3月3日は重要!米大統領選前半の山場・スーパーチューズデー

 3月3日はスーパーチューズデーと呼ばれる、米大統領選挙前半戦の一つの山場です。

 この日、アラバマ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、メイン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、ユタ、バーモント、バージニアなどの州で予備選挙ないしは党員集会が行われます。

 有権者の約3分の1をカバーするこれらの州で投票が行われるので、民主党の公認候補は、実質的にこの日に決定すると言っても過言ではないでしょう。

現在はバーニー・サンダースがリード!

 現在のところ、バーニー・サンダース氏が明らかにリードしています。そこでサンダース候補について少し説明しておきます。

 まず彼は1941年ニューヨーク州ニューヨークブルックリン区生まれの78歳です。支持基盤はバーモント州です。1981年にバーモント州バーリントン市長に当選。2007年からはバーモント州上院議員を務めています。

 サンダース候補は民主的社会主義を提唱しており、具体的には民間の医療保険を廃止し、国民全員に国の運営する健康保険を提供する、1.6兆ドルの残高があるスチューデントローンを帳消しにする、大学教育を無料化する…ということを提唱しています。

 その半面、これらの政策を実現するための原資確保のために、株式取引に0.5%の取引税を、富裕層には毎年資産税を課すなどの増税を公約しています。

 つまり、投資家にとってあまり歓迎できない候補者というわけです。もしもサンダースが大統領になった場合は、株式市場が長期にわたって低迷すると考える投資家も多いです。

民主党サンダースは11月の本投票でトランプに勝てるのか?

 民主党は7月13日から16日の間にミルウォーキー市で開催される民主党大会で公認候補を決定します。ここでもし、サンダース候補が公認候補となった場合、「トランプに勝てるのか?」を誰もが知りたいところだと思います。

 トランプが大統領を務めてきた4年間、米国経済はずっと好調でした。失業率は低いし、賃金もようやく上昇し始めました。2017年には共和党が主導して税制改革法案を成立させました。米中貿易交渉第1ラウンド合意にも調印しました。

 これらのことから「トランプ米大統領は、やるべきことはちゃんとやっている」と感じる米国民が多いと思います。

 実際、トランプ大統領の仕事ぶりを肯定する意見は現在46.3%であり、彼が大統領になって以来、最高です。

株式市場が大統領選の結果を予見?

 普通、経済が良いときは現職大統領が有利。その意味では順当に行けば、サンダース候補には勝ち目はない気がします。

 しかし、ここへきてちょっと状況が変わってきました。それと言うのも2月に株式市場が崩れたからです。

 米国では「1~2月に株式市場が崩れたら、それは現職大統領が敗北する予兆だ」と信じられています。それを示したのが下のチャートです。

大統領選挙年のS&P500種株価指数の推移(1944~2016年)

単位:%
出所:ストックトレーダーズ・アルマナック

 グレーの線に注目していただきたいのですが、1~2月に相場が安いときは、現職大統領が敗北するケースが多かったのです。

 経済がうまくいっていないとき、有権者はその責任を大統領に求める傾向があります。だから現職大統領が選挙に勝つためには株高を維持するということが大事になってくるわけです。

 しかし今回の場合、2月にマーケットが崩れたのは中国の武漢から発生した新型コロナウイルスが原因であり、共和党の政策の失敗が原因というのとは明らかに違います。

サンダース候補が大統領になると、株式市場にはマイナス。特にこの分野はダメージ

 サンダース候補が大統領になったら株式市場にはマイナスだと思います。

 とりわけひどく売られるセクターとしてはヘルスケア、金融サービス、石油・天然ガス、大手ハイテク・ネット企業などが考えられます。

 なぜならサンダース候補は民間によるヘルスケアを否定しているからです。政府が全部のヘルスケアサービスを提供するとなると医療保険会社は存在しにくくなりますし、製薬会社も薬価を下げる必要が出てくることが考えられます。

 サンダース候補はウォール街を敵視しており、メガバンクに対する規制を強化すべきだと考えています。これは銀行株にとって良くないと思います。

 また、石油・天然ガスの分野では、シェール開発に否定的な考え方をしています。連邦政府の土地でのフラッキングなどが禁止されることが予想されます。

 最後に大手ハイテク・ネット企業に関しては寡占(かせん)的な状況が出来上がっていると考えており、かつてロックフェラーのスタンダード石油や電話会社AT&Tがバラバラに分割されたように、これらの大手企業もバラバラにされるべきだという意見を持っています。

 もちろん、そのように大手ハイテク・ネット企業が分割されれば、逆に個々の部門の価値が顕在化し、トータルでみれば株価にプラスだという指摘もあります。

 ただ投資家は一般に変化を嫌う傾向があるので、サンダース勝利は市場関係者からは歓迎されないと考えるのが順当です。

▲特集・米国大統領選2020