今週の予想

株価急落。見えないこの先

 拡大する新型肺炎の影響で、国外では日本への渡航の中止を政府が出す(19日(水)には米疾病対策センターが日本への渡航者に渡航注意情報を発表)など、各国の日本への渡航が減少してきています。

 また、国内ではスポーツや芸術などのイベントが中止となり、国内の人の移動の減少と個人消費の低迷に結びついています。そのため景気や企業業績に対する警戒感も増して、相場の地合いも悪化してくることになります。

 今週は週末、月末に向けて発表される海外の経済指標がどれくらい新型肺炎の影響を受けているのか注目され、見送りムードが強まることになります。今回の円安は日本経済の今後の停滞見通しを懸念したものですので注意が必要です。新型肺炎は中国がスタートですが、春節明け以降も経済活動は不安定になっており、「世界の工場」である中国経済が変調をきたせば、世界経済の景気後退に繋がりますので、中国政府の積極的な対策を期待するところです。

 日経平均株価の次の下値ポイントは2019年11月21日の安値2万2,726円。 新型肺炎の解決が長引けば、世界経済の低迷を先取りして、米国株式も下がり、かなり大きな調整後、日経平均は2万1,000円水準が長期的には可能性があることを念頭に入れておいた方がよいと思われます。もちろん、大きな調整を待つ人にとって数年に一度の買いチャンスになるといえます。

NYダウの下落は続くのか。米国株式の反発を待つ

 日本市場が休場の2月24日の米国市場は、韓国、イタリアなど中国以外にも新型肺炎が拡大したことで、世界の景気悪化が懸念され、NYダウは▲1,031ドルの2万7,960ドルと2018年2月以来の大幅下落となりました、為替は1ドル=110.69円の円高となり、シカゴの日経先物は▲1,125円の2万2,165円でした。

 2018年12月25日(▲1,010円)以来、1年2カ月ぶりの下げ幅となりましたが、売り一巡後は時間外で米株先物が上昇し、上海株式も落ち着いたことで前引けにかけて下げ渋りました。

 しかし、戻りは限定的で大引けは▲781円の2万2,605円でした。時間外の米株先物の反発や日本株の2万2,335円(▲1,051円)をつけてからの戻りを考えると、そのまま相場は崩れていくことはないように見えます。チャート的には、12月25日の安値を切って2万2,000円を切るようだと本格調整の可能性がありますが、新型肺炎の拡大をどう織り込むのかNYダウ次第といえます。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 新型肺炎に対する不透明感が、これまで楽観論だった米国株式市場にもブレーキをかける可能性が出てきそうです。先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の内容は、新型肺炎に対する懸念は示されながらも、米経済の堅調さを示す議論が主流で、利下げなどの金融政策の変更の可能性は低いと認識されました。

 しかし、世界中に新型肺炎が拡大しており、米国でも感染が広がってくると投資家心理は後退することになります。高値圏で調整気味になりそうです。黄信号は1月31日の2万8,169ドルを終値で切ってからといえます。

 2月24日のNYダウは、新型肺炎の世界中への拡大から、世界経済悪化への懸念で▲1,031ドルの2万7,960ドルの急落となりました。

(今週の指標)ドル/円

 感染拡大を嫌気してNYダウは反落。特に週末の21日(金)は主要3指標そろって下落となり、為替は10カ月ぶりの112円台となりました。チャートではドルは2016年12月15日の1ドル=118.66円の高値から2018年3月26日の104.56円を安値とする、直角三角形(C)の上放れの形となってきています。このようなドル/円の動き(円安)となれば、日経平均は連動して上昇するところですが、今回は上昇できずにいます。それは日本経済が新型肺炎によって後退し、場合によっては東京五輪も開催できないのではという不透明感が投資の世界で広がっているとの見方があります。

 先週は、ドル/円で上値の重かった110円を突破し、2月20日には112.23円と1週間で約2円近いドルの上昇となりました。一気に2円近い円安となりましたが、日経平均は連動しない形となっています。

