前回は順張りと逆張りについて、それぞれの特徴を整理しましたが、今回は「順張りと逆張りのどちらが良いのか?」について考えてみたいと思います。

 結論から言ってしまうと、「どちらが優れているか?」という議論そのものにあまり意味がなく、「どう使い分けたら良いのか?」の方が重要です。個人的には、「基本は順張りで、状況に応じて逆張りにする」というのが良いのではと考えています。

 信用取引の買い建てにおいて、多くの利益を得られるのは株価が大きく上昇した時です。同様に、売り建てにおいては株価が大きく下落するほど利益がねらえます。当たり前ですが、大きく株価が動く時というのは、上下どちらかのトレンドが発生している時ですから、信用取引で期待できる利益が最大になるのは、「強いトレンドに乗る」ケースになります。

 もちろん、順張りにはトレンドがいつ終了するのか判らず、思ったよりもすぐにトレンドが終了してあまり利益が出なかった、もしくは、新規建てしたタイミングが天井(底)で損してしまうかもしれない可能性があります。確かに、「高値掴みをしてしまった…」という話は珍しくないですし、「トレンドに乗るのはちょっと怖い」という方は結構いらっしゃるかと思います。

 そこで、トレンド発生中に、順張りと逆張りをした場合に期待できる損益をざっくり表にまとめてみます。

(図1)トレンド発生中で順張り、逆張りした際の期待利益の状況

  順張り 逆張り
強いトレンド継続 ○○ ××
トレンド継続 ○~△ ×
トレンド転換 × △~○

 順張りの場合、強弱を問わずトレンドが継続する限り利益が出ますが、逆張りの場合はトレンドが転換しない限り利益が出ません。つまり、上の表にもあるように、順張りの方が利益をねらえるケースが多いため、順張りを基本にする投資スタンスが良さそうです。

 とはいえ、トレンドは一本調子に株価が上がり続ける、下がり続けるということはありませんし、逆に、過熱してしまうこともあります。過熱ということは「相場の行き過ぎ」ですから、今度は逆張りの出番になります。

 そこで、下の図2では下落トレンドにおける順張りと逆張りの使い分けの一例を紹介します。上段がローソク足と25日移動平均線、下段が株価が25日移動平均からどのくらい離れているのかを%で示した、移動平均乖離線です。

(図2)下落トレンドにおける順張りと逆張りの使い分け

(マーケットスピードを基に筆者作成)

 まず、株価の動きを見ますと、下落トレンドが発生していることがわかります。下向きの25日移動平均線が上値メドとなっていることが多く、再び下げ始めたところが順張りのポイントになります。

 次に、下段の移動平均乖離線に注目します。下落トレンドの発生に伴って、移動平均乖離線も下がっていきましたが、さすがに、株価が移動平均線から10%以上も下方向に乖離するのは「下げ過ぎではないか?」ということで、25日移動平均線の水準まで株価を戻す場面が見られます。この場合に逆張りポイントになります。

 以上のように、「トレンドの流れに逆らわない順張りをメインに、過熱感が見られ始めたら逆張りを検討」というのが、順張り・逆張りを使い分ける基本になります。

≫≫1分でわかる信用取引【信用取引の指標】回転日数とは?

▼信用取引についてもっと知る

信用取引入門