執筆:窪田真之
<今日のポイント>
- 日経平均が急反発した背景に、米長期金利の反発がある。米金利反発を受けて、円安が進み、外国人が日本株を買い戻し。
- 今晩発表のFOMC結果に注目。今回利上げがないことはほぼ確実。12月に再利上げの見方が広がると、円安・日経平均の上昇継続が見込まれる。米金融引き締めに打ち止め感が出ると円高株安に戻るリスクもある。
北朝鮮暴走・円高への不安がやわらぎ、日経平均は急反発
19日の日経平均は389円高の2万299円と、年初来高値を更新しました。8月中旬―9月上旬に、北朝鮮・円高への不安から下値トライした日経平均は、足元、北朝鮮・円高への不安がやわらいだところで急反発して高値を更新しました。
日経平均週足:2016年7月1日―2017年9月19日
日経平均はドル金利に連動、ドル金利が上がると日本株は買われる
景気・企業業績は好調ですが、8月中旬以降、ドル長期金利が下がる中で、日経平均は外国人に売られて下落しました。足元、ドル長期金利が反発すると、外国人が日経平均を買い戻しました。
昔から、日本株は、ドルの長期金利に連動する傾向がありました。今年の日経平均も、短期波動を見るとドル長期金利にシンクロしていることがわかります。
日経平均と米長期(10年)金利の動き:2016年12月30日―2017年9月19日
上のグラフを見ると、2017年に入り「日経平均は上昇、米長期金利は低下」と、逆方向に動いています。ただし、短期的な波動をよく見ると、日経平均は、米長期金利に連動していることがわかります。短期波動がシンクロする理由は、以下の通りです。
◆米長期金利が上昇するとき
米景気が好調との見方が広がり、円安(ドル高)が進んでいることが多い。米景気好調・円安を好感して、日経平均は上昇することが多い。
◆米長期金利が低下するとき
米景気に減速懸念が出て、円高(ドル安)が進んでいることが多い。米景気減速・円高を嫌気して、日経平均は下落することが多い。
9月の日経平均の動きを、ドル長期金利の動きだけから解説すると、以下のようになります。
◆9月上旬は、米長期金利が低下し、日経平均が売られる
ハリケーン被害で米景気減速の懸念が生じ、また、米金融引き締めに打ち止め感が出るとの見方が広がる。そのため、米長期金利が低下、円高(ドル安)が進み、日経平均は下落。
◆9月中旬に、米長期金利が反発し、日経平均が買われる
ハリケーン被害は想定より小さく、被災地の復興需要が米景気にプラスに働くとの見方が広がる。そのため、米金融引き締めが続くとの見方が復活、米長期金利が反発、円安(ドル高)が進み、日経平均は急反発。
今晩発表になるFOMCの結果を受けて、米長期金利が上がるか下がるかに注目
今後、円安・日経平均上昇が続くか、あるいは、円高・日経平均下落に戻るか、鍵を握るのが、今晩(日本時間では明朝)発表予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果です。
利上げがないことは、ほぼ確実です。注目点は、2つあります。
◆12月のFOMCで再利上げがあり得るというメッセージがあるか?
◆FRBの保有資産(米国債)縮小を速いピッチで進めることが決定されるか?
イエレン議長率いるFRB(連邦準備制度理事会)が、ハト派(金融引き締めに消極的)か、タカ派(金融引き締めに積極的)か、FOMCの結果から読み取ることになります。
事前に考えられるシナリオは3通りあります。私のイメージで確率も入れています。
◆メイン・シナリオ(玉虫色)60%
引き続き、ハトかタカかはっきりわからない。為替・株・金利にはっきりした方向感が出ない。日経平均は2万円中心のこう着に戻る。
◆サブ・シナリオ1(ハト派色を出す)20%
金融引き締めに打ち止め感が出ると、円高(ドル安)が進み、日経平均は反落する。ただし、米国株は、上昇しやすくなる。
◆サブ・シナリオ2(タカ派色を出す)20%
金融引き締めが続くことを織り込み、米長期金利が上昇。円安(ドル高)が進み、日経平均は続伸する。ただし、米国株は下がりやすくなる。
今晩、発表になるFOMCの結果と、マーケットの反応について、明日のレポートで報告します。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。