日経平均は3週ぶり反落。上方向への意識は健在?
先週末1月24日(金)の日経平均は2万3,827円で取引を終えました。前週末終値(2万4,041円)比では214円安となり2万4,000円台割れ、週足ベースでも3週ぶりの反落です。
中国で発生した新型肺炎の感染が拡大していく状況が次第に不安視された格好ですが、「春節(旧正月)」という、多くの人の移動が見込まれる前というタイミングの悪さも警戒感を強めた印象です。
1月最終週となる今週は、日米企業の決算発表が本格化するのをはじめ、米国ではFOMC(米連邦公開市場委員会)や経済指標(GDP[国内総生産]など)が控えている他、日本時間2月1日午前8時には英国がEU(欧州連合)を離脱する予定になっているなどイベントが盛りだくさんです。
今の相場環境にとっては消化不良を起こしてしまいそうなぐらいの材料の多さですが、まずはいつもの通り、下の図1で足元の状況から確認していきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年1月24日取引終了時点)
先週の日経平均の値動きをローソク足で振り返ってみると、週初の20日(月)は「十字足」、翌21日(火)には25日移動平均線が意識されるところまで下落する「大陰線」、続く22日(水)は前日の大陰線を打ち消すような「大陽線」、そして週末にかけての23日(木)と24日(金)には25日移動平均線をはさんだ陰線が並びました。
つまり、先週の日経平均は2万4,000円台水準の攻防から、25日移動平均線の攻防へと戦線が移動したことになります。
結局、先週も買いの勢いに欠ける状況が続いたわけですが、前回のレポートでも指摘した「買い仕掛け」のラインは維持しており、これから本格化する企業決算を控え、相場の上方向への意識は一応保っていると見ることができます。
とはいえ、週末の日経平均先物取引が大阪取引所で2万3,640円・CME(シカゴ)で2万3,610円と、先週末終値から下げて終えているため、今週は軟調なスタートが見込まれます。そのため、企業決算動向を手掛かりに早い段階で25日移動平均線を回復できるかが注目されます。反対に下げが続いた場合は、2万3,500円水準や75日移動平均線あたりが意識されることになりそうです。
下値を探りやすい状況が続く
次にトレンドの強さについても見ていきます。下の図2はおなじみの平均足(日足)とMACDの組み合わせです。
■(図2)日経平均の平均足(日足)とMACD(2020年1月24日取引終了時点)
日経平均の平均足は21日(火)に陰転し、その後MACDもシグナルを下抜けているため、下値を探りやすい状況となっています。また、MACDとシグナルの2本の線がともに下降傾向が続いています。このまま0円ラインを下抜けてしまうと、調整の幅や期間が大きくなる可能性が出てきます。
いずれにしても、今週は新型肺炎をめぐる動向と企業決算による綱引きが見込まれ、一進一退の展開がメインシナリオとなりそうです。企業決算が優勢となれば、米国株市場の流れにある程度ついていくと思われます。
NYダウ、上昇の勢いに陰り
■(図3)NYダウ(日足)の平均足とMACD(2020年1月24日取引終了時点)
これまでの米国株市場はNYダウ平均株価をはじめとする株価指数が米中関係の改善などを背景に最高値を更新する展開が続いてきましたが、先週のNYダウはさすがに上値が重たくなっています。上の図3でも、平均足の陰転とMACDがシグナルの下抜けクロスが出現しており、上昇の勢いに陰りが出始めていますが、まだ、MACDが200ドルを超える水準に位置しており、高値もみ合いとなる値動きも有り得ますので、企業決算で持ち直すことができるかが焦点になります。
上海総合指数は節目の3,000ポイントを下回る
一方、新型肺炎の発生源の中国株市場についても見ていきます。
■(図4)上海総合指数(日足)の動き(2020年1月23日取引終了時点)
上海株市場は春節のため、1月24日(金)~30日(木)まで休場になりますが、連休前23日(木)の上海総合指数は節目の3,000ポイントを下回って終えています。
75日移動平均線がサポートになっているものの、株価水準としてはあまり高くありません。米中「第1段階」合意の署名が行われるタイミングの直近高値(14日)も、前回の合意期待が高まった昨年4月水準と比べてもかなり低くなっています。米中合意による中国経済や企業業績の持ち直し期待があまり高まっていないことや、新型肺炎への懸念が反映されていると思われます。
また、新型肺炎の情勢が悪化したとしても、上海株市場が反応するのは31日(金)以降になります。上海株市場が休場の期間はアジア株のヘッジ手段として日本株が売られるという展開も考えられるため、今週は下振れへの警戒が怠れない週になるのかもしれません。
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