今週の予想
新型コロナウイルスの落ち着き先と、米金利低下のタイミングを見ながら乱高下か
今週は国内外ともに経済指標の発表が多く、新型コロナウイルスの世界的感染拡大で、世界経済の後退懸念から、株価の下落はまだ続くとの見方もあります。ここに、FRB(米連邦準備制度理事会)が「3月に利下げを検討している」と発表したことで、このタイミングを見るため、乱高下の動きになる可能性もあります。
普通、暴落は悪材料を織り込んで底値をコツンとして、いったん反発するところですが、先週末、出来高、売買代金が安値圏で増加するものの、コツンときた感じではありませんでした。このような場合は、いったん反発してもすぐに戻り売りに押されることになります。
今回、コツンとしない理由は、人類が経験したことがない新型コロナウイルスの実態が解明されていないことにあります。つまり、感染拡大の収束が不透明だからです。そのため、3月にFRBの金利引下げでいったん大きく上昇しても、感染拡大の収束ができなければ再び下落してくることになります。
今の相場の上下動は、AI(人工知能)を使った(AIが命令を出した)結果であるため、一方的に振れやすいと言えます。
特に、これから3月13日(金)のメジャーSQ(特別清算指数)までの2週間は、安倍晋三首相が新型コロナウイルスの封じ込めに重要な2週間だとしたように、株価もどういう調整をするか、注目です。しばらく乱高下を繰り返し、時間をかけて底打ちとなることも考えられます。というのは、感染拡大は世界のサプライチェーンを混乱させ、すでに経済活動に悪影響を与えているため、正常化するには多少時間がかかるからです。
日経平均株価の下値のメドは、PBR(株価純資産倍率)が1倍の2万700円水準、今年1月の高値2万4,115円から15%の下げで2万500円、それから2万円の心理的フシ目となります。これはFRBの金利引き下げの時期と幅に影響するため、3月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)までの動きが注目されます。
(今週の指標)日経平均株価
今週は、2万1,000円を終値で守れるかどうかの攻防となりそうです。
先週末の2月28日(金)の米国市場では、為替が1ドル=107.51円まで進んだことでシカゴの日経先物は一時2万460円まで下げ、▲65円の2万1,015円となっています。さらに、注目とされていた29日(土)発表の中国の2月の製造業PMI(購買担当者景気指数)、非製造業PMIともに予想を大きく下回っており、日経平均株価にどう影響するのか気になるところです。
ただし、ここにきてFRBが3月利下げを検討する方針を表明したため、NYダウ平均株価がこれ以上売られると、利下げ実施されるため、下値のサポート要因となりそうです。
今週は国内外ともに経済指標の発表が多く、新型コロナウイルスの感染拡大懸念の中で乱高下が続く公算が大きいと思われます。PBRが現在、1倍で2万700円水準ですので、ここを切ると昨年8月6日の2万110円水準となり、ここまでくると自律反発するところとなります。
(今週の指標)NYダウ平均株価
今週は、米国市場でも感染者が増加し、複数の企業が下方修正しているため、投資家心理の後退は継続するものと思われます。新型コロナウイルスの拡大の収束は不明なため、悪化を織り込み、底打ちという現象が確認しづらくなっています。
1月の米国個人消費が下方修正され、米国景気の中心である個人消費を回復させるため、利下げのタイミングを待つことになります。ただ、終息がハッキリしない中では、利下げも一時的かもしれません。時間をかけて終息を待つ以外の手は、今のところありません。
チャートでは、2万4,000ドル水準からは、反発してもいいところですが、FRBの利下げのタイミングを見ながらの動きとなります。
(今週の指標)ドル/円
今週は、FRBの利下げ観測を元に、基本はドル売り・円買いが先行しそうです。しかし一方で、リスク回避の円買いとなってはいても、長期的な日本経済の低迷を懸念した円売りも出てくるので、円高がどんどん進むとは考えにくく、ドルはもみ合いという感じになりそうです。1ドル=106~109円のレンジを想定しています。
先週の結果
先週は、NYダウの急落に連動し、日経平均は5日続落で一時2万1,000円割れまで下落
