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『調剤薬局』は調剤を病院から切り離す医薬分業により誕生しました。『調剤薬局』は調剤での高い利益を原資にした新規出店により成長が続きました。またドラッグストアが大手への集約が進んだのに対して、『調剤薬局』は個人経営中心の状況にあります。ただ、ここにきて出店余地の縮小や深刻な薬剤師不足などを背景に調剤大手に加えドラッグストア大手による中小チェーンの買収など再編が加速しています。

【ポイント1】『調剤薬局』は「かかりつけ薬局」への移行など転換期に

 病院前などに立地する『調剤薬局』はコンビニエンスストアを上回る約6万店まで増加しました。このうち約7割が個人経営とされ、大手への集約が進むコンビニエンスストアやドラッグストアとは対照的な状況にあります。

 順調に拡大してきた『調剤薬局』ですが、都市部での出店余地の縮小や薬剤師不足が深刻化しています。また厚生労働省は医療費の削減を目指し、2025年までに全ての『調剤薬局』に患者の薬歴を管理し、健康の相談窓口になる「かかりつけ薬局」への移行を促しており、『調剤薬局』は転換期にあります。

【ポイント2】『調剤薬局』の合併・買収(M&A)が活発化

 こうした状況を受けて『調剤薬局』大手による中小薬局のM&Aが活発になっています。2019年11月に『調剤薬局』大手の日本調剤は「プラザ薬局」などを運営する中堅3社を買収すると発表しました。3社は、首都圏で計19店舗を展開しており、同社は買収で首都圏を強化します。

 国内の調剤医療市場は約8兆円、このうちドラッグストアは約10%にとどまるとみられ、大手ドラッグストアが調剤を拡充する動きも増えています。なかでもスギHDは『調剤薬局』の「かかりつけ薬局」への移行を好機とみて、調剤やヘルスケアを強みとする他社とのM&Aを積極化する方針です。

【今後の展開】『調剤薬局』の淘汰・再編が加速

 主に調剤薬局が医師が処方する「医療用医薬品」、ドラッグストアは消費者が直接購入できる「一般用医薬品」とすみ分けが成立していました。ただ、競争が激化し、ドラッグストアは今後の成長を集約の遅れる調剤に求め、大手調剤薬局とドラッグストアがともに個店や中小チェーンの買収に乗り出す状況となっています。『調剤薬局』では、立地やサービスだけでなく、スケールメリットで商品の調達や人材確保面での競争力にまさる大手への淘汰・再編が加速するとみられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。