今週の予想
新型肺炎拡大による下値模索となる可能性
中国で発生した新型肺炎の問題の動向に注目が集まり、日経平均株価は下値を探る展開となりそうです。
1月25~26日の間に、当初の見込みより世界中に新型肺炎が拡大し、どこで感染が止まるのか不透明な状況になっています。
中国当局は春節中の団体旅行を禁止したため、予想より訪日観光客減少の影響が大きくなる見込みで、消費が落ち込み、日本の小売や旅行などのサービス、空運関連株が売られやすくなるとみられます。
また、中国国内での感染がさらに広がれば、中国関連銘柄(鉄鋼、機械、海運)なども下落しそうです。
ただ今後、新型肺炎の感染終息にメドが立ったとき、まず米国株が反発すれば、世界経済への先行き期待が高まり、日本株も買い戻されることになります。まず、今週は新型肺炎がどこまで拡大するのかが、最大のポイントです。
新型肺炎対策が効果を現わしたと市場が考えた時点で株価は上昇へ転じるため、現在の株式市場の下落が安値だと思っても、さらに下がる可能性があります。今回の相場の高値は、2019年12月17日の2万4,091円であり、出発点の安値は同年8月6日の2万110円のため、まだまだ調整は始まったばかりだと見た方がよいでしょう。チャートでは、2万2,000円水準が大きな下値ポイントになりますので、新型肺炎の感染が止まらなければ、その水準まで下落する覚悟が必要かもしれません。
(今週の指標)日経平均株価
今週の日経平均は、先週に続いて新型肺炎の感染拡大の懸念の問題に注目が集まり、落ち着きどころを探る様相です。特に中国の春節(旧正月)に合わせた大型連休で、感染が拡大すれば訪日客に影響が生じ、日本経済にとってマイナス要因となるので、下値を探る展開となります。これが一服して米国株式が反発すれば、買い戻しが入ることが期待されます。
(今週の指標)NYダウ平均株価
今週も米国株は依然として高値圏にあり、新型肺炎の感染拡大の行方が株価の方向を決めることになります。そのため、新型肺炎の落ち着きどころを探るために様子見という動きが続くでしょう。新型肺炎が落ち着けば、S&P500種株価指数銘柄の米国10-12月期決算を見ると、7割のEPS(1株当たり利益)、6割の売上高は予想を大きく上回っているため、株価の上昇が期待できます。
(今週の指標)ドル/円
今週のドル/円は、新型肺炎の拡大懸念が続けば、リスク回避のドル売り・円買いで伸び悩むことになりそうです。
米国の10-12月期の経済指標は、国内の産業は好調なものの、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げについては慎重。ドル買いの強まりは限定的であり、新型肺炎問題を考えると、ドル買い・円売りは伸び悩むことになりそうです。1ドル=108.5~110円のレンジを想定しています。
先週の結果
新型肺炎感染拡大の懸念から予想外の下落
先週の日経平均は、2万4,000円を守る攻防よりも悪材料(新型肺炎)により、一段安の動きとなり、週末は一時2万3,755円まで下落。大引けでは多少反発し、+31円の2万3,827円で引けました。しかし、引け後の米国市場でのシカゴの日経先物は▲165円の2万3,635円で引けました。
1月20日(月):前週末の米国市場で、10-12月期決算は良好なスタートとなり、経済指標も好調で、NYダウ平均株価は3日連続の史上最高値更新。これを受けて日経平均は+39円の2万4,080円で寄り付き、為替も1ドル=110円台前半の円安となっていたことで、2万4,100円水準でもみ合い、一時+66円の2万4,108円まで上昇。終値は+42円の2万4,083円と3日続伸し、2019年12月17日の2万4,066円を更新する動きとなりました。ただし、出来高、売買代金とも薄商いで日中値幅は46円と今年最低水準となっていました。
21日(火):20日の米国市場がキング牧師生誕記念日で休場のため、手掛かり材料に欠け、先物主導で下げる展開となりました。▲10円の2万4,072円で寄り付くものの、利益確定売り優勢となり、株価先物にまとまった売りが出て、前引けは▲180円の2万3,902円と2万4,000円の大台を割り込みました。後場になると為替も110円を切る円高となり、先物の売りが出て下げ幅を拡大し、一時▲240円の2万3,843円まで下げて、終値は▲218円の2万3,864円と4日ぶりの大幅反落でした。中国の新型肺炎拡大が懸念され、上海株とハンセン株価指数が下落したことが影響しました。
22日(水):前日の米国市場も新型肺炎の拡大懸念から主要株価3指標そろって下落(NYダウは▲152ドル)したことで、▲29円の2万3,835円で寄り付きました。しかし、日経平均はすでに前日に下落していた反動で反発に転じ、先物主導で2万4,000円台を回復、大引けは+166円の2万4,031円で引けました。ただし、薄商いの中での戻りで、上値は限定的でした。
23日(木):22日の新型肺炎の拡大懸念の中での2万4,000円台への反発が疑問をもたれていたことから、▲187円の2万3,843円の寄り付き、一時▲252円の2万3,779円まで下落しました。その後、上海株式の大幅下落もあって戻り弱く、大引けは▲235円の2万3,795円でした。
24日(金):23日の米国市場で、今回の新型肺炎の懸念が広がり、NYダウは一時▲219ドルまで下げましたが、WHO(世界保健機関)が「緊急事態宣言」を見送ったことで多少の安心感が広がり、NYダウは▲26ドルまで下げ幅を縮小。ナスダックは史上最高値を更新したことで、日経平均は+54円の2万3,850円と反発して始まり、その後はマイナスに転じる場面がしばしば見受けられましたが、終値では+31円の2万3,827円と小反発で引けました。
日本市場引け後の米国市場は、新型肺炎の懸念が高まり、3指標そろって大幅下落となりました。NYダウは▲170ドルの2万8,989ドル、S&P500種は▲30ポイントの3,295ポイントと2019年8月以来の下げとなり、ナスダックは▲87ポイントの9,314ポイントと7週間ぶりの大幅下落。シカゴの日経先物は2万3,550円まで下げて、引けは▲165円の2万3,635円でした。
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