ビットコイン狂騒曲

 最近、投資や投機に無縁と思われる人からも、「ビットコインというのはもうかるのか?」と聞かれることが多くなっている。最初に言っておくが、筆者はビットコインに対して肯定的でも否定的でもない。


ビットコイン/円(日足)

上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)
出所:石原順

 ビットコインで使われているブロックチェーンの仕組みは素晴らしい技術だが、ブロックチェーン技術の革新性とビットコインの信任は別の話だろう。その辺がごちゃまぜになっているような気がする。また、ビットコインは「通貨」だという人もいれば、「決済システム」であるという人もいて、ビットコイン自体の定義がはっきりしていない。

 ビットコインやその他の仮想通貨が通貨であれば、民間が発行している通貨ということになり、発行している胴元がいちばんもうかるということになる。民間が通貨を発行できるということで、仮想通貨の発行がブームになっており、最近では、トークンセールスと呼ばれるICO(INITIAL COIN OFFERING:新規仮想通貨公開)にも注目が集まっている。


仮想通貨の価格とその市場規模

 ビットコインなどの仮想通貨が通貨としての機能を拡大すれば、それは金融システムの安定性やマネーロンダリングの問題からいって、各国の中央銀行が容認できるものではないはず。一党独裁体制の中国がビットコインに反対するのは当然だろう。仮想通貨がはやれば国の体制を揺るがすからだ。一方、ロシアは国家管理の下で仮想通貨を管理する計画を明らかにしている。

 そうしたなか、9月12日に金融界の大御所JPモルガン・チェース銀行のジェームズ・ダイモンCEOが、「ビットコインは詐欺だ」と発言したことで、仮想通貨市場が急落に見舞われた。

「ダイモンCEOはニューヨークでの投資家会議で、ビットコインは『良い終わり方はしないだろう』と述べ、バブルがはじけると予言。『これは詐欺』であり、最古のバブルと言われる、17世紀オランダの『チューリップ球根より悪い」と指摘した。同CEOはその上で、JPモルガンのトレーダーがビットコイン取引を始めたとしたら、『即座に解雇するだろう。理由は2つだ。当行の規則に反する上に愚かであり、いずれも危険なことだ」と語った」(出所:2017年9月13日ブルームバーグ「ビットコインは詐欺、取引行えば即解雇する-JPモルガンCEO」)

 JPモルガンや大手銀行の一部はビットコインに否定的である。だた、そのJPモルガンは別の仮想通貨「イーサリアム(Ethereum)」は否定しておらず、仮想通貨間の覇権争いが背景にあるとの見方も出ている。

 筆者のビットコインに対する見方はレイ・ダリオに近い。

「ヘッジファンド運用会社、米ブリッジウォーター・アソシエーツ(運用資産1,600億ドル=約17兆8,000億円)の創業者レイ・ダリオ氏は、仮想通貨ビットコインはバブルだと指摘した。同氏は19日、米経済専門局CNBCのインタビューで『極めて投機的だ。投資家が考えているのは「より高い価格で売れるだろうか」ということだ。従ってこれはバブルだ』と述べた。通貨であるためには次の2つが必須だとダリオ氏は言う。まず取引に利用可能であること、次に富を蓄える手段であることだと、同氏は説明した。ダリオ氏は『ビットコインでは、それ自体であまり取引はできず、それほど簡便に使うことができない』と指摘。また『金と違ってボラティリティが大きいことから、富を蓄える有効な手段でもない』と加えた」(出所:9月20日ブルームバーグ「ビットコインは「バブル」-極めて投機的な市場」)

 レイ・ダリオは「ブロックチェーン技術は素晴らしいが、現状、仮想通貨や暗号通貨と呼ばれる多くの商品には問題があり、まだ通貨としては信任できない」という見方である。

 

ラリー・ウィリアムズの日本株見通し

 史上最高の短期トレーダーと呼ばれる著名投資家のラリー・ウィリアムズは米国株の調整を想定している一方で、日本株は強気予想を維持している。先週月曜日には「フォーキャストラインは上昇を示しています。シーズナルも今月末まで堅調に推移と見ています。すべてのフォーキャストが日経平均の上昇を支持していますので、安値の切り上げパターンなどでロングを仕掛けてください」と述べていたが、日経平均は先週から大きく上昇し、2万円の大台を抜いてきている。今後の動きだが、まだ、日経平均は上昇を続けると見ているようだ。


日経平均(日足)
ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(先週2017年9月11日の予測)

出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2017年9月11日
注:ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権があるため、チャートおよび文章の一部を伏せた


日経平均(日足) 
ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(今週2017年9月18日の予測)

出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2017年9月18日
注:ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権があるため、チャートおよび文章の一部を伏せた

 

ラリー・ウィリアムズの米国株見通し

ラリー・ウィリアムズは、9月下旬の米国株相場をやや弱気に見ている。過去のパターンやシーズナル的な要因から9月20日前後が相場の転機になると考えているようだ。


S&P500先物(日足)とシーズナルサイクル
ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(今週2017年9月18日の予測)

出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2017年9月18日
注:ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権があるため、チャートおよび文章の一部を伏せた


S&P500先物(日足)とTDシーケンシャル
ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(今週2017年9月18日の予測)

出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2017年9月18日
注:ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権があるため、チャートおよび文章の一部を伏せた

 

ラリー・ウィリアムズの円相場見通し

 先週のレポートでラリー・ウィリアムズの円安見通しを紹介したが、ラリー・ウィリアムズは、9月9日時点で円買いポジションの利食いのポイントが接近していると述べ、短期的には円売りポジションの構築を推奨していた。その後、ドル円は108円23銭から112円64銭まで上昇し、4円41銭の上昇となっている。ラリー・ウィリアムズが見ている円相場のシーズナルサイクルは、円安を示唆しているようで、ここから少し反発して円高になっても、まだ、円安基調は続くと見ているようだ。


CME 日本円通貨先物=円/ドル(日足)
ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(先週2017年9月18日の予測)

日本円通貨先物のチャートは「1円当たり何ドルなのか」を表示している
出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2017年9月11日
注:ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権があるため、チャートおよび文章の一部を伏せた


ドル/円(日足)

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX[8]、ADX[14]、標準偏差ボラティリティ[26]の3本のライン[ADX14と標準偏差26の2本でも可]が一緒に上がっている局面) 
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ・パラボリックS&R 中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14)
下段:新値3本足のシグナル
出所:MT4


ユーロ/円(日足)

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX[8]、ADX[14]、標準偏差ボラティリティ[26]の3本のライン[ADX14と標準偏差26の2本でも可]が一緒に上がっている局面)
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ・パラボリックS&R
中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14) 
下段:新値3本足のシグナル
出所:MT4


ポンド/円(日足)

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX[8]、ADX[14]、標準偏差ボラティリティ[26]の3本のライン[ADX14と標準偏差26の2本でも可]がいっしょに上がっている局面) 
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ・パラボリックS&R
中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14) 
下段:新値3本足のシグナル
出所:MT4

 ラリー・ウィリアムズは「フォーキャストは完璧ではありません。予測を外したことも幾度もありました。私は完璧ではなく、たくさんのミスを犯してきています。相場の世界にパーフェクトは存在しません」と述べている。

 予測はあくまでも予測であり、筆者は予測とテクニカル分析が一致しないかぎり、ポジションをとることはない。それは、ラリー・ウィリアムズも同じである。