株主優待名人として大人気の桐谷広人さんが、その投資人生や失敗の経験から導き出した貴重な「桐谷式」優待投資アドバイスの数々を一挙公開。投資のタイミングに惑うときや、投資に自信がなくなったとき、ぜひ参考にしてください。

※本記事は2018年3月27日に公開したものです。

〔優待名人・桐谷広人さんスペシャルインタビュー:特集ページ

株を買うタイミングは?

 

「私はスーパーでお弁当を買うとき、半額シールが貼られるまで待つタイプなので、株も高値では買わず、安値で買うようにしています。だからといって買いたい銘柄の値動きを常に見ているわけではなく、安値と思われる値段で買い指値を入れておく(買いたい値段を指定して買い注文を出す)のです。私が起きるのは昼ごろですが、2016年のアメリカ大統領選挙でトランプさんが選ばれた日はほとんどの銘柄が大きく下がってしまい、20銘柄も約定(取引が成立)していて驚きました。新規に株主優待を始めた銘柄は、その後値上がりすることが多いので、早めに買っておくといいですね」

 

買い時の判断材料、目安は?

「私の目安は年初来安値(その年につけた最も安い値段)です。現在の株価が年初来安値を更新していれば安値と判断しています。そこで株価チャートを見る時は分足や日足の目先の値動きにとらわれず、週足や月足を見て(2~3年単位の)大きな値動きをチェックして、過去の安値・高値はいくらだったとか、今の株価がどのあたりの水準にあるのかを調べると、割高・割安のイメージがつかめると思います」

実際の買いタイミングは?

「この中(購入候補)の銘柄の株価が下がって『配当優待利回り』が4%以上になったときに買い指値をするのです。配当金額や優待品の換算金額が大きく変わることはあまりありませんから、株価の値下がりを待っているのです」

(1)配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100

(2)優待利回り(%)=優待品の換算金額(年間合計)÷優待をもらうのに必要な投資金額×100

【配当優待利回り(%)=(1)配当利回り(%)+(2)優待利回り(%)】

株価が上昇してくると、配当優待利回りが4%を下回った場合は?

「そこが難しいところです。アベノミクスの前は株価が上がったり下がったりしていたので、上がったら利食って(売って利益を得て)、次に下がったときに買い戻していました。私だったら上がり続けている間は、配当と優待をいただきながら持ち続けます。長期保有をすると優待内容がアップする長期保有優遇制度がある銘柄も増えていますから、慌てて売る必要はないと思います」

株価が大きく上昇して売った場合、その後どうしますか?

 

「優待品が気に入って保有した銘柄なので買い戻しますが、売った値段よりも高い値段では買いません。値下がりをするのを待ちますね。それとは逆に買った値段よりも株価が下がったときは売らずに保有し続けます。毎年株主優待品が受け取れるので、株価の動きはあまり気になりません」

逆に買った優待株が下がり続けたら?

「バブル崩壊後に保有銘柄が大きく値下がりし、あわてて手じまった(売った)ら、そこが大底だったという苦い教訓から、『損切りはしない』と決めました。その代わり、株式投資は信用取引を使わず、必ず余裕資金を使い、安値を見極めて買っています。以前の私は(預貯金ではほとんど利息が付かないため)現金のほとんどを株に替えて持っていましたが、今は割安株を買えるように、ある程度の現金を持つようにしています。先ほど損切りはしないとお話しましたが、例外があります。もし株式投資初心者の方が株価急上昇している銘柄を買ってしまった場合、天井をつけると、今度は株価がどーんと暴落する可能性が高くなります。どーんと下がり始めたら、早めに損切りをしたほうがいいですね。どこまで下がるかわかりませんから」

株式投資初心者が20万円の資金で優待株投資を始めるとしたら?

「5万円ずつ4銘柄買いましょう。4種類の優待品が楽しめて、分散投資もできるでしょう?」

「株主優待制度を重視している会社は、個人投資家を大切に考えてくれている会社だと思っています。株式投資デビューは株主優待投資から始めるといいですよ」

株主優待投資を始めようとしている初心者は、どんな点に気をつけたら?

「欲しい優待銘柄があるときは、値下がりしたタイミングで買うといいでしょう。株主優待制度を新設した銘柄もチェックしてください。配当利回りに優待利回りが上乗せされることになるので、配当優待利回りを計算して(桐谷さんの基準である)4%を超えたら買う候補リストに入れましょう。私はときどき『優待』のキーワードで検索していますよ」

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