候補テレビ討論会が催され、11月3日に本投票という流れです。

サンダース、バイデン両候補の主張

 サンダース氏は格差社会に対する庶民の怒りに訴えるキャンペーンを展開しています。「大企業はけしからん」「ワシントンDCの政治のエスタブリッシュメントはけしからん」「自分は庶民の味方だ」というような感情をむき出しにしたキャンペーンが、若者たちの心を捉えています。彼は政治や経済の大改革が必要だと説いています。

 一方、バイデン氏は穏健派です。米国の多様性を尊重し、米国人の善良さ、明るさを強調したキャンペーンを展開しています。

スーパーチューズデーで市場の動きは?

 さて、株式市場の反応ですが、スーパーチューズデーの翌日、3月4日の立ち合いではバイデン氏が優勢だったことを受けて、ヘルスケア株が値を飛ばしました。

 その理由は、サンダース氏は国民皆医療保険を主張しており、民間の医療保険制度を廃止し、国営にすることを提唱しているからです。

 一方、バイデン氏は現在の制度を温存させるべきだと主張しています。

 サンダース氏が劣勢と伝えられたので、ユナイテッドヘルス(UNH)、シグナ(CI)、アンセム(ANTM)、ヒューマナ(HUM)、センティーン(CNC)などの株が急騰しました。

 ただこれまでで説明したように、いまだフロリダ、ニューヨーク、イリノイ、ペンシルベニアなど重要州が残っているので、現時点で「サンダースリスク」が去ったと決めつけるのは早すぎる気がします。

サンダース氏はウォール街にとって歓迎せざる候補

 サンダース氏はスチューデント・ローンの債務帳消しも主張しています。これらのことを実現するために全ての株式取引に0.50%の株式取引税という、裕福層に重い資産税を課すことを提唱しています。

新型コロナウイルスで保守化した米国民

 米国民は、「経済を根本からやり直す!」という過激なサンダース氏の主張に猜疑(さいぎ)心を抱き始めている印象があります。特に最近、新型コロナウイルスの発生で経済の見通しが不透明になっているので、(この微妙なときに経済を大きく改変することは逆効果にならないか?)と不安を覚えているのです。

▲特集・米国大統領選2020