2020年、オリンピックイヤーの幕開けですね。

 そろそろお正月気分が抜けてきた頃だと思いますが、昨年の年末調整で出し忘れたものはありませんか。年末調整で出し忘れた書類をカバンに放置しているあなた! 控除できると知らずに申請していないあなた! 「もう新年だから…」と、諦めないでください。確定申告をすれば、払い過ぎた税金を取り戻すことができますよ。

年末調整で忘れやすい項目要チェック!

 まず年末調整ですが、下記の14種類の所得控除のうち、寄附金控除、雑損控除、医療費控除を除く、11種類の所得控除の手続きを会社が行ってくれます。

所得控除の一覧
基礎控除 社会保険料控除
配偶者控除 小規模企業共済等掛金控除
配偶者特別控除 生命保険料控除
扶養控除 地震保険料控除
障害者控除 寄附金控除
寡婦(寡夫)控除 雑損控除
勤労学生控除 医療費控除

 しかし、どの控除が該当するかを会社が調べて自動で行ってくれるわけではなく、「私はこの控除が該当し、必要書類はこれです」ということを自分で会社に申告しなければいけません。そのため、必要書類の出し忘れや該当しないと思い込んで申告しなかった場合には、所得控除してもらうことができません。では、忘れがちな項目をチェックしてみましょう。

あぁ勘違い!生命保険料控除…控除額上限まで申請してる?

 生命保険料控除は、生命保険、介護医療保険、個人年金保険に支払っている保険料を一定金額所得控除してくれる制度です。

1:配偶者が契約者でも支払いは自分

 ここでありがちな申請漏れの一つは、配偶者が契約者の生命保険料控除の申請です。例えば妻が契約者であっても実際には夫が保険料を払っている場合、夫の生命保険料控除の対象となります。

2:単純に支払っている保険料を合算

 次は、生命保険料控除の一部しか申告していない場合です。生命保険料控除なんて知ってるよ! と言いつつ、一部しか申告しておらず、控除額上限まで控除枠を使い切れていない人が多いようです。

 生命保険料控除では、支払っている保険料を単純に合計して控除額を出すのではく、保険の契約時期や内容によって一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に分類され(新制度の場合)、それぞれに控除額の上限が設定されています。例えば一般生命保険料分しか申告していないといった場合には介護医療保険料分、個人年金保険料分は控除されません。きちんとそれぞれの区分の上限まで申告しているかもう一度確認してみましょう。

 また、平成23年12月31日以前の契約は旧制度、平成24年1月1日以降の契約は新制度として計算され、新制度では控除額が拡大しています。新制度の契約があるにもかかわらず旧制度のみで申告している場合にも控除枠を使い切れていない可能性がありますので確認してみましょう。

配偶者や子どもの社会保険料も控除される!

 年末調整で自分の社会保険料は申告済みだと思いますが、実は生計を一にしている配偶者や子どもの社会保険料を払ったときにも、自分の社会保険料控除の対象になることはご存じですか。

 子どもの国民年金保険料を親が支払っている場合には、親の社会保険料控除に加算することができます。子どもが20歳以上でも、学生の場合は、親が代わりに国民年金保険料を支払っている人も多いことでしょう。

 なお、申告する際には、子どもの社会保険料控除証明書を提出する必要があります。万が一、紛失している場合には再発行も可能です。

離れて暮らす親も親類も扶養控除の対象になる!

 意外と知られていないのですが、同居している親はもちろん、離れて暮らす親、そして親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)であっても扶養控除を申告することができます。

 控除対象扶養親族の年間合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)で、白色申告者の事業専従者ではなく、青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていない場合、仕送りをして生計を一にしていれば、扶養控除の対象となります。

 ちなみに、扶養控除の申告の際に証明書の提出は原則必要ありませんが、健康保険上の扶養にしたい場合は、仕送りを証明する書類(通帳のコピーなど)が必要になります。また、税法上の扶養となる要件と社会保険上の扶養となる条件は異なりますので、加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。

年末調整し忘れたものは確定申告を!

「対象になるなんて知らなかった…」と肩を落とす必要はありません。年末調整で申告し忘れたものは、確定申告で所得控除を受けることができます。また、「今までずっと申告していなかった!」という場合も5年間なら、さかのぼって還付申告をすることもできます。

 また、確定申告の際には、年末調整では対応できなかった雑損控除・医療費控除・寄附金控除も申告することができます。該当するものがある場合には、併せて申告しましょう。

 ところで、確定申告にあたり、注意点があります。確定申告や還付申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用しようとしていた方は、ワンストップ特例の書類を提出済みであったとしても、この特例の対象外となってしまいます。寄附金控除として申告するのを忘れないようにしましょう。

 そして、年末調整で申告し忘れた場合も確定申告や還付申告をすれば大丈夫! 確定申告書の作成は、国税庁ウェブサイトの確定申告書等作成コーナーから画面の案内に従って金額などを入力すればできあがります。確定申告の期間には税務署などに相談会場が設置され、担当者に教えてもらいながら申告書を作成することもできますよ。自分一人でやるのはやっぱり無理かも…という人は一度税務署に問い合わせてみてください。