特集◆老後破綻しないためのじぶん年金のつくり方・STEP2
今そこにある老後破綻。公的年金頼りの悲惨な現実
賃貸住まいのせいで10年後に破たん
「こんなはずではなかった」。
中小企業を定年退職した60代のAさんは、年6回に分けて偶数月に振り込まれる年金額を見て毎回、頭を抱えています。
年金額のもとになる平均年収は500万円ほど。在職中は毎年誕生月に届く保険料納付の実績や将来の年金給付に関する情報が載った「ねんきん定期便」を見ていたので、老後に受け取れる年金額は老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせても、およそ160万円(厚生年金受給者の平均年金額は177万5,000円)であることはわかっていました。これにパート経験しかない妻の老齢基礎年金を加えても235万円程度であることもありました。月額では19万5,000円です。
それでもなんとかなると思っていたのは、年金を扱ったニュースなどによく使われている厚生労働省「家計調査」の高齢夫婦無職世帯の年金収入が19万円だったから。家計調査では毎月の赤字額は5万5,000円ですが、妻もまだパートを続けると言うし、わずかとはいえ退職金や貯蓄があるので、20年くらい赤字が続いても大丈夫…のはずでした。
毎月頭を抱えている原因は、Aさんの住居が賃貸ということ。家計調査の毎月の住居費は1万4,000円ですが、Aさんが払っている2DKのマンションの家賃は7万5,000円。地方都市なので都内よりはかなり安い相場とはいえ、19万5,000円から家賃を差し引くと12万円しか残らず、毎月の赤字額はほぼ10万円になります。このままでは10年で貯蓄が底をつき、70代半ばで生活が破たんするのは確実です。
もっと安い部屋に引っ越しすればいいのですが、「さすがに家賃2万円の風呂なしアパートには住めないし……」。
しばらくはアルバイトでしのぐつもりですが、「70代になって働けなくなったときにどうしたらいいか」。Aさんが頭を抱える日々は続きそうです。
自営業だから定年はないという幻想
小さな商店を経営する70代のBさん夫婦は、自営業のため国民年金に加入していました。
国民年金の2018年度支給額は40年加入した場合の満額で77万9,300円ですが、Bさん夫婦には未払い期間があるため66万円程度、夫婦分を合算しても132万円です。この年金額は国民年金受給者の平均年金額とほぼ同じとはいえ、とても暮らしていけません。
そのことをわかってはいたのですが、Bさん夫婦が資産運用をしていなかった理由は「自営業には定年がないので、サラリーマンと違っていつまででも働ける」と考えていたからです。しかし現実は違いました。
時代が変わって小さな商店に来るお客が激減したこと、体力が衰えて商品の仕入れすら難儀になったこと、老朽化した店舗の修繕費にお金がかかるようになったこと……。
「店が年金代わりと思っていたのですが、当てが外れました」
でも店をたためば132万円で生活しなければなりません。「早く引退したいのですが、引退できそうにありません」と、Bさんは嘆いています。
シングルの老後は年老いた親が頼り
60代のC子さんは「シングル」という言葉が嫌いです。
「今の人たちはシングルがかっこいいと思っているようですが、独身のまま迎える老後はつらいですよ」
今から45年以上前、短大を卒業して就職、結婚して専業主婦になったものの離婚。当時、30代女性の再就職は厳しかったため、フリーランスとして働き続けました。
このため厚生年金への加入期間はほとんどなく、年金は年額70万円ほどの国民年金のみ。月額では6万円にも届きません。フリーランスだったため収入は不安定で、貯金もほとんどありません。それでもなんとか生活ができているのは「80代の母親と実家で暮らしているからです。(高齢者の介護を高齢者が行う)老老介護の日々で負担も大きいのですが、一人では暮らしていけないし」と、ため息交じりです。
昔の友達から旅行に誘われることがあるのですが、「親の介護を理由に断っています。本当は旅費が工面できないせいだけど」。
もし母親が亡くなったときの遺産は、地方都市の実家と、親のわずかな預金。しかし預金は介護費用でなくなりそうで、生活費を作るために実家を売ると、今度は住むところがなくなります。
老後に借金が返せなくなる老後破産という言葉がありますが、「借金すらできないので老後破産ではなく老後破綻ですね。もう先のことは考えないようにしています」。
老後破綻を免れる方法は?
「もしかしたら、年金の受給年齢が引き上げられるかも」「もしかしたら、年金額が減らされるかも」「もしかしたら、年金がもらえないかも」……。
そんな将来は「もしかしたら」の話ではなく、現在、すでに年金を受け取っている高齢者の生活が困窮、破綻したりするケースが増えているのです。
そうならないための最良の方法として、投資の力を借りて長期的にお金を運用し、老後を安心して過ごせるような私的年金を作ることをおすすめします。
年金受給年齢に近づいてから、「こんなはずではなかった」と慌てないように、今から投資に慣れておいてはいかがですか。
「将来の心配なんて早すぎる」と考えている人は一度、自分の年金受給額を確かめてみるのも、リスクヘッジの一歩として悪くないはずです。
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