中国株投資で大きな資産を築き上げたサラリーマン投資家、よしぞうさんインタビュー、中編をお届けします。今回は、リーマン・ショックで元本割れに追い込まれてから復活を遂げるまでの経緯を中心に、お話を伺いました。

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投資に失敗はつきもの。失敗を糧に成長することが大事

──前編では、リーマン・ショックで大きな損失を出したと伺いました。どれくらいの損失だったのですか?

 リーマン・ショックの前年に2,500万円まで増えたのですが、最終的には980万円まで減りました。その時点で投資元本は1,100万円でしたから、マイナス120万円、つまり、元本割れに追い込まれたわけです。

同じ人口過多で急成長が見込めるインドについて聞いてみましたが、よしぞうさんは「まだ時期が早いかな」と分析。「投資できる先が少なくて、インド系の投信くらいしか買えるものがない。ADR(米国預託証券。米国の証券市場で売買されている、米国以外の国々の代替証券のこと)でNY市場に上場しているインド企業はいくつかありますが、その中で“これは欲しい!”と思える銘柄があまりないんです。買うならばインド最大手でないとちょっと怖い。今は情報だけを集めておいて、いざ買えるときに備えている状態ですが、10年単位で先の話ですね…」

──当時保有していた株の評価額が980万円まで下落したんですか?

 いえ、そうではありません。リーマン・ブラザーズ破綻後、保有していた銘柄の株価がみるみる下がっていきました。最盛期には含み益が1,400万円ほどあったわけですが、気がつけば1,000万円を割り、500万円を割り…、という状況でした。はじめのうちは、「いくら何でも元本割れはないだろう」と楽観していましたが、それが現実になってきたんです。そうなるともうパニックです。大量に株を保有していることが怖くなって、徐々に売却していったんです。

──いわゆる「狼狽売り」ですね…。

 はい…。それで、最終的には当時、主力にしていた「山東威高」以外、すべて売り払いました。その「山東威高」もその後1日で30%の急落をしてしまい、すべてキャッシュに戻してしまいました。

──たいへんな経験でしたね…。

 まったくです(苦笑)。でも、今思うと貴重な経験ができました。すでに投資を始めて3~4年経っていたし、暴落時にどうしたらいいかくらい、分かっているつもりでした。どれだけ暴落してもいつか回復する、だから焦ったりうろたえたりせず、ひたすら耐えることが大事だと。ところが、いざ暴落に巻き込まれると、とても冷静ではいられませんでした。へたをしたらすべて失うのではないかという恐怖に襲われるんですね…。人間、窮地に追い込まれると、平常心を保つのは難しいとよく分かりました。

──実際、売らずに保有していれば損失は抑えられたのですか?

 ほとんどの銘柄は売却後、しばらくして回復しましたから、少なくとも元本割れはなかったでしょう。

──後悔はありますか?

 それはもちろんあります。ただ、投資に失敗はつきもの。長く投資をやっていて、一度も失敗したことがない人なんて絶対いないはずです。ですから、今は「失敗は恥ではない、成長の源である」と考えるようにしています。失敗を糧にして成長することが大事なのだと。もっとも、万が一、投資資金をすべて失ったりしたら、市場からの退場を余儀なくされますから、決して無茶はできませんが。

──リーマン・ショックの時も、元本を減らした程度で済んだから復活できたわけですものね。

 はい、おっしゃる通りです。

株価が下落しても売らなかったことが勝因

──リーマン・ショックから見事に立ち直り、2018年に1億円超えを達成されたわけですよね。何かで大きく稼がないと1億円超えは難しいと思うのですが、ブレイクした銘柄があったのですか?

 リーマン・ショック後、再び中国株を買い始めたのですが、そのなかの1つにテンセントがありました。中国を代表するIT企業なので、みなさんもご存知だと思いますが、ソーシャル・ネットワーク・サービスから動画配信サービス、オンラインゲームまで幅広くインターネット事業を手掛ける超巨大企業です。このテンセントに170万円投資しました。それが10倍どころか、何十倍かに跳ね上がり、数千万円の利益が出たんです。

──1億円に到達できたのはテンセントのおかげ?

