今週の予想

中東情勢の行方を見つつ、落ち着きどころを探った後、日経平均株価、反発となるか

 中東情勢が緊迫しています。先週、米軍によってイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が殺害されました。イラン最高指導者ハメネイ師はイスラエルと米国に報復を警告。これに対し、トランプ米大統領は、報復が実行されれば、すぐにイランの52カ所に攻撃を加えるとツイッターで述べました。イランは原爆開発にも乗り出しているかもしれず、米国が攻撃目標の一つにしている可能性もあります。

 この米対イランの戦いが深刻化すれば最高値圏にある米国株はリスク回避からいったん売られ、為替もドルが売られ、円高が進行する可能性はあります。どう展開するのか分からない以上、今週は様子見が基本でしょう。

 イランのソレイマニ司令官が殺害された3日のシカゴの日経先物は、▲350円の2万3,290円に。今年は米大統領選挙の年で、トランプ氏は再選のため、強い米国を打ち出そうと、米軍を出動させてテロ国家を攻撃し抑えようとする可能性もあります。そういう流れができれば、今年は再び「テロとの闘い」の年になる懸念もあります。

 先週末のNYダウ平均株価が▲233ドルだったことを受け、6日の日経平均株価は、▲336円の2万3,319円で寄り付き、その後も安値圏で推移。一度も戻りらしい戻りを試すことなく、▲451円の2万3,204円と安値引けとなりました。

 出来高は12億1,971万株、売買代金は2兆2,246億円です。6日の下げの原因は、米国のイラン攻撃による中東情勢の緊迫化への懸念が強まったことや、ISM(全米供給管理協会)製造業指数が10年ぶりの低水準に落ち込んだことなどが嫌気された結果といえます。

(今週の指標)日経平均株価

 週始めは中東情勢の悪化を意識した動きとなりそうです。トランプ大統領の指示でイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が殺害され、これに対してイラン最高指導者ハメネイ師は厳しい報復を宣言。イスラエルと米国に対する抵抗が倍増すると警告しています。

 局地戦の報復ならばそれほど影響はありませんが、社会に大きな影響を与えるテロが起きたときは、原油高、ドル売りとなり、市場の動きはどうなるか分かりません。2020年の懸念材料にテロを挙げる人も多くおり、トランプ大統領の政策が、危険な方向に進み出した可能性もあります。今週は中東情勢をまず見極めるところです。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週の米株式は、主要3指標とも最高値圏にあるだけに注意が必要です。

 中東情勢緊張で、米イランの対立がどこまで深まるか、落ち着きどころを探る展開となりそうです。

(今週の指標)ドル/円

 米国とイランの対立がどこまで深まるのか、場合によっては、テロ攻撃と米国のイラン52カ所への攻撃の可能性もあり、リスク回避のドル売りが継続する可能性もあります。

先週の結果

先週は、年末年始の休日で週始めのみの営業、米国市場は1月1日のみ休場

 先週の日本市場は、12月30日(月)のみの営業でした。そのため、年末年始の休場を前に利益確定売りにより、先物に売りが出て下げ幅を拡大。下げ渋る場面があったものの、戻りは限定的で、大引けにかけて再度売られ、▲181円の2万3,656円の安値引けとなりました。月足では4カ月連続の陽線で引けました。

 新年度の出足は堅調だろうと想定しましたが、中東情勢の悪化から、日本市場が休日の間の先週末の米国市場では、リスク回避のドル安と株安となっています。

 米株は30日(月)の週始めは年末を控えた利益確定売りで、年初から大きく上昇した銘柄が利益確定で売られ3指標(NYダウは▲183ドル)そろって下落しました。その後は1日(水)を挟んで31日(火)、2日(木)は堅調な戻りとなりました。特に2日(木)は米中対立の緩和の期待が続いている中で、中国人民銀行が預金準備率を0.5%引き下げる発表をしたことを好感。米株主要3指標は大幅高(NYダウは+330ドル)となりました。

 ところが2日夜に米国防総省がイラン革命防衛隊のコッズ部隊の司令官を殺害したと発表。それに対してイランは報復を宣言したことで中東情勢が緊迫化しました。

 これを受けてNYダウは急反落。下げ幅は一時▲368ドルの2万8,500ドルまで下げ、終値は少し戻し、▲233ドルの2万8,634ドルで引けました。

 為替市場もロンドン市場では1ドル=107.84円までドルが売られ、NY市場では108.06円で引けました。シカゴの日経先物は▲350円の2万3,290円と大きく下げています。