イラン司令官殺害、高まる地政学的リスク
大発会前日の1月3日、米国軍がイラクの首都バグダッドでイラン革命防衛隊「クッズ部隊」のカセム・スレイマニ司令官らをドローン空爆により殺害したことは、株式市場でも大きなネガティブ材料として受け取られました。その後イランがイラクにある米軍駐留地にミサイル攻撃を行ったことで、今後、両国と関係国を巻き込んださらなる軍事衝突が起こるのではと懸念が高まっています。
このような政治的・軍事的な緊張の高まりは「地政学的リスク」と表現されますが、地政学的リスクが高まると、戦闘やテロへの懸念により、原油価格など商品市況の高騰や為替相場の乱高下を招き、企業活動や消費者心理に悪影響を与える可能性があり、株式市場ではまず嫌気されることになります。
今回は舞台が中東ということもあり原油先物価格が急上昇し、さらに、投資資金の逃避先とされる「金(ゴールド)」の先物価格も急伸しました。対して、東京市場では1月6日大発会の日経平均株価が451円安と急落しました。絵に描いたような「地政学的リスク上昇局面」と言えます。
こうした中、米株式市場ではいわゆる「軍需企業」が注目される傾向があります。ステルス戦闘機の開発・製造を行う「ロッキード・マーティン(LMT)」、戦闘機・軍用輸送機・軍艦などを製造する「ノースロップ・グラマン(NOC)」、世界第1位のミサイルメーカー「レイセオン(RTN)」などがそれです。
・ロッキード・マーティン(LMT)の日足チャート
・ノースロップ・グラマン(NOC)の日足チャート
・レイセオン(RTN)の日足チャート
東京市場では「内需株」が優位に
東京株式市場でも「防衛関連株」とされる銘柄が一応あります。「三菱重工業(7011)」、「川崎重工業(7012)」が筆頭ですが、米軍とのつながりはなく、過去の米国が絡んだ地政学的リスク上昇局面でも株価の動意はほとんどありませんでした。
「石川製作所(6208)」、「豊和工業(6203)」、「重松製作所(7980)」など自衛隊の装備品の一部を手掛ける小型株が値を飛ばすこともありますが、それは投機的な側面が強いと見られます。基本的には地政学的リスクの高まりは東京市場にとってネガティブと考えることになります。
ここではそうした局面において、投資家がどのような投資行動を取るのかを考えていきます。高い確率で「地政学的リスクとほとんど関係のない銘柄に目を向ける」という流れになるでしょう。やはり外需への悪影響が大きいと考えられることから、逆に「内需株」に優位性が感じられるようになってきます。
気を付けておかなければならないことは、ここから先、米国とイランの対立が深まり「本格的な有事」が起こると、外需株も内需株もネガティブ反応を示すということです。「本格的有事以前の緊張感の高まり」において有効という限定的な見方です。
参考となる10万円で投資可能な内需株を5銘柄紹介しておきます。
10万円で投資できる内需株
株価データは2020年1月8日終値ベース。
エー・ピーカンパニー(3175・東証1部)
居酒屋主力の外食チェーンです。地鶏の「塚田農場」や鮮魚の「四十八漁場」 を首都圏を軸に展開しています。
・エー・ピーカンパニーの日足チャート
三井住建道路(1776・東証2部)
三井住友建設が親会社の中堅道路舗装会社です。道路舗装は高速道路を中心に好調が継続しています。
・三井住建道路の日足チャート
一蔵(6186・東証1部)
きもの販売・レンタル等の和装事業を主軸に、結婚式場も運営しています。和装事業は直営店の他、代理店・特約店で広がりを見せています。
・一蔵の日足チャート
Zホールディングス(4689・東証1部)
ネットサービスの国内先駆者的存在です。今年10月に「LINE(3938)」が傘下入りする予定です。
・Zホールディングスの日足チャート
アコム(8572・東証1部)
MUFGグループの消費者向け無担保ローン専業最大手です。自社カードローンの安定増を背景に利益改善傾向です。
・アコムの日足チャート
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