CLPへの利益貢献が縮小も陽江原発は堅調、電力値下げ懸念が重石に

現地コード 銘柄名
01816

中国広核電力

(CGNパワー)

株価 情報種類

 1.90HKD
(2/27現在)

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 中電控股(CLP:00002)の19年12月本決算では、中国広核電力傘下の陽江原子力発電所(陽江核電:広東省)による利益貢献が前年実績を6%下回った。BOCIはその原因を分析した上で、20年にはマイナス要因が縮小する見通しを示している。電力価格に関する政策不透明感を指摘しつつも、現時点では中国広核電力の株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 17年末に陽江原発の権益17%を取得したCLPの19年本決算を見ると、同原発の営業利益貢献は前年比6%減の7億5,000万HKドル。電力販売量が17%増えたにもかかわらず、利益貢献が縮小するという予想外の結果だった。これは大亜湾原発とは対照的。大亜湾では発電量が前年比2%縮小しながらも、CLPへの利益貢献は2%増加している。

 BOCIの分析では、利益貢献の縮小というサプライズは主に【1】付帯サービス関連の費用負担【2】増値税(VAT)改革による影響【3】為替要因が響いたため。逆に大亜湾原発は、付帯サービス費用の免除などが利益貢献の伸びにつながった。うちVAT改革に関しては、18-19年に2度行われたVAT減税に伴う還付率(操業初期段階の優遇措置)の縮小が一時的に響いたもよう。CLPと中国広核電力の決算通貨の違い(香港ドル、人民元)やVAT還付に関する会計方針の違いなどから、SWSは中国広核電力の実際の19年業績が、CLPが示した数字を上回るとみている。18年のVAT還付分の回収が19年にずれ込んだとみられることも19年の利益押し上げに寄与するという。

 19年通期の陽江原発の電力販売量は前年比17%増の413億kWh。5号機の通期フルの寄与や6号機の19年7月の商業運転開始によるもので、1-4号機の販売量は前年比0.3%の微減だった。

 続く20年には、19年に見られた変動要因が落ち着く見込み。まず、付帯サービス費用は19年8月の値下げ調整を受けて縮小する可能性が高い。BOCIは市場化枠(大口顧客との協議で価格を決定)の電力販売価格の値引き率も、20年1-2月に縮小傾向を示したと報告している。

 一方、市場では、20年下期にも卸電力値下げが行われるとの警戒感が根強い。特に原発や水力発電など、ROE(株主資本利益率)が相対的に高い電力部門に関して値下げ懸念が大きく、これが株価の重石となっている。BOCIは政府が年半ばにも値下げを発表しない場合、政策懸念の払しょくまでにかなりの時間がかかる可能性を指摘している。

 なお、中国広核電力が発表した19年12月通期の決算速報によれば、通期利益は前年比8.8%増の94億6,600万元と、BOCIの予想から1.2%上振れた(コア利益予想並み)。BOCIは、現時点では値下げの可能性やその影響を数値化することは難しいとし、目標株価を現行水準に維持。強気の投資判断を据え置いている。