今週の予想

引き続き下値確認の動きへ。下値確認できれば日柄調整へ

 今週のマーケットは、引き続き新型肺炎の感染拡大状況を見ながらの展開です。

 基本的には、拡大や死者は中国中心で世界的には広がっていないので、相場が落ち着いた後は、日柄調整をしながら様子見となりそうです。

 決算はそれほど悪くないので、売られ過ぎの場面では、自律反発を交えての展開となってきそうです。

 株式を買う場合は、相場が落ち着いて方向性がハッキリしてから出動することになりますが、今回は新型肺炎という不透明なものだけに、判断が難しくなります。当面の下値ポイントを2万2,000円としていますが、3日は2万2,700円台まで下げてきました。

 こんなときは、好業績のまだ上昇していない銘柄を狙って買い下がりをし、上昇する場面では買ったところから10~15%で利食うという方法がいいかもしれません。

 自分なりに下値を予想して買い、上昇した場合は気持ちがいいものですが、バクチです。下値を予想しても、その下にいくつかのサポートを用意する、予想が外れたら機械的に損切りするなど、自分の投資に合った対応が必要です。

 どの証券会社も先週までは、2万3,000円を下値として推奨していましたが、自分で判断することがいかに大切かということが分かります。

 3日の終値は▲233円の2万2,971円で引けました。まだ目先の底打ちという感じではありません。

(今週の指標)日経平均株価

 今週も引き続き、新型肺炎の感染の状況を見ながら、日経平均の下値確認をする動きとなりそうです。

 ちょっとした材料で思惑から大きく上昇したり、下げたりする動きが予想されます。ただし、今のところ感染者は中国中心に増加しているものの、いずれ対策が奏功し、収束していくと考えられるので、これを織り込みながらの上下動となります。

 当面の下値を2万2,000円としていますが、3日2万2,700円台まで下げており、この水準から下はリスクが取れる人は、少しずつ買ってもよいかもしれません。普通は底打ち上昇後、さらに大きな下げが来る場合が多く、これを待つのがよいと思われます。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 先週、中国への渡航回避を勧告した流れから、NYダウは引き続き様子見が続くことになりそうです。

 米国自体で被害は広がっていないものの、世界的には拡大しており、世界経済への鈍化懸念から不安定な相場が続きそうです。

 ただ、10-12月期決算は好調であり、経済指標も内容が良く、これが継続すれば相場の下支え要因となって自律反発の場面も出てくることになります。

 しかし、基本的には新型肺炎の感染拡大が減少に転じるのを待つことが重要です。

(今週の指標)ドル/円

 先週に引き続き、新型肺炎の感染拡大からリスク回避のドル売り・円買いでドルは伸び悩むことになりそうです。

 感染拡大で中国の経済活動縮小が警戒されており、リスク回避の円買いは長引く可能性があります。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は1月30日に新型肺炎問題に先行き懸念を示しており、今後、発表される経済指標に悪化があれば、利下げ圧力が高まってドルが売られることも考えられます。

先週の結果

下値模索の大きな上下動を繰り返し、一時2万3,000円を割り込む

 新型肺炎の感染拡大の程度にもよるものの、米国の景気は堅調なので、時には決算や経済指標に合わせて米国株式は上昇し、日本株式もツレ高する場面もありますが、いったん調整に入ると上下動を繰り返して、下値を探る展開になるのが普通です。

 何か思惑が働いて先行き期待が上昇する場面になると、市場関係者ははやし立てますが、これに乗ることはバクチです。バクチですから勝つこともありますが、まだよく分からない新型肺炎を無視して手を出すことは避けたほうが良さそうです。もし、バクチする場合は、逃げ道(損切り)を決めてやることです。

1月27日(月):前週末の米国株式の新型肺炎への懸念から主要株価3指標が下落したことで、▲399円の2万3,427円で寄り付き、一時▲509円の2万3,317円まで下落しました。その後、▲363円の2万3,463円まで戻して下げ渋ったものの、戻りは限定的で大引けにかけて安値圏で推移し、▲483円の2万3,343円で引けました。 

28日(火):27日の米国市場が日本を含めたアジア株安を受けて急落し、一時▲594ドルの2万8,440ドルまで下落。終値は▲453ドルの2万8,535ドルに。為替は108円台後半の円高となりましたが、すでに前日に日本株式は大きく下げていたので、▲228円の2万3,115円まで下げると下げ渋り、▲127円の2万3,215円で引けました。この日の証券会社各社のコメントを見ると、「ここから下は冷静に見ると買っていくところ」というものが見受けられました。 

29日(水):28日の米国市場がアップルの好決算や経済指標の堅調さから反発したことで、日経平均も買われる場面となり、一時+176円の2万3,392円まで上昇し、+163円の2万3,379円で引けました。

30日(木):29日の米国市場はほぼ変わらずだったものの、日経平均は▲94円の2万3,284円で寄り付き。時間外での米国株先物が軟調な動きとなり、香港株式、台湾株式の下落を受けて、また、為替が108円台後半の円高傾向、さらに新型肺炎拡大が続いたことで日経平均は急落。一時2万2,892円まで下げて、終値は▲401円の2万2,977円と2万3,000円割れとなりました。

31日(金):30日の米国市場でNYダウは一時▲244ドルの2万8,489ドルまで下落するものの、WHO(世界保健機関)が「緊急事態宣言」を出したことや、さらに中国政府は新型肺炎の現状をコントロールしていると(中国側によった発言で疑問ですが)したことで警戒心が和らぎ、NYダウは+124ドルの2万8,859ドルと続伸。これを受けて日経平均は+171円の2万3,148円で寄り付き、+443円の2万3,421円まで上昇。その後、上げ幅を縮小して+227円の2万3,205円で引けました。何か思惑が絡んだ株式市場の動きでした。

 新型肺炎の拡大により死者が200人超、感染者が1万人超となったことで、米政府は中国全土への渡航警戒レベルを最高レベルに引き上げたため、米航空3社は中国便の運休を決定。日本市場引け後の米国市場は世界経済への悪影響が強く意識され、▲603ドルの2万8,256ドルと急反落。下げ幅は昨年8月以来の大きさとなりました。為替は1ドル=108.35円と大幅な円高となり、シカゴの日経先物は▲420円の2万2,710円となりました。