 はい、それは明らかです。

──なぜテンセントに目をつけたのですか。

 その当時、中国のインターネット普及率は30%に達していませんでした。日本や欧米ではほとんどの家庭に普及していましたから、今後、その数字が伸びるのは間違いないと思いました。しかも、中国は人口が多いので、一気に何億という人がインターネットを始める可能性があるわけです。とすれば、インターネットビジネスを展開している企業が急成長するのは確実だろうと。

──株価は手頃だったのですか?

 いえ、もともとは高かったんです。すでにソーシャル・ネットワーク・サービスにおいてはダントツのシェアを誇っていましたし、投資家の間では有望銘柄として認知されていました。ただ、リーマン・ショックで値が下がり、前に比べると割安な値段で買えるようになったんです。それで、迷わず購入しました。

「テンセントはずっと欲しかった銘柄」とよしぞうさん。「ただ、高かったんです。将来性があったのでPER(株価収益率)もよくて、高い株は手を出しにくく、見てるだけの状態が続きました。リーマン・ショックの時に下がったので、今だ!と思って買いました。リーマン・ショック後に下がったときはいったん売りましたが、ほとぼりが冷めてから再度買って、そこからは売っていません」。投資したのは170万円だけだが、それが5,700万円に化けた。資産はもちろん、投資家としての成功体験もくれた大切な銘柄の1つ。

──その後、どんどん株価が上がっていった?

 はい、最初のうちはものすごい勢いでした。ただ、右肩上がりというわけではなく、低迷していた時期もあります。たしか20~30%下落したときもあったと思います。

──それでも売らなかったんですね?

 業績がしっかりしていれば、一時的に株価が下がってもいずれ回復するとリーマン・ショックのとき、学びましたからね。少しくらい下落しても売ろうとは思わなかったですね。

──株価の変動に一喜一憂せず、ずっと持ち続けていたからこそ、大きな資産を築くことができた?

 はい、そう思います。テンセントという企業が世界的企業へと成長を遂げていくのを見守れて、その恩恵にあずかれたわけです。

「分散」しなかったことが好結果を生んだ

──ほかに成功の要因はありますか。

 今振り返ると、へたに分散投資しなかったことも勝因かもしれません。投資のマニュアル本などを見ると、よく「集中投資は危険。分散投資しなさい」と書かれていますよね。僕も、リーマン・ショック前はいろいろな銘柄に分散投資していたんです。最初、11銘柄購入したと話しましたが、多いときには20銘柄以上を持っていました。でも、リーマン・ショック以降は、多くても数銘柄にとどめることにしたんです。

──それが結果的にはよかったんですね?

 もし20銘柄に分散投資していたら、テンセント1社に170万円もつぎ込めませんからね。せいぜい数十万円でしょう。とすると株価が10倍になったとしても、数百万円の利益しか見込めないわけです。

──ある程度、銘柄を絞り込んだほうがいいということですね。

 結果論で言えばそうなんですが、そこは難しいところですよね…。絞り込めば絞り込むほど、当たったときのリターンは大きくなりますが、その分リスクが高まるわけですから。だから、一概に絞り込んだほうがいいとも言いにくい。

──投資初心者は、いろんな銘柄に分散したほうが確実でしょうしね。

 そう。だから、分散投資がいいか、集中投資がいいかはケースバイケースとしか言いようがないんです。

──よしぞうさんの場合は、分散投資から集中投資に、投資スタイルが変わってきたんですね。

 はい、リーマン・ショック後は4~5銘柄、今は2~3銘柄に絞っています。

──リスクは承知の上での集中投資なんですか?

 僕の場合、家のお金と投資資金を別にしているんです。家のお金は家のお金としてプールしていますし、子供の教育費の積み立ても行っています。つまり、万が一、投資資金がゼロになったとしても、生活に困ることはないようにしているんです。だから、多少の冒険は許されるというか…。

──冒険が許されるんだったら、冒険したほうがいいと?

 はい。それで、今後働かなくてもいいくらいの資産を築くことができたら、会社を辞めて自由な生活を送れるかもしれませんよね。だったら、トライしてみようと。

──次回は2016年から始めた米国株のことなどをお聞きします。

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