先週は2万3,000~2万3,500円のレンジの中で2万3,000円を試す場面があるかもしれないとし、そうなれば次の下値を昨年11月21日の2万2,726円としました。しかし、日本が3連休の間の24日(月)に、NYダウが新型コロナウイルスの拡大による世界経済への悪影響を懸念して、▲1,031ドルの2万7,960ドルの急落。そのため、25日(火)の日経平均は、一時▲1,057円の2万2,335円まで下落し、終値は▲781円の2万2,605円となって2万2,726円を切ってしまいました。
そこで改めて、先週の予測を修正し、2万2,335円の安値を切っても2万2,000円を守れれば、そのまま相場が崩れていくことにはならないのではないかとし、NYダウにツレ安しているので、NYダウの反発を待つことになるとしました。
しかし、残念ながら新型コロナウイルスの感染拡大が世界中に広がり、世界経済後退懸念からNYダウが急落につぐ急落となったことで、日経平均も27日(木)は▲477円の2万1,948円と2万2,000円を終値で切りました。週末の28日(金)は、前日のNYダウのさらなる急落を受けて、一時▲1,031円の2万916円と2万1,000円を割り込み、▲805円の2万1,142円まで下落して引けました。オプションに絡んだ売り、先物のヘッジ売り、追証発生に伴う投げ売りと複合的な売りが重なって、手が付けられない状況となりました。
25日(火):前日のNYダウが新型コロナウイルス拡大で急落し、▲1,031ドルの2万7,960ドルとなったことで、日経平均は▲437円の2万2,949円で寄り付き、一時2万2,335円まで下落。終値は▲781円の2万2,605円でした。
26日(水):前日のNYダウが▲879ドルの2万7,081ドルと2日連続の大幅安となったことで、日経平均は▲231円の2万2,374円で寄り付き、ドルが売られて1ドル=111円から110円の前半の円高となったことで、一時▲477円の2万2,127円まで下落。売り一巡後は下げ渋り、▲179円の2万2,426円と3日続落となりました。
27日(木):前日のNYダウは▲123ドルと5日続落。時間外での米株先物が下落していたことで、日経平均は▲170円の2万2,255円で寄り付き、前引けは▲401円の2万2,025円。後場になると為替が一時1ドル=110円割れとなったことで、▲581円の2万1,844円と2万2,000円を割り込みました。大引けにかけても2万2,000円を回復できず、▲477円の2万1,948円と終値で2万2,000円を割り込んで4日続落となりました。
28日(金):感染源不明の新型コロナウイルス感染者を出したことで、米国内の感染も強まり、また、マイクロソフトの売上が目標未達と企業業績にも影響が現れてきたことで、NYダウは▲1,190ドルの2万5,766ドルと昨年8月22日の水準まで下げました。主要株価3指標とも2月中旬につけた史上最高値から10%以上の下落と本格調整になったため、日経平均は寄り付きから2万2,000円を大きく割る動きとなりました。▲430円の2万1,518円で寄り付いた後、一時▲765円の2万1,182円まで下げ、為替も1ドル=109円台半ばの円高となったことで、後場には一時▲1,031円の2万916円と2万1,000円を割り込み、終値は▲805円の2万1,142円でした。
日本市場引け後の米国市場は、新型コロナウイルス感染が世界的に拡大する中、7日連続下落となりました。NYダウは一時▲1,085ドルの2万4,681ドルまで下落したあと、FRBのパウエル議長が利下げを示唆したことで、センチメンタルがやや改善。終値は▲357ドルの2万5,409ドル、ナスダックは+0.8ポイントの8,567ポイントと主要指数はマチマチの動きとなりました。1週間で3,583ドルの下落(下落率12.4%)と過去最大の下げ幅となり、最高値からの下落率も14.07%となり、本格調整入りとなりました。為替は、一時、1ドル=107.51円までのドル安・円高となり、引け値は108円の円高で引け、シカゴの日経先物は▲65円の2万1,015円でした。
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