先週1週間の値動きを確認し、今週1週間の値動きを考える参考材料を探しましょう。

原油大幅下落。ビットコインを上回る下落率

 先週は、原油[商品]が下落率1位となりました。原油の下落率は8.7%で、比較的変動率が大きいビットコイン[暗号資産]の下落率3.1%を上回りました。

 先週火曜日に米国のエネルギー省が公表した12月の米シェール主要地区の原油生産量が統計史上最高に達したこと、春節の時期にあたる中国を起点とし、新型コロナウイルスの感染がパンデミック(世界的な流行)に発展し、世界の景気が減速、世界の石油消費量が減少する懸念が強まったことなどが、要因に挙げられます。

 また、先週は合計22銘柄のうち77%にあたる17銘柄が下落しました。全体的に、新型コロナウイルスの拡大懸念により下落が目立った週だったと言えます。

 逆に、世界的なリスク拡大懸念を背景に、金[商品]、そして金の値動きに追随する傾向がある銀[商品]が上昇しました。

1月20日(月)~ 1月24日(金)までの週のジャンル別騰落率

※楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
※騰落率は当該週の週足の始値と終値を参照して算出。(終値-始値)/始値
※ビットコインは楽天ウォレットのビットコイン/円を参照。日本時間の月曜日午前6時と土曜日午前6時を比較
※プラチナはCME(シカゴマーカンタイル取引所)の先物(中心限月)価格を参照。

 

今週の見通し

 先述の通り、先週は、新型コロナウイルスのパンデミック懸念によって、ジャンルを問わず、幅広い銘柄が下落しました。今週も、同ウイルスの拡大懸念が、多くの銘柄の上値を抑える可能性があります。

 目先、同ウイルスの拡大に対し、WHO(世界保健機関)が“緊急事態宣言”を発令するかどうかに注目が集まっています。

 WHOの緊急事態宣言は、今まさに世界が重大な脅威に直面し、かつ今後もその脅威が拡大する可能性があることを意味するため、各種市場の下押し要因となるとみられます。(金などは逆に上値を伸ばす要因)

 1月22日と23日に、WHOはデータ不足などを理由に緊急事態宣言を見送りました。しかし、23日に“10日後、もしくはそれよりも早いタイミングで会合を開く準備をしている”としており、早ければ今週にも会合が開催され、緊急事態宣言が発令される可能性があります。

 春節期間(今年は1月24日から2月2日まで)であるものの、中国指導部は異例の会合を開き、中国からの団体旅行による出国を禁止ました。しかし、禁止は27日からであり、すでに出国していた人もいます。新型ウイルスの件については、まずはWHOの動向に注目です。

 一方、今週、米中貿易戦争が与えている両国の実態経済への影響を示すデータとして、1月30日(木)に米国の10-12月期のGDP(国内総生産/速報値)、31日(金)に中国の1月のPMI(製造業購買担当者景気指数)、米国の12月の個人消費支出などが発表されます。

 また、米国の金融政策について、29日(水)にFOMC(連邦公開市場委員会)の終了後、政策金利の発表とFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見があり、今後の同国の金融政策の動向を占うヒントが示される可能性があります。

 今週は、新型ウイルスについてのWHOの動向、米中貿易戦争の影響を示す足元のデータ、今後の米国の金融政策の方針など、複数の材料に注目です。

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