26兆円経済対策の恩恵を受ける建設セクター
2019年12月5日、政府は国や地方からの財政支出を13.2兆円とする経済対策を閣議決定しました。民間の支出も加えた事業規模は26兆円に上ります。東京五輪開催後まで見据えた成長分野への投資、自然災害対策を含むインフラ整備、景気の下振れリスクへの備えが3本の柱とされています。
政府が経済対策を打ち出したのは2016年8月の「事業規模28.1兆円(うち財政支出13.5兆円)」以来のことです。
今回の経済対策の効果を主因としてIMF(国際通貨基金)は20日、最新の世界経済見通しで、2020年の日本の実質GDP(国内総生産)成長率見通しを0.7%に引き上げました(2019年10月時点の見通しは0.5%)。
特に2019年は10月の台風19号など、災害が相次いだことから災害からの復旧・復興や「国土強靭化」に向けた河川の堤防などのインフラ強化/公共投資に約6兆円が投じられます。氾濫発生の危険性が高い河川の川底を掘削、堤防を再整備、さらには緊急時の輸送に使う市街地の道路の無電柱化なども進める方針です。
こうなると恩恵を受ける筆頭は広義の「建設セクター」になるでしょう。そして建設セクターというと「大成建設」「大林組」「清水建設」「鹿島」の大手ゼネコン企業が真っ先にイメージされます。
もちろん大手ゼネコンも公共事業の恩恵を受けますが、今回の公共投資は災害復旧・復興の色が濃いことから、さらに細かく銘柄を取り上げ、株価へのインパクトを検証しておきたいところです。特殊土木、通信工事、道路舗装などがそれに該当します。
災害復旧で道路舗装などの需要堅調
ショーボンドホールディングス(1414・東証1部)
橋梁、道路などインフラ補修工事の専業企業。
・ショーボンドホールディングスの日足チャート
コムシスホールディングス(1721・東証1部)
電気通信工事の最大手企業。
・コムシスホールディングスの日足チャート
NIPPO(1881・東証1部)
道路舗装の最大手企業。
・NIPPOの日足チャート
2020年初に発生した米国とイランの対立もこれら内需銘柄にはほぼ無関係だったことが分かります。NIPPO(1881)については、同業の前田道路(1883)が親会社の準大手ゼネコン前田建設(1824)によるTOB(公開買い付け)発表によって急伸し、他道路株も一斉に値を飛ばした背景がありますが、それに関しても潜在的に道路株の需給関係が好転していない中では実現しなかったものと思われます。投資家は「災害対策などによって業界の中長期的な需要は堅調だ」と見ているのかもしれません。巨額の経済対策を背景とする公共投資関連銘柄にはいっそう注目していきたいところです。
参考となる10万円で投資可能な公共投資関連株を6銘柄紹介しておきます。
公共投資関連10万円株
株価データは2020年1月22日終値ベース。
安藤ハザマ(1719・東証1部)
ダムなど大型土木に強い準大手ゼネコン「ハザマ」と、マンションなど民間建築に強い中堅建設「安藤建設」の合併企業です。
・安藤ハザマの日足チャート
日特建設(1929・東証1部)
基礎、地盤改良、のり面(人工的斜面)など特殊土木工事の大手企業です。好財務企業としても知られています。
・日特建設の日足チャート
ビーアールホールディングス(1726・東証1部)
鉄筋強化コンクリート橋梁工事の中堅企業です。 スラブ(面に垂直な荷重を支える板)や枕木などの販売や建設ソリューションシステム販売も行っています。
・ビーアールホールディングスの日足チャート
旭コンクリート工業(5268・東証2部)
太平洋セメント系のコンクリート2次製品専業メーカーです。官公庁需要が売上高の約8割を占めています。
・旭コンクリート工業の日足チャート
ジオスター(5282・東証2部)
地下鉄や上下水道などの大型トンネルに使われる内壁部材であるスチールや合成セグメントの最大手企業です。
・ジオスターの日足チャート
日工(6306・東証1部)
アスファルト、コンクリートなど土木用プラントの大手メーカーです。アスファルトプラントは中国向けも堅調です。
・日工の日足チャート
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