 今回の円安は、米経済の堅調さからのドル買い・円売りと、日本経済が新型肺炎による悪影響でかなり悪化するとの見方からの日本売り(円売り)の結果だと思われます。そう考えると当面は日本経済への不安や企業の業績悪化と個人消費の落ち込みなどから、円が売られドル/円はジリ高の可能性があります。1ドル=110~113円のレンジを想定。

 日本が3連休中の2月24日は、世界各国へ新型肺炎が拡大し、世界経済への悪化懸念から、NYダウが1,000ドルを超す急落となり、ドルも売られて111.72円から110.34円まで下げ、引けは110.67円で引けました。

先週の結果

 先週の予測では、前週に日経平均は2万3,000~2万4,000円のレンジの中で新型肺炎の感染拡大が続いているにも関わらず2万3,000~2万4,000円のレンジの上限での動きとなっていたことで、感染拡大が継続するなら次は2万3,000~2万3,500円のレンジの下限の動きを想定しました。

 結果的に週の前半の2月19日(水)までは想定通り2万3,500円以下でのもみ合いとなりましたが、20日(木)には、米国株式のナスダックとS&P500の史上最高値更新と111円台の円安を受けて、日経平均は2万3,806円まで上昇。しかし終値では2万3,500円を超えることができませんでした。

 特に週末の21日(金)は、為替は1ドル=112円台前半までの急速な円安となりましたが、日経平均の上昇は限定的で、逆にマイナス圏での推移となりました。これまで円安と日本株の上昇は連動していましたが、少し状況が変わってきました。ドルは米経済指標や決算が好調で買われていますが、今回の円安の流れはユーロ圏が円を売っており、その理由は新型肺炎による日本経済の後退と、日本での東京五輪は難しいのではないかという不透明さからきているといわれています。

17日(月):週末のテレビは新型肺炎の感染拡大ニュースだらけで、また、寄り前の10-12月期GDP(国内総生産)速報値は前期比▲1.6%と大きく悪化したことで、▲197円の2万3,489円で寄り付き、一時▲351円の2万3,335円まで下落しました。売り一巡後は下げ渋るものの、再び上値が重くなり▲164円の2万3,523円と3日続落しました。

18日(火):前日の米国は休場のため手掛かり不足から▲124円の2万3,398円で寄り付き、米アップル社の1-3月期売上が新型肺炎の影響で予想に届かないというニュースで半導体関連が下落し、前場は▲285円の2万3,237円でした。後場になると時間外の米株先物安が重しとなり、▲389円の2万3,133円まで下落。終値は▲329円の2万3,193円と大幅に4日続落となりました。

19日(水):前日の米国市場はアップルが売られて、NYダウは一時▲281ドルとなりましたが、ナスダックが最高値更新となり、NYダウは▲165ドルまで下げ幅を縮めたことや、上海株式、ハンセン指数も上昇したことや、円安も支えとなって+135円の2万3,329円で寄り付き、終値は+206円と5日ぶりの大幅反発となりました。

20日(木):前日の米国市場で主要3指標が上昇し、ナスダックとS&P500は最高値を更新。ドルは買われて111円台半ばと3年ぶりの高値となったことで、前場の日経平均は+265円の2万3,666円で寄り付き、一時+405円の2万3,806円まで上昇して前場は+207円の2万3,607円でした。

 しかし、後場になると戻り待ちの売りに押され上げ幅を縮小し、+78円の2万3,479円となって終値では2万3,500円を抜けませんでした。 

21日(金):前日の米国市場は、新型肺炎への懸念が収束せず、為替は欧州で円が売られて112.23円までドルが上昇。日経平均は2万3,500円を前に上値重く、一時▲100円の2万3,378円まで下げて、▲92円の2万3,386円と3日ぶりに反落しました。

 21日(金)の米国市場は、新型肺炎の拡大により感染者が再び増加したことや、米経済指数の悪化もあって世界経済の減速懸念が高まり、NYダウは一時▲327ドルに。終値は▲227ドルの2万8,992ドルと2日続落しました、為替は前日の1ドル=112円台から111.57円の円高となっており、シカゴの日経先物は▲100円の2万3,190円でした。