19-21年に赤字見通し、ペルーと豪の2鉱山で20年に生産量減少へ

現地コード 銘柄名
01208

五鉱資源

(エムエムジー)

株価 情報種類

1.81HKD
(1/24現在)

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 五鉱資源の各鉱山における19年の生産量は、同社の事前予想とほぼ一致した。ただ、20年には新たな坑道建設による影響や鉱石のグレードの低下などから、同社はペルーのラスバンバス、豪ローズベリーの両鉱山について、20年の生産量が前年実績を割り込む見通しを示している。うちラスバンバスでは地元住民による抗議の道路封鎖をめぐって長期の合意には至っておらず、この先、問題が再燃する可能性もくすぶる。BOCIは19-21年の純損失が従来予想より小幅にとどまる見通しを示しながらも、現在株価の割高感を指摘。株価の先行きに対して慎重見通しを付与している。

 ペルー政府が19年10月15日に緊急事態宣言を発してから、ラスバンバス鉱山に向かう道路はほぼ、封鎖が解除された状態にある。同社は以来、地元コミュニティーとの対話を続けているが、合意への道筋は見えず、鉄道あるいはパイプラインを使った代替輸送手段への切り替えも検討対象となっている。ただ、代替輸送は投資負担や減価償却費の増大につながる要因。一方、現地コミュニティーに対する金銭補償の増額が避けられなくなる可能性もあり、この場合もやはりコスト高に直面することになる。

 同社が新たに示した20年の生産見通しを見ると、ラスバンバス鉱山での銅生産量は前年比3.3-8.5%減の35万-37万トン。豪ローズベリーでの亜鉛生産量は同22-34%減の5万5,000-6万5,000トン。うちラスバンバスの生産減はChalcobamba坑道(20年7-9月完成予定)建設のマイナス影響によるものだが、同坑道が完成すれば、21-25年の銅生産量は計200万トン(年間平均40万トン)に拡大する運びとなる。一方、ローズベリーでの予想生産量の落ち込みは鉱石のグレードの低下が理由。BOCIは状況が好転するまで、短期的にはかなりの痛みに直面するとの見方だ。ただ、その他鉱山の20年の生産量に関しては、同社は前年並み、あるいは増産見通しを明らかにしている。

 BOCIは生産・販売量やコスト、商品価格に関する想定値の見直しに伴い、19年、20年、21年の純損失見通しをそれぞれ44%、76%、82%の幅で引き下げた。特に、LME(ロンドン金属取引所)の銅スポット価格平均値に関する20年、21年予想をそれぞれ7.9%、3.6%上方修正したことが損益見通しの改善を後押しした。ただ、それでも、19-21年の赤字見通しに変更はないとしている。

 BOCIは予想赤字の縮小とディスカウント率の変更に伴い、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き上げた。中期見通しは上向いているとしながらも、同社株価の先行きに対する慎重見通しを維持している。一方、今後のレーティング見直しにつながる潜在要因としては、ベースメタル価格の急落の可能性、生産量の増加に伴うコストダウンの可能性を挙げている。