先週1週間の値動きを確認し、今週1週間の値動きを考える参考材料を探しましょう。

年末年始に上昇した銘柄がいったん調整

 前回のこの欄で、年末年始の期間、金[商品]プラチナ[商品]などの貴金属、そして原油[商品]の上昇率が高かったことについて書きました。

 年末年始は、世界的に休場となる取引所が多く、取引量が減少して、値動きが小幅になる場合がありますが、これらの銘柄については、目立った上昇となりました。米国がトランプ米大統領の指示により、イラクでイランの要人を殺害したためです。

 そして先週の前半、要人殺害に対してイランが米国への報復行為を行ったことで、金[商品]プラチナ[商品]原油[商品]も高止まりしました。

 しかし、先週の後半から週末にかけて、トランプ大統領がイランにおける情勢を悪化させるつもりはないと明言したことをきっかけに、金[商品]プラチナ[商品]原油[商品]はそろって下落に転じました。

 逆に、このトランプ大統領の発言が、リスク拡大が回避される期待を生むきっかけとなり、ナスダック[株式]日経225[株式]S&P500[株式]NYダウ[株式]上海総合指数[株式]などの、主要国の株価指数がそろって上昇しました。

 先週と先々週は、中東情勢の動向によって、一部のコモディティ(商品)銘柄と株価指数が上下する展開になりました。

 また、昨年多くの週で見られた、ビットコイン[暗号資産]天然ガス[商品]の変動率が高くなる事象が、先週も確認されました。ビットコインは+7.9、天然ガスは+4.7%と、上昇率で1位・2位を独占しました。

1月3日(月)~ 1月10日(金)までの週のジャンル別騰落率

※楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
※騰落率は当該週の週足の始値と終値を参照して算出。(終値-始値)/始値
※ビットコインは楽天ウォレットのビットコイン/円を参照。日本時間の月曜日午前6時と土曜日午前6時を比較
※プラチナはCME(シカゴマーカンタイル取引所)の先物(中心限月)価格を参照。

今週の見通し

 先週は、年始に急激に高まった中東情勢の緊迫感が、やや低下しました。

 低下要因には
(1)トランプ大統領が状況の悪化を望んでいないことを明言したこと
(2)先鋭化したイラン国民の感情の矛先が、司令官を殺害した米国から、ウクライナの航空機爆撃を隠蔽しようとしたとしたイラン指導部に移ったこと
(3)日本の安倍総理大臣が中東諸国を歴訪しており、中東地域の情勢の緩和に向けた働きかけをしていること

 などが挙げられます。

 中東情勢は、まだまだ予断を許しませんが、今のところは、緊迫感が高まった年始のような状況ではないと言えそうです。このような状況の中、今週の注目点のメインを考えた時、やはり、“米中貿易問題”が想起されます。

 今週1月15日(水)に、米中両国が、一昨年の春以降、激化させてきた米中貿易戦争を鎮静化させるべく、 “第一弾の合意”に署名する予定であると報じられています。

 引き上げ合戦を行ってきた関税を部分的に引き下げる、中国が行ってきた米国産農産物の不買について、その規模を縮小することなどが盛り込まれています。

 中国政府が行っている同国企業への多額の補助金を廃止することは盛り込まれていませんが、足元、WTO(世界貿易機関)が中国政府の補助金を問題視しつつあるため、全体的には、米中貿易戦争は鎮静化する方向に向かっていると言えます。

 まずは今週、第一弾の合意が予定通り署名されるかに注目が集まります。無事署名されれば、これまで高まっていた世界規模の懸念が後退する期待が生じ、先週と同様、主要国の株式指数が上昇、株価指数の上昇を受け、主に工業用の用途に用いられる原油[商品]パラジウム[商品]などの反発や上昇が目立つ可能があります。

 その他、今週発表される米中関連の経済指標には、1月13日(月)に米国の12月の財政収支、14日(火)に中国の12月の貿易収支、15日(水)に米国の地区連銀経済報告、16日(木)に米国の12月の小売売上高、17日(金)に中国の12月の小売売上高と鉱工業生産、10-12月期四半期国内総生産(GDP)、米国の12月の鉱工業生産の発表があり、注目です。

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