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IMF(国際通貨基金)は『世界経済見通し』(World Economic Outlook)として中期的な予測を毎年2回、通常は4月と10月に発表しています。また1月と7月にアップデート版を発表しています。世界経済の成長率は前回10月の『世界経済見通し』から下方修正となり、2019年は世界金融危機直後の2009年から後では最も低い成長率予測となりました。2020~2021年は緩やかながら回復に向かうと予測しています。
【ポイント1】『世界経済見通し』下方修正、2019年は前年比+2.9%
インドをはじめとする新興国の経済低迷などが背景
20日に発表されたIMFの『世界経済見通し』は、2019年の世界経済の成長率が前年比+2.9%と、昨年10月の見通しから▲0.1ポイント下方修正されました。世界金融危機直後の2009年から後では最も低い成長率予測です。成長率の下方修正は2018年10月以降6回連続となりました。先進国は前回10月から変わらずでしたが、新興国は▲0.2ポイントの下方修正となりました。インドが同▲1.3ポイントと大幅に下方修正されるなど新興国経済の低迷が全体の足を引っ張りました。
【ポイント2】貿易問題、地政学リスクや情勢不安が景気悪化要因
先進国では広範な減速がみられました。高成長が続いた米国経済が鈍化し、ユーロ圏では、製造業の不振からドイツ経済が低迷しました。
一方、インドをはじめ主要新興国は主に各国特有の要因から経済成長が減速しました。インドでは大手ノンバンクの経営破綻以来、信用収縮から消費が急減速しました。南米地域などでの情勢不安の深刻化や、洪水や干ばつなど気象に関係した災害も新興国の景気悪化の要因となりました。
【今後の展開】2020年の世界経済は持ち直しへ
IMFは、2020~2021年は世界的に景気が緩やかに持ち直すと予測しています。2020年の成長率は前年比+3.3%と改善する見通しです。先進国の成長率は+1.6%と予測され、2019年から減速し、新興国の回復に頼る構図となっています。新興国の成長率は、前回10月の見通しからは▲0.2ポイントの下方修正となりましたが、同+4.4%と予測されています。
これらの回復は、米中対立の激化に歯止めがかかる中、金融政策が緩和方向にあり、今後も長期金利が低水準で推移すると見込まれること、IT関連製造業の一部で循環的調整が一巡してくることが期待されること、などが背景です